Bloodborne考察 ロマ前とロマ後の世界 (2)

Bloodborne (2-2) ブログ

ロマとは何者なのか?

 ロマとは、そもそも何者でしょうか?

 そして、誰がどういう理由で、ロマを認知フィルタとして使ったのでしょうか?

元人間

 ロマは元々は人間です。ウィレームに師事する、ビルゲンワースの学徒でした。

 学徒の一人が、漁村調査で得た上位者ゴースの遺物によって、白痴の蜘蛛ロマという上位者に変容しました。

 人間だったロマ自身が志願したのか、ウィレーム学長らが実験台にしたのかは分かりません。

 分かっているのは、ロマが不完全ながら、稀有な成功例であるということだけです。ロマに匹敵する実績は他にないからです。

 人間のロマはおそらく、器としての適性があったのでしょう。

 そして、これも推測ですが、ゴースが許可したことで、上位者たり得る瞳(啓蒙)を得たのだと思われます。

 ゴースは既に死亡しているので、死者が許可できるのかという問題はありますが、遺物とはいえ、器になる者を選別している可能性は十分あります。

 誰もが遺物に反応して上位者になれる、と考える方がおかしいでしょう。そうであれば、ロマ以外の成功例があるはずです。

白痴

 ロマという上位者を生んだことは、ビルゲンワース最大の研究成果でした。

 人類最大と言ってもよいでしょう。医療教会やメンシス学派は、この水準の上位者を生成できていません。

 ロマは成功例ではありましたが、しかし理想形には遠いものでした。なぜなら、人格と理性を失った「白痴」だったからです。

 会話もできず、積極的な活動もしません。しかし、白痴であるがゆえに、ロマには大事な役割が与えられました。

 それが「認知フィルタ」です。

 知能も自我もないため、いくら真実を見ても発狂ダメージを受けません。積極的に動かないことは、フィルタとしては逆に長所になります。

 ちなみに、ロマはなぜ蜘蛛の形態なのでしょうか?

 真偽は定かではありませんが、月を隠す「雲」になぞらえたという説が、個人的には面白くて好きです。

 よもや白痴の蜘蛛は、月にかかる「白い雲」とかけているのでしょうか。仮にそうだとすれば、製作者はかなり遊び心のある方です。

安全装置

 ロマを認知フィルタとして利用したのは、学長のウィレームでした。

 なぜ、そうする必要があったかと言えば、メンシス学派が儀式によって、赤い月を示現してしまったからです。

 赤い月の夜は、上位者の影響力が強まった状態です。

 メンシス学派は、多数の学徒を犠牲にしてメルゴーの精神世界に干渉し、その泣き声を釣りにして上位者を誘いました。

 しかし、ウィレームは、メンシス学派によるこの儀式を危険視しました。

 啓蒙が低い人々に、上位者がいる世界を見せてしまうと、正気を保てずに発狂してしまうからです。

 そのため、ロマによって赤い月を隠し、ヤーナムの大衆に真実が見えないようにしました。

 これは人類を守るために、危険物に緊急で鍵をかけたようなものです。真実を見せるには、まだ啓蒙が足りないと判断したのでしょう。

 そして、ウィレームの判断は正しかったと言えます。

 主人公がロマを倒して、赤い月が真実を照らした時、ヤーナムの人々は次々と精神崩壊していきました。オドン教会に避難した住民も含めて。

 安全装置を外されたヤーナムの街は、急速に瓦解していきます。

テキストの意味

ビルゲンワースの発言

 「我々は思考の次元が低すぎる。もっと瞳(啓蒙)が必要なのだ」

 「あらゆる儀式を蜘蛛が隠す。露わにすることなかれ。啓蒙的真実は、誰に理解される必要もないものだ」

 これらはおそらく、ビルゲンワース側の発言でしょう。

 メンシス学派が断行した狂信的な儀式を、ロマによって隠すことに触れています。

 彼らは、人々が十分に啓蒙を高めるまで、真実を知らせる必要はないと考えているようです。

メンシス学派の発言

 「赤い月が近づく時、人の境は曖昧となり、偉大なる上位者が現れる」

 「ビルゲンワースの蜘蛛が、あらゆる儀式を隠している。見えぬ我らの主も。ひどいことだ。頭の震えがとまらない」

 これらはおそらく、メンシス学派側の発言でしょう。

 上位者への接近を狙うメンシス学派は、ヤハグルで儀式を強行しましたが、それはロマによって秘匿されました。

 儀式は成功した直後に、隠されたのです。しかし、主人公がロマを討伐したために、再び進行してしまうことになります。

事情通の発言 (1)

 「狂人ども、奴らの儀式が月を呼び、そして、それは隠されている」

 発言主は明らかではありませんが、状況を理解しているので、事情通であることは確かなようです。

 狂人どもとは、もちろんメンシス学派を指しています。

 彼らが狂信的な儀式を行って、赤い月を示現したけれど、ロマがそれを隠していることに言及しています。

事情通の発言 (2)

 「儀式の秘匿は破れた。悪夢の赤子を探せ」

 「メンシスの儀式を止めろ。さもなくば、やがて皆獣となる」

 「悪夢の儀式は、赤子と共にある。赤子を探せ。あの泣き声を止めてくれ」

 いずれもロマ討伐後のメッセージです。発言主は不詳ですが、事情通であることは確かなようです。

 メンシスの悪夢では、ステージの各所で赤子の泣き声が聞こえてきます。あれは上位者メルゴーの泣き声です。

 メンシス学派が、上位者の赤子メルゴーの精神世界に干渉して、メンシスの悪夢を形成しています。

 誰か早くメルゴーを探して、この狂った儀式を止めてくれ。このままでは世界が破滅してしまう。そういう危機感が表れているメッセージです。

なぜ女王ヤーナムは現れた?

 最後に、女王ヤーナムについて触れておきます。

 彼女もまた、ロマによる認知フィルタが外れた後に、その姿が見えるようになります。

 女王ヤーナムは、ヤーナムの街とは直接の関係がありません。彼女は地下に栄えた古代文明、トゥメル人の王族です。

 現在、トゥメルは滅んでおり、女王ヤーナムも肉体はありません。精神体だけなので、認知フィルタで視認できなかったのでしょう。

 トゥメルの王族は、上位者を宿すことができる特別な血を引いています。

 女王ヤーナムは、人間でありながら上位者オドンの子を宿して、メルゴーを懐胎しましたが、誰かに奪われてしまいました。

 彼女は涙を流しており、その腹は割かれて血が垂れています。

 女王ヤーナムは、主人公にまったく敵意がなく、接近しても攻撃してきません。

主人公を誘導する

 女王ヤーナムは本編では2回、主人公の前に姿を現します。

 1回目は、ロマを討伐した直後です。唐突に登場するので、不審に思った方は多いでしょう。

 彼女に近づくと、主人公は強制的にワープさせられます。どこに移動するかと言うと、隠し街ヤハグルの入口です。

 2回目は、メンシスの悪夢のボス「メルゴーの乳母」の手前です。

 女王ヤーナムの目的は、何だったのでしょうか?

 それは我が子メルゴーを、苦しみから解放することです。

 誰かに無理やり奪われ、そしてメンシス学派に利用されて苦しんでいる我が子を、どうにか解放したかったのです。

 そのため、主人公に接近してヤハグルに誘導しました。

 ヤハグルの最奥には、メンシス学派のミイラがあり、これを調べると教室棟2階を経由して、メンシスの悪夢につながっています。

 なお、このミイラはメンシス学派のリーダー、ミコラーシュの肉体ではないかと言われています。

悪夢は断たれた

 主人公がボス「メルゴーの乳母」を倒した時、次のように表示されます。

 NIGHTMARE SLAIN 悪夢は断たれた。

 同時に、赤子の泣き声が止まります。

 ボスを倒してから、NIGHTMARE SLAINと表示されるまでに、微妙に間があることから、いつもと違うことを不審に思った方もいるのではないでしょうか。

 あれはおそらくワザとです。泣き声が止まったことを確認する時間と思われます。

 この後、女王ヤーナムの前に行くと、彼女は主人公に対して一礼します。我が子を救ってくれてありがとう、という意味でしょう。

 メルゴーが解放された、またメンシス学派の儀式が阻止された瞬間でした。

 これをもって、赤い月の夜の危機は去り、主人公はその任を果たしました。「狩人の夢」に戻ると、ゲールマンが介錯を申し出て、その諾否を問うことになります。

乳母は何者なのか?

 乳母の位置づけはよく分かりません。メルゴーの守護者なのか、それとも略奪者なのか。

 乳母というポジティブな名前に惑わされがちですが、女王ヤーナムが謝意を示したことを重視すれば、後者なのかもしれません。

 我が子を守護する存在であれば、主人公がそれを倒したことに感謝する理由がないからです。

 女王ヤーナムは実母として、我が子が苦しみから解放されることを望み、主人公を誘導するように姿を見せました。

 そうであれば、乳母はメルゴーを奪ったか、少なくとも囲い込んで悪夢に閉じ込めていた、と考える方が筋が通るでしょう。

 乳母もまた赤子を探し求め、そして奪い合う上位者の一柱だったのかもしれません。

 つづく。

 注
 この記事は個人の考察であり、フロムソフトウェア社の見解ではありません。
 内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。

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