Bloodborne考察 上位者は子煩悩

Bloodborne (3) ブログ

上位者の事情

目的は「子を得ること」

 Bloodborneにおいて、上位者は人間を遥かに超越する、高次元の生命体として描かれます。

 作中で登場する人物は、進化して上位者に近づくことを目的にしています。

 それでは、上位者側の目的は何でしょうか?

 それは「子を得ること」です。

 しかし、興味深いことに、必ずしも自分の子である必要はないようです。彼らは赤子を探し求め、奪い合っています。

 己の血統を残すというより、子そのものを求めています。

 ですから、単純に種の保存というより、それをもう少し拡大した動機があるのかもしれません。

 人間の場合も、子のいない夫婦が孤児を引き取ったり、家を継がせるために養子縁組したりする例があります。

 上位者にも、こうした類の事情があるようです。嫡流の血を残すのが望ましいのでしょうが、それに限定していません。

すべての上位者は子を失い、そして求めている

 上位者は、子を失った悲しみを埋めたり、親である喜びを感じるために、新たな子を欲している可能性があります。

 知能を持つ高次生物であれば、別におかしな欲求ではありません。

 実際、「3本目のへその緒」には、次のようなフレーバーテキストがあります。

すべての上位者は子を失い、そして求めている。

 何らかの理由で子を失い、その喪失感を埋めるために代理を求めているという線は、どうやらあり得そうです。

 また、家・仕事・役割を継がせるという可能性もあります。

 たとえば、月の魔物は、自身が支配する「狩人の夢」を、ゲールマンに管理させました。

 ゲールマンは上位者の子ではなく、契約者に過ぎませんが、人間としては優れた個体であり、月の魔物はこれを手放しません。

 詳しくは別記しますが、上位者には精神世界(夢・悪夢)を形成する傾向があります。その精神世界を継がせるという線も、なくはないでしょう。

生物は進化するほど、子孫を残しにくくなる

 Bloodborneの世界では、「生物は進化するほど、子孫を残しにくくなる」という重要な前提があります。

 人間の場合も、先進国は出生率が下がりますし、優秀な人ほど出産に慎重だったりします。

 一方、貧しい国や教育水準が低い国は、子だくさんの傾向があります。もっとも、これには子供の労働力や、将来の福祉を当てにしている面もあるでしょうが。

 作中ではこの前提が貫かれており、上位者は基本的に子を産むことが困難とされています。

 また、人間でも特別な存在、たとえば不死の体を持つ女王アンナリーゼは、上位者に似た扱いになっています。

 彼女は血を与えて眷属を増やせる一方、どれだけ上位者由来の血や、狩人たちの血を飲んでも、子を授かることができないままです。

子の争奪

 上位者が子を求めて活動することは、一見不可解に思える次のような事象を説明できます。

・誰かが女王ヤーナムの腹を割き、その胎児を奪った。
・メンシス学派が、赤子メルゴーの泣き声を釣りにして、上位者を呼ぼうとした。
・乳母がメルゴーを囲って離さず、近づく者を排除しようとした。
・上位者オドンが、人間の女性を代理母として懐胎させた。

 そして、子を争奪する上位者の活動が、取るに足らない人間たちを巻き込んで、気まぐれに蹂躙しかねないというコズミックホラーが、ロマ討伐後に描かれています。

 己の血統にこだわることなく、赤子が手に入ればよいため、母親に対するこだわりも薄いようです。

 したがって、人間の女性を代理母にして、懐胎させようとする上位者がいます。それは「姿なきオドン」です。

姿なきオドンと代理母

 その名前の通り、姿なきオドンは肉体を持たない特殊な上位者です。最初から肉体がなかったのか、進化して概念だけになったのかは分かりません。

 声・血・意識などで存在を示して、時に人間たちに介入します。

 赤い月の夜には、特別な血を持つ人間の女性を受胎させて、繁殖を試みようとしました。

 作中では、オドンが受胎させたと思われる女性が3名登場します。

 娼婦アリアンナ・偽ヨセフカ・女王ヤーナムです。

オドン教会と赤ローブの男

 そして、男性ではオドン教会の赤ローブの男が、オドンの影響下にあった可能性があります。

 彼は住民たちを、オドン教会に避難させようとしました。

 彼自身は、自分の善意だと思っていたかもしれませんが、特別な血を持つ女性を招くために、オドンに意識を利用されていた可能性があります。

 実際、オドンに都合よく、特別な血を持つ娼婦アリアンナが招かれました。

 尼僧アデーラもまた、代理母の器としては不能でしたが、血の施しができる修道女でした。

 赤ローブの男を殺害すると、傍証となる「姿なきオドン」をドロップします。

特別な血

 オドンが懐胎させた女性たちについて見ていきましょう。

 3人の共通点は、「特別な血」を持つことです。

 特別な血とは、作中に明言はありませんが、おそらくトゥメルの王族の血でしょう。

 トゥメル文明は、かつて地下に栄えた古代文明であり、女王を戴くという慣習がありました。

 代々の女王は、上位者オドンの子を懐胎して、その力を享受することで栄えたと言われます。

 なぜ滅んだのかは分かりません。人々が獣化したのか、精神崩壊・発狂したのか、あるいは子(メルゴー)を奪われて力を失ったのか。

 ともあれ、上位者によって栄え、上位者によって滅んだ可能性は高いと思われます。

 トゥメル文明は滅びましたが、王族の一部は地上で存続しました。それがカインハーストの一族です。

 トゥメルとカインには、女王を戴く、特別な血にこだわる、上位者の子を望む、長身で白い肌など、類似している点が多くあります。

 なお、「カイン」はアダムとイブの長子です。弟を殺害したため、後世の宗教学では「嫉妬・罪・追放」の象徴とされています。この辺りも含みがありそうです。

上位者の香りを識別する

 娼婦アリアンナと偽ヨセフカが、特別な血を持つことについて、作中に明言はないものの、非常に興味深い示唆があります。

 彼女たちは、主人公と接触した時に、次のような発言をしました。

・「あら、月の香り…。あなた、どうやって入り込んだのかしら? (偽ヨセフカ)」

・「あなた、おかしな香り(娼婦アリアンナ)」

 また、カインの女王アンナリーゼは、次のような発言をしました。

・「貴公、訪問者…。月の香りの狩人よ」

 特別な血を持つ女性は、どうやら上位者の香りを識別する能力があるようです。

 「香り」は、ラテン語でオドル(Odor)と言います。

 ここまで重ねてくるのですから、おそらく意図を持った設定でしょう。

 なお、主人公に「月の香り」がしたのは、月の魔物と契約して、その精神世界「狩人の夢」に属しているからです。

赤い月と懐胎

 娼婦アリアンナと偽ヨセフカは、それぞれ赤い月の夜に懐胎しました。

 赤い月の後に殺害すると、二人とも「3本目のへその緒」をドロップします。これは上位者オドンの胎児に近いものです。

 娼婦アリアンナは、ヤーナム下層に似合わない貴族のような服装が、カインとの関係を示唆しています。

 彼女は嫡流ではなく傍流であり、なんらかの理由で城を離れたようです。おそらく処刑隊がカインを襲撃する前に、ヤーナムに移り住んでいます。

 一方、偽ヨセフカはどうでしょうか?

 彼女は赤い月になる前であれば、主人公の選択によって戦うことができますが、殺害すると「オドンの蠢き」をドロップします。

 やはりオドンの影響下にあると考えてよいでしょう。

 問題は彼女の特別な血が、どのようなルーツを持つのかです。

 カインの血筋なのか、人体実験の成果なのか、真ヨセフカが関与しているのか、はっきりしたことは分かりません。

 私はカインとの関係を疑っています。ヨセフカの診療所では、カインハーストの招待状を取得できるからです。

 この招待状は、輸血を受ける前の主人公の荷物なのか、他の誰かの物なのかが分かりません。そうであれば、偽ヨセフカの物である可能性も残っています。

 処刑隊による襲撃で弱体化したカイン本家が、過去に城を離れた傍流を集めて再興を目指そうというのは、動機としてはおかしくありません。

 推測の域を出ませんが、主人公がカイン関係者だと考えるよりは、脈のある線だと思います。

メルゴーの父親

 先ほど女王ヤーナムは、「上位者オドンの子を宿した」とサラッと書きましたが、実は父親について明言はなく、謎の一つとされています。

 しかし、これはほぼ確実ではないかと私は考えています。

 上記のとおり、オドンは赤い月の夜に、特別な血を持つ人間の女性を、代理母として懐胎させる傾向があります。

 また、女王ヤーナムの子メルゴーは、オドンと同じく姿なき上位者です。

 メルゴーは声だけで肉体がなく、概念のような存在ですから、おそらくオドンの特性を継いでいるのでしょう。

・人間の女性が上位者の子を懐胎した。
・その子は姿なき存在である。

 この二点から、オドンが父親と考えるのが自然ではないでしょうか。

 つづく。

 注
 この記事は個人の考察であり、フロムソフトウェア社の見解ではありません。
 内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。

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