風花雪月考察 オープニングが意味すること

オープニングが意味すること 風花 ブログ

 風花雪月のオープニングは、帝国歴91年のタルティーン会戦を描いています。

 振り返ってみると、なかなか意味深な情報を含んでいますので、今更ではありますが整理してみたいと思います。

交戦勢力

 まず、基本となる交戦勢力です。

 タルティーン会戦は、聖者セイロスの軍が解放王ネメシスの軍と激突して、これを破った戦いでした。

セイロス&帝国軍

 聖者セイロスは、セイロス騎士団を率いていますが、重要な同盟勢力がいます。

 それはアドラステア帝国の初代皇帝・ヴィルヘルム1世(ヴィルヘルム・パウル・フレスベルグ)が率いる帝国軍です。

 本編では、アドラステア帝国はガルグ・マクに侵攻するため、改めて考えると少し意外に感じます。

 会戦の当時、帝国はセイロス教団の大事な盟友でした。

 セイロスは、自らの血をフレスベルグ家に分け与えており、同家の嫡流はセイロスの紋章を有しています。

 両者は長らく、友好的な関係を続けてきたのです。

帝国貴族名鑑1 フレスベルグ家
・大帝ヴィルヘルムを祖とする帝国の大貴族。
 1,100年以上にわたって帝国を治める。
 その系譜は聖セイロスの血統をも有し、代々の皇帝はその身にセイロスの紋章を宿していたという。

 それにも関わらず、約1,100年の後、子孫のエーデルガルトは、レア(=セイロス)に反旗を翻すことになります。

レア
・初代のアドラステア皇帝となった、フレスベルグの祖は…私を助け、支えてくれました。
 ネメシスの討滅に尽力してくれたのですよ。
 その裔を、このタルティーンの野で我が手にかけるとは…。

エーデルガルト
・人の上に立つのが人なのか、それとも人ならざるものなのか…。
 結果は、セイロスが勝った。「白きもの」とその眷属が、このフォドラを支配したの。
 なぜそれを知っているかって?
 代々の皇帝に伝えられてきたからよ。
 セイロスに操られ協力した人間というのが、帝国の初代皇帝なのだから…。

エーデルガルト
・私の目的は、レアたち女神の眷属の支配からの脱却だった。
 セイロス教団を使ってフォドラを支配するレアたちを、抹殺することだった。

ネメシス&十傑軍

 一方、セイロス軍に対峙するのは、解放王ネメシスと十傑が率いるフォドラ氏族連合です。

 解放王や十傑という名前だけを見ると、いかにも善側に思えますが、これが敵方なので混乱してしまいます。

 ネメシスは英雄ではなく、悪人寄りの顔であり、レアによれば「元は盗賊の首領」とのことです。実際、盗賊のような風貌をしています。

 この盗賊まがいの男が、英雄の遺産「天帝の剣」を振るっているのですから、最初はよく分かりません。

 十傑もまたネメシス側に与しており、戦場で彼らが振るう英雄の遺産から、赤い光が放たれている描写があります。

 武器だけを見れば、ネメシス軍が圧倒的に優勢だったのです。

 セイロスが持つのは、神聖武器(セイロスの剣と盾)ですが、これは四聖人の一人マクイルが鍛造した武具であり、英雄の遺産には一段劣っています。

 セイロスとネメシスの一騎討ちが、会戦の帰趨を決めることになりました。

 両者、伝説級の武器を使いながら、最後はパンチで勝負がつくのが、何度見てもクスっとしてしまいます。やはり、格闘術はレア様から習いたいですね。

 ちなみに、ネメシスにトドメを刺した短剣は、ゲーム中の武器としては登場しません。

レア
・ネメシスは元々は盗賊の首領…。
 聖墓を暴き、神祖の亡骸を奪いました。
 しばらくのち、ネメシスがザナドに現れた時、その手には、すでに天帝の剣がありました。

ザナドの虐殺

セイロス
・「赤き谷」を覚えているか? ネメシス!
 死ね…!死ねッ!死ねええッ!
 貴様が!私から!すべてを…!

 セイロスは、殴り倒したネメシスに馬乗りになって、短剣で何度も刺しています。

 怨恨殺害の現場のようで、初見では衝撃的な一幕でした。

 実際、セイロスにとっては、一族を皆殺しにされた恨み骨髄の相手であることが、物語を進めていくと判明します。

 盗賊の首領だったネメシスは、アガルタ人(闇に蠢く者たち)に唆されて、神祖ソティスの聖墓から、その亡骸を奪いました。

 そして、アガルタ人の技術を使い、ソティスの心臓を紋章石、ソティスの骨を刀身として、「天帝の剣」を作り出します。

 さらにネメシスは、ソティスの血を取り込むことで、炎の紋章を発現させて、天帝の剣を扱える資格を得ました。

 この状態で、神祖ソティスの眷属、つまりセイロスと同胞の竜族(ナバテア人)が棲むザナドを襲撃して、彼らを虐殺したのでした。

 ザナドには「赤き谷」という異名が付きますが、それはこの時に流れた血を表しています。

 セイロスからすれば、母の亡骸を武器にして、兄弟を殺されたわけです。恨んで当然と言えるでしょう。

レア
・ネメシスがどうやって剣を手に入れ、なぜザナドに現れたのかはわかりません。
 ですが彼は、その剣でザナドの民を…神祖の眷属たちを虐殺しました。
 そして、彼らの亡骸によって更なる力を得、フォドラを戦乱に陥れたのです…。

クロード
・待ってくれ…俺たちが知っている神話の中のネメシスとは随分違うぞ。

レア
・ですが、盗賊風情のネメシスに、そんな大それたことはできないはず…。

クロード
・……! そうか…ネメシスには協力者がいたんだ!
 その協力者こそが、闇に蠢く者たち…。
 奴らは、ネメシスを利用したんだ…!
 そして今度は、帝国軍を使って、フォドラを再び戦乱に陥れようと…!

クロード
・十傑の紋章、紋章石、英雄の遺産…。
 すべてはあいつらが創ったものなのか。
 ネメシスは天帝の剣を使い、赤き谷ザナドで神祖の眷属を虐殺したんでしたよね?
 つまり、ザナドの民は同胞の亡骸で創られた武器で殺されたって訳か…
 惨い話だぜ。

復讐のセイロス

 ただ一人、ザナドの虐殺を逃れたセイロスは、復讐のために二つのことをしました。

 一つ目は、ザナド以外に棲んでいた神祖の眷属を集めること。

 これによって集結したのが、後に四聖人と呼ばれる竜族(ナバテア人)、つまりマクイル・インデッハ・キッホル・セスリーンです。

 二つ目は、人間の協力者を得ること。

 これによって組織されたのが、セイロス騎士団とアドラステア帝国軍です。とりわけ、初代皇帝フレスベルグ1世は、セイロス最大の盟友になりました。

レア
・谷のすべてが真っ赤に染まったあの光景を、私は今でも忘れることができません…!
 同胞の亡骸から造られた武器を誇らしげに振るう者たちを、私は決して許せなかった。

 そして、ザナドでただ独り生き残った私は、復讐の念を抱きながらフォドラを彷徨った。
 セイロスと名乗り、帝国の建国を促し、ネメシスたちに対抗する準備を整えました。

レア
・…ザナドの地を離れた私は、フォドラに散っていた眷属たちを集め…
 ついにタルティーン平原でネメシスを討ち、天帝の剣を…取り戻したのです。

クロード
・あんたが、聖者セイロスだって…!? 嘘だろ…。

フォドラの歴史

 ガルグ・マク書庫の「フォドラの歴史1」によれば、アドラステア帝国は、帝国歴32年にフォドラ統一を目指した英雄戦争を起こしました。

 帝国歴46年にグロンダーズ会戦で氏族連合を破り、同91年にタルティーン会戦でネメシスを討伐して、同98年に英雄戦争を終えています。

 これは帝国視点の歴史書ですが、実際にはセイロスが後押ししています。

帝国歴 32年 英雄戦争の起こり
・初代アドラステア皇帝、ヴィルヘルム=パウル=フレスベルグ。
 フォドラの統一のため兵馬を挙げ、力をほしいままにする各地の氏族を討滅す。

帝国歴 46年 グロンダーズの会戦
・ネメシスに味方する氏族の連合軍と、アドラステア帝国軍が平原で激突す。帝国軍が大勝を収むる。

帝国歴 91年 タルティーンの会戦
・ネメシスに味方する氏族の連合軍と、帝国軍が再び激突す。
 邪なる者ネメシスは、ここに死して、帝国は勝勢を定むる。

帝国歴 98年 英雄戦争の終結
・皇帝ヴィルヘルム1世の後を継いだリュカイオン1世が急病にて崩御す。
 フォドラの大半を支配するに至っていた帝国は、これを機に戦いに幕を下ろす。

 興味深いのは、グロンダーズ平原とタルティーン平原が、古代から重要な決戦の場だったことです。

 この二つの決戦を制することが、フォドラ大陸を統一する上では欠かせないようです。

英雄の遺産

 英雄の遺産と呼ばれる最高クラスの武器は、さも聖なる空気を漂わせていますが、実際はおぞましいものでした。

 天帝の剣が、神祖ソティスの心臓と骨で作られたのと同じように、他の英雄の遺産はすべて、ソティスの眷属の心臓と骨で作られています。

 そして、英雄の遺産を使うための資格、すなわち紋章は、神祖やその眷属の血を取り込むことで得ていました。

 それを可能にしたのは、ネメシスを裏で操るアガルタ人(闇に蠢く者たち)の高い技術力です。

 アガルタ人は、一時は神祖と争うまでに発展した勢力で、その怒りに触れて地下に追いやられましたが、高度な文明を維持していました。彼らについては、別の機会に触れることにします。

 つまり、時系列としてはこうなります。

・アガルタ人(闇に蠢く者たち)が、盗賊の首領ネメシスを唆す。
・ネメシスが神祖の聖墓を暴いて、その亡骸を盗む。
・アガルタの技術によって、神祖の心臓と骨から天帝の剣を作り、神祖の血から炎の紋章を得る。
・ネメシスがザナドを襲撃して、眷属を虐殺する。
・アガルタの技術によって、眷属の心臓と骨から英雄の遺産を作り、眷属の血から十傑の紋章を得る。

 英雄の遺産とは、そのポジティブな響きとは裏腹に、竜族(ナバテア人)の亡骸から作られた、禁忌のような武器でした。

 見た目が少しおどろおどろしいのは、こういう経緯があるからです。

 そして、改めて整理しますと、竜族(ナバテア人)の亡骸はそれぞれ次のように利用されました。

心臓=紋章石
骨=英雄の遺産
血=紋章

 この三点セットが揃うと、人間が竜族の力を振るうことができたのです。

 竜族の血が濃く出た者は、人間社会では紋章持ちの貴族として扱われるようになりました。

レア
・神祖ソティスの血によって炎の紋章を、骨と心臓によって天帝の剣を得たのです。

クロード
・骨と心臓が、天帝の剣…?

レア
・正確には、天帝の剣にはめられていた紋章石こそが、神祖の心臓…。
 十傑の紋章や、他の紋章石も同じ…
 神祖の眷属の血と心臓で生み出されました。
 それらは神祖が人間に授けた力ではなく、闇に蠢く者たちによって創られたものです。

お母様…

 オープニングの最後、ネメシスを討ち取って、天帝の剣を手にしたセイロスは、剣に頬ずりするような感じで、笑みを浮かべながら「お母様…」と呟きます。

 この異常なカットは、最初は不気味に思えますが、上記の事情を理解すれば納得できます。

 天帝の剣は、神祖ソティスの心臓と骨だからです。

 セイロスはようやく、ネメシスを討って一族の恨みを果たした上、聖墓から盗まれた母の亡骸を取り戻したのでした。

 苦節132年にわたる復讐劇を終えた、恍惚の笑みだったわけです。

 なお、竜族(ナバテア人)は数千年の寿命があります。

 その血を直接取り入れた者も、人間としては寿命が延びます。ただ、遺伝によって紋章持ちになった人間は、寿命は延びないようです。

帝国歴 前41年 聖セイロスの出現
・聖者セイロス、アンヴァルの地に現る。
 セイロスは多くの奇跡をもたらし、人心をよく集め、集いた人々はセイロス聖教会を組織す。

帝国歴 91年 タルティーンの会戦
・ネメシスに味方する氏族の連合軍と、帝国軍が再び激突す。
 邪なる者ネメシスは、ここに死して、帝国は勝勢を定むる。

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