風花雪月は、様々な神話・伝承・文学作品などから、名前を拝借しています。
今回はその元ネタに当たるものを、幾つかご紹介しましょう。
大アルカナ
まずはタロットカードの大アルカナです。
タロットカードには、全78枚のカードがありますが、その中の主要な22枚を「大アルカナ」と呼びます。
大アルカナは、「0番:愚者~21番:世界」で番号が振られています。
風花雪月には、全部で22種類の紋章が登場しますが、これが大アルカナの22枚に対応していると、ファンの間で指摘されています。
具体的には、次の一覧の通りです。

風花雪月の物語をクリアすると、「〇竜の証」という21種類のアイテムを入手できますが、この「〇竜」というのは竜族(ナバテア人)を表しています。
たとえば、天竜=セイロス、地竜=キッホル、光竜=セスリーンなどです。
この21種類に炎の紋章を加えて、計22種類になります。
棘竜から護竜までの順番は、私が適当に並べたのではなく、ゲーム中でこの並びに固定されています。

おぞましき英雄の遺産
神祖ソティスは、眷属として21体の竜族(ナバテア人)を作りました。
そのうち、レア(セイロス)・セテス(キッホル)・フレン(セスリーン)が主人公と密接に関わりますが、この3名以外にも多くの眷属がいました。
しかし、その眷属の多くは、後に「赤き谷」と呼ばれることになるザナドにおいて、解放王ネメシスにより虐殺されてしまいます。
そればかりか、心臓を紋章石、骨を刀身として「英雄の遺産」という武器にされ、解放王ネメシスと十傑たちに利用されました。

逆に言えば、英雄の遺産が存在する紋章は、ザナドの虐殺対象に含まれたことになります(ただし、四使徒分を除きます)。
英雄の遺産とは、竜族の被害者なのです。
解放王と十傑という、いかにも善に思える名前が、(竜族から見れば)加害者なのですから、なかなか複雑な歴史と言えるでしょう。
虐殺を免れたセイロス、並びに彼女と共にネメシス軍と戦った四聖人(キッホル・セスリーン・マクイル・インデッハ)は、現代まで存命しているので、当然ですが英雄の遺産はありません。
ユニークなのが棘竜(エルネスト)で、これはほぼ情報がなく、謎に満ちています。アンナ枠ということで、特別扱いなのかもしれません。
アンナは、シリーズ作品に漏れなく登場する特殊な商人なので、死んで英雄の遺産に化けるわけにはいかないのでしょう。
死神の刻印
大アルカナの話に戻りましょう。
大アルカナと紋章を見比べると、たとえば次の組み合わせのように、確かにイメージに合うものが幾つかあります。
・魔術師 マクイル(風をよぶもの)
・女教皇 セイロス
・恋人 セスリーン
・力 ブレーダッド
・正義 キッホル
・悪魔 獣(モーリス)
しかし、大アルカナとの関連を決定づけたのは、これらではなく、「13 死神」のゴーティエでした。
ファーガス神聖王国の辺境伯、ゴーティエ家の紋章持ちと言えば、青獅子学級のシルヴァンですが、ここで問題になるのは兄のマイクランの方です。
マイクランは長子として生まれながら、紋章を持たなかったがために、家督を継ぐことができませんでした。
自らの境遇に不満を持った彼は、英雄の遺産「破裂の槍」を持ち出して、コナン塔に立て籠もります。
しかし、英雄の遺産を使う資格、すなわち紋章(=竜族の血)を持たないマイクランは、英雄の遺産の力に呑まれて、おぞましい「黒き獣」へと変貌します。
この時、黒き獣の額に埋め込まれた紋章石に「XIII DEATH」に刻まれているのが、画像から確認されました。

これで大アルカナの「13 死神」と、紋章の「裂竜/ゴーティエ」が対応していることが決まり、あとは大アルカナの順番と、竜族の順番がそれぞれ固定であることから、並びが確定したというわけです。
海外のファンサイトでは、レアが竜に顕現した「白きもの」にも、II HIGH PRIESTESS(2 女教皇)と刻まれているという情報があるのですが、私が探した限り、証拠画像は見当たりませんでした。
大アルカナの裏設定は、別に知らなくても支障はありませんが、登場人物の内面をよく示唆しており、ファンには理解の助けになります。
風花雪月は単純な善悪二元論ではなく、それぞれの視点から見た正義があります。
深みのある世界であり、タロットカードが持つ正位置(プラス面)と逆位置(マイナス面)の意味が、登場人物を掘り下げるヒントになっていたりします。
ソロモン72柱
主人公ベレトに関わる元ネタとして、ソロモン72柱があります。
「ソロモン72柱」とは、17世紀頃に成立した魔術書「ゴエティア(Goetia)」に記された72の悪魔・精霊を指しています。
古代イスラエルの王、ソロモンによって使役されたと伝わります。
この12番目の柱・シトリー(Sitri)と、13番目の柱・ベレト(Beleth)が、風花雪月に関係しています。

人造人間
シトリーは、ジェラルトの妻にして、ベレトの母親です。
元々体が弱かったシトリーは、ベレトの出産に際して、20歳の若さで早世しました。
風花雪月の物語の後半、大司教レアは衝撃的な事実を明かします。
主人公ベレトとその母親のシトリーは、神祖ソティスを復活させるための器として、レアが造り上げた「人造人間」だったのです。
ソティスの心臓である紋章石を、12番目の実験体の心臓としてシトリーを造り、その後に13番目の実験体、つまりベレトの心臓として移植しました。
レア
・答えを聞く前に、あなたとの約束を果たしましょう。
あなたの正体を、真実を、包み隠さずあなたに伝えます。
あなたは…、私が造り上げた存在…。
神祖の紋章石を体内に宿す者…。
神祖を蘇らせるために私は、あなたの心臓に紋章石を…
ベレト…ごめんなさい。
たとえ禁忌を犯してでも…私は神祖に…母に会いたかった…。
レア
・母さえ復活すれば、私は自分が失ったものをすべて取り戻せると…そう思ったのです。
私は人の体を造り、その体内に紋章石を埋め込むことで、母を蘇らせようとしました。
苦心の末に作り上げた12番目の少女…
彼女もまた、失敗でした。
神祖の意識を宿さぬまま、彼女は成長し、セイロス騎士団の団長と恋に落ちました。
やがて彼女は身ごもりましたが、母子ともに出産に耐えられなかった…。
生まれた赤子は息をしておらず、彼女もまた、とても危険な状態でした。
彼女は私に、自身の中にある神祖の紋章石を赤子に移すよう懇願しました。
何もしなければ母子ともに命を落とすのみ。
…私は、彼女の願いを受け入れました。
そうして息を吹き返した赤子が…ベレト、あなたです。
シトリーとベレト以外に、ソロモン72柱から名前を取った登場人物はいません。
脚本家はどうやら、12(シトリー)と13(ベレト)の数字を使いたかったようです。
ジェラルトの苦悩

父親のジェラルトは、かつて大怪我を負った時に、大司教レアの血によって命を永らえた経緯があります。
竜族の血を直接輸血したことで、人間としては異常に長い寿命を得たようです。
レア
・かつて、あなたの父…ジェラルトの命を、私の血の力で救ったことがあります。
つまりあなたは、神祖の紋章石で生を得た母親と、私の血を与えたジェラルトの子。
アロイス
・昔、酒場で酔っ払って、ジェラルト殿がぽろりと漏らしたことがあるのだ。
自分はかつて紋章を宿す血をその体にいれ、紋章の力で寿命が延びたのだ…とな。
その時は、私も酒の席の冗談だと思って、笑って聞いていただけだった。
年齢を聞いたら、100歳を越えてから数えていないなどと言うのだからな。
だが…事実、あの方は20年前と何も変わらぬ姿で、私の前に現れた。
ジェラルト殿は不思議なお方だ。
あの方のことは、私にもよくわからん。
結果的には、ジェラルト一家は全員、レアに振り回されたことになります。
ジェラルト
・…レア様には気をつけろよ。お前を教師にする意図が読めん。
何かを企んでるかもしれねえ。
物語の冒頭、ジェラルトはレアを異様に警戒しました。1週目はよく分かりませんでしたが、2週目なら当然と思えます。
シトリーが亡くなった時、レアが情報を伏せたので、ジェラルトは疑心暗鬼に陥ったようです。
妻を失ったジェラルトは、子ベレトを守るために、命がけでガルグ・マクを脱出しています。
セテス
・ジェラルトの日記を読んだ。彼の部屋で偶然、見つけてね。
日記には、彼がここを出て行った理由も記されていたよ。
火災で死んだとされていた赤子…それが、あの者なんだろう?
彼は、君が赤子に何かしたのだと気づき、ここを出ていくと決めたんだ。
君は赤子に…あの者に、何をした?
まさか、禁忌に触れるような行いは…。
ジェラルトの日記
・あいつの死がまだ現実のこととは思えない。
子を産む際にあいつは命を落としたとレア様は言っていたが、本当にそうなのか?
そして、あいつが自分の命と引き換えに生んだ赤子は、産声さえ上げようとしない。
・相変わらず、赤子は泣きも笑いもしない。
レア様は心配ないと言っているが、泣かない赤子なんて普通じゃないだろう?
こっそり医者に診せると、脈は正常だが心音が聞こえないなどとぬかしやがった!
・赤子を連れてここを出ようと思う。
だが、赤子には教団の監視がついている。
レア様が何を考えているのかわからない。
あれだけ素晴らしい方だと思ったレア様が、今では恐ろしい。
・昨日の火災を利用して、赤子が死んだことにした。
レア様は異様なまでに焦っている。だが、後戻りはできない。俺がこいつを連れ…。

つづく。
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