大罪人コウカ
コウカ
・今のこの状況を招いた一因がお前にもあると、私はフォトナから聞いたことがある。
教えてくれ。それは…本当のことなのか?
いや、お前のことを責めたい訳じゃない。同じなんだ、私も。
物語を終えた後に見返すと、これは実に興味深い発言です。
コウカは序章において、数少ない貴重な味方として登場しますが、第1部では逆に敵のような言動を見せます。これに戸惑った方は多いでしょう。「ちっ」とか言ったりしますし。

彼女はミトラス修道会で約900年も活動し続け、途中からは幹部(四方正門)となって、ダグシオンの大量虐殺に加担しています。
実は、数十万人を死に追いやった大罪人なのでした。
自らの行いを深く後悔したコウカは、ゼノンの言葉に救われて救世主軍に身を投じるわけですが、やらかして世を乱したソレルと、大罪人コウカの組み合わせは、やはり意図のある設定でしょう。
帝都ダグシオンに乗り込む前、コウカはイシュマールに対して、自らが犯した罪を激白します。
これは事情を理解した後だと、胸が熱くなる場面なのですが、ここでは深入りせずに話をソレルに戻しましょう。
なお、コウカの告白は、物語を理解する上でも分かりやすいので、最後に全文を載せておくことにします。

バロール神殿の封印
コウカの問いに対して、イシュマールが何と答えたかは伏せられています。
この場面だけでなく、最後まで明言はされないので、私たちが考えるしかないのですが、やはり最初に挙げるべきは、バロールの娘ユ・ファスを妻にしたことでしょう。
穏やかに見えるソレルからは想像しにくいですが、彼は一目惚れして猛烈にアタックしたようです。
アウロラ
・ユファス母さまはバロール神殿に居た頃は、仮面で素顔を隠していたらしいの。
それは、素顔でいるとよくないことが起こるっていう、神祖さまの予言の関係らしいのだけど…
でも、父さまが嘆きの島を訪れた時に、たまたま母さまの素顔を見てしまって。
それで父さまは母さまに一目惚れしちゃって、頼み込んで島から連れ出してしまったらしいの。
その時の父さまの熱烈さに、母さまも根負けしちゃったって言っていたけど…
バロールの4姉妹は、神祖ソティスによって、顔を仮面で隠した上、墓守りをすることを命じられました。
ところが、真面目に墓守りをしたのはユ・ファスだけであり、残りの3人は鎮魂の逆、バロールの復活を企てていました。
ソレルがユ・ファスを引き抜いてしまったため、墓守りは機能しなくなり、やがて神殿の封印は解かれて、バロールの遺体が持ち出されることになります。
ソレルはこの事実に気づいていながら、結果的には隠蔽し続けました。
この「隠蔽」には、事情があったと言えばあります。
ソレル
・帝国の領土には二箇所、神殿の許可がない限り、何人たりとも近づくことが許されない場所、すなわち「触れ得ざる地」がある。
それがキュベレーと、禁断の地だ。
キュベレーを「触れ得ざる地」と定めたのは他ならぬダグザ大帝なのだが、なぜそのように定められたのかは、大帝のみぞ知ることであり、その理由は今も定かではない。
真意を探ることは、大帝への不敬とされたからだ。
だが、今回の君(※セオドラ)との約束を口実として、彼の地に調査隊を派遣してみようと思う。
「バロール神殿に触れるな」と指示したのはダグザ大帝でした。その黒幕は、フラーマで大帝を惑わしたラクシャ導師でしょう。
しかし、ダグザ大帝が長い眠りについて約500年なのですから、放置したのはソレルの不手際と言わざるを得ません。
つまり、ソレルはバロール神殿の封印が破られる原因を作ったばかりか、破られた後も500年にわたり黙認したわけです。
事態の深刻さに気づいて、行動を起こした時には、とうに手遅れになっていました。

ハニートラップ
アウロラ
・父さまはバロールの娘である母さまを、ご自分の妻としてお迎えなさいました。
それは、たとえ世界が滅茶苦茶になっても一緒になることを望んだからでしょう?
それだけの覚悟がおありだったからこそ、神祖様の言いつけを破って、あの島から母さまを連れ出したのではなかったのですか!?
距離を置こうとする素振りを見せていたって、絶対に母さまは父さまのことを信じていたのに!
どうしてもっとちゃんと、側に居てあげなかったのですか!?
そうすれば母さまは、もっとずっと、幸せでいられたでしょうに!
ユ・ファスの色香は、ソレルだけでなく、ダグザ神族を大きく乱すことになります。
この点は、アウロラの出生にも関わる重要な問題ですので、別記事として掘り下げます。
結論だけを言えば、ユ・ファスは処刑されることになり、ソレルは愛する妻を失ったばかりか、娘アウロラとも不仲になってしまいました。

その上、イリアナがユ・ファスに擬態して、ソレルに取り入ることになります。
失った妻に未練たらたらのソレルは、その色香に再び、あっさりと引っ掛かりました。私たちの世界でいうハニートラップです。
ダグザ帝国は、神威大帝ダグザがラクシャ導師に操られ、神威法王ソレルがイリアナに操られるという、内部崩壊のような状態に陥ったわけです。
一方、アラゴ王国はマリアに操られました。彼女は宰相マルティナとして取り入り、国王を暗殺して実権を握っています。
仮面を外したバロールの娘たちが、ダグザ神族の国々を支配したのです。
なぜ神祖ソティスは、バロールの娘たちに仮面を外すなと指示したのでしょうか?
それは4姉妹の強い色香が、男たちを惑わすからでしょう。
仮面を外さなかったのはライラーだけで、彼女は代わりにフラーマでダグザを惑わしました。
わずか4人の女が、ダグザ帝国とアラゴ王国をガタガタにしてしまったのです。
妻に捧げる大剣闘祭
ソレルはユ・ファスにベタ惚れだったらしく、ユ・ファスに擬態したイリアナの言いなりになっています。
ソレル
・彼らが見せたあの力(※ブレイズアーツ)…
あれは、普通の人間のものではないね。
あれは…そうだ。かつて見た、赤き斧のハンノとも少し似たものを感じる。
彼らから事情を聞いておいた方がよいだろうか。
イリアナ
・構わないでしょう…
強い力を持つ者たちなれば、おのずと勝ち残ってゆくでしょうし。
それに、これからの試合にも素晴らしい彩りを添えてくれることでしょう。
彼らに対するお取り調べは、すべてが終わってからでも…
そうではありませんか?
ソレル
・…そうだね。君の言うとおりかもしれないね。

イリアナは、ミトラス修道会の利益のために、ソレルを不自然に誘導しますが、ソレルは彼女の機嫌を損ねるのを恐れて追随します。
すべてがこんな調子だったのでしょう。ソレルは法王としての職責より、イリアナの意向を優先しました。
そもそも大剣闘祭の開催自体が、ミトラス修道会に唆されたものです。
ドレイクの財宝(=バロールの遺骸)を集めるために、バロールの娘たちが開催を促しましたが、そこに「血が流れるのを見ると、記憶を思い出しそうになる」というイリアナへの配慮があったのは、ほぼ間違いありません。
ラクシャ導師
・ドレイクの財宝…遺骸と遺骸は互いに引き付け合う。
多くの戦士たちがダグシオンに集結する大剣闘祭は大きな契機となる。
恐らく、ダグザ中に散ってしまった多くの遺骸が、この期間にダグシオンに集まるはずだ。
誰が勝っても負けても、そこに大きな違いはない。
ここに集まった遺骸を我々が把握、追跡し、可能なものから順に回収すればよいのだ。
イリアナ
・誰かの血が流れているのを見た時だけが、自分の生を実感することができる。
その時だけが、何かを取り戻したような、何かを思い出せそうな、そんな気になれるのです。

大剣闘祭の開催は、ダグザ神族の間で意見の一致を見たことではなかったようです。
軍神マーズは、あまり考えずに喜んだかもしれませんが、カーラのように疑問を隠さない者もいました。
カーラ
・ダグザ全土からあらゆる強者を集め、神聖な戦いを奉納することにより、父である神威大帝ダグザの目覚めを促すというのが名目になっておるが…。
さて、妾(わらわ)には兄上の考えがとんと分からぬ。
父を復活させても、混乱しか生み出すまいに。
魔道オタクのスミルノス、技術オタクのクレールあたりは、反対はしないけれど無関心といったところでしょうか。「兄上がやりたいなら、どうぞ」と、いかにも言いそうです。
カーラの言う通り、大剣闘祭の建前は「神聖な戦いを奉納して、ダグザ大帝の目覚めを促すこと」でした。
しかし、次の発言に見られる通り、ソレルはダグザが復活することなど、あり得ないと認識していたようです。
アンナ
・…ラクシャ導師はダグザの大釜の修復を企てているかもしれないと?
大剣闘祭によって大帝が復活なさることを見越しての行動でしょうか?
ソレル
・…。そんなことはあり得ない…
あの状態からの復活など、天地が返りでもしない限り…

つまり、ソレルはミトラス修道会に唆されて、血を見たがるイリアナのために、大剣闘祭を開催したわけです。
その結果、ミトラス修道会は目論見通り、ドレイクの財宝(=バロールの遺骸)の大部分を集めることに成功しました。
この点もソレルの重過失と言えるでしょう。
つづく。
注
この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。
【関連記事】 イシュマールの正体 (1)
【関連記事】 イシュマールの正体 (2)
【関連記事】 イシュマールの正体 (4)
【関連記事】 アウロラの本当の父親 (1)
【関連記事】 アウロラの本当の父親 (2)



コメント