万紫千紅考察 イシュマールの正体 (1)

イシュマールの正体1 ブログ

お蔵入りを見せてくれ!

 ファン待望の新作「ファイアーエムブレム 万紫千紅」は、すべての編をプレイした場合、クリア時間の目安が約140時間というクレイジーな作品でした。もちろん誉め言葉です。

 驚くべきは、これでも割愛した物語が多くあるということです。

 開発者によれば、当初は8人の物語を用意していたが、分量を抑えるために4人分にしたとのこと。

 削られた4人分は、絆焔将として「重要な仲間」という扱いになりました。すなわち、ベルトラン・アナトリア・オルヘル・タリムーンの4名です。

 彼/彼女らは元々の物語が割愛されて、その一部のみが「外伝」という形で組み込まれました。

 この結果、本来語られるはずだった情報が隠れてしまい、未回収に思える謎がいくつか残されることになりました。

 たとえば、大剣闘祭の開幕時に、特別試合としてベルトランと闘ったグルジンは、意味深な言動をしながらも、その後に一切登場しません。中盤に闘った死の宣告者も、やや唐突な印象がありました。

 彼らはおそらく、本来ならベルトラン編の章ボスのような存在だったのでしょう。

 たとえば、タリムーンはいつの間にか海賊キロイカを倒しています。母親と思われるマリアも、悶着の末に殺害する結果になりました。記憶喪失の仲間フィアナは、最後まで真相が分かりません。

 彼/彼女らもまた、本来であればタリムーン編で描かれたのだと思います。

 そして、絆焔将の4人には、真焔将の4人と同じく、力を貸してくれる仲間たちがいます。カイ編におけるピーテルとティアラのような存在が。

 そのすべてに、しっかりした物語があったはずなのです。

 これらのストーリーを見たかった、最初から育成したかったと思うファンは、きっと私だけではないでしょう。

 残念に感じる一方、そこまで作り込む情熱に驚いてしまいます。DLCやスピンオフ作品として世に出ることを期待しつつ、今は手持ちの情報で考察を楽しみたいと思います。

イシュマールの正体

 私は第3部を終えて本編をクリアした時、引っ掛かっていた疑問が解消されず、今ひとつカタルシスを感じませんでした。

 しかし、丁寧にテキストを追ってみると、随所に手掛かりがあることに気づきました。

 それらを一つずつ、紐解いて解説していきましょう。当然ながら、ネタバレ全開になりますからご注意ください。

心臓と心核

 まずは主人公のイシュマールです。

 イシュマールの正体は、作中において明確には語られませんが、実は多くのヒントが散りばめられています。

 もったいぶらずに、結論から述べましょう。

 イシュマールは、神威法王ソレルの生まれ変わりです。

 より正確に言えば、ソレルの心臓とゼノンの心核を使って、アガルタの技術で製造した人造人間です。

 ジョカが生んだ最後の調停者ですから、製造の順番だけを見れば、トロイアやアナトリアの弟分と言えなくもありません。

フォトナ
・吾は、この世界を救うための鍵となるもの(※ソレルの心臓)を持っておる。
 それを、どうしても彼の地(※コンロン)まで届ける必要があるのじゃ。

 ソレルを含めて、神(ナバテアの民)の心臓は、丸い石のような形状をしています。風花雪月の世界では「紋章石」と呼ばれていました。

 たとえダグザの大釜で肉体を溶かされても、紋章石=心臓は残るようです。

 フォトナは何らかの方法で、死んだソレルの心臓を回収したのでしょう。それをコンロンの里に持ち込み、肉体を再生しようと企図しました。

 一方、心核とはアガルタが発明した人体の強化部品であり、ファビオ、ガンシンなどのアガルタ幹部や、トロイア、アナトリアなどの調停者に埋め込まれています。これがあると高性能・長寿命になります。

 詳しくは別記事で解説しますが、ここでは心臓とは別の強化素材くらいに捉えておいてください。

ゼノン
・装置の準備が調い次第、心臓と心核を配置し、肉体の製造を開始する。

ゼノン
・心臓と心核とが万が一にも干渉を起こさぬよう、心核は丹田の位置に配置する。
 これについては、アナトリアと同様の設計だ。

 ソレルは、第2部でナレ死(ナレーションで死亡)して、そのまま最後まで登場しなくなります。

 私もそうでしたが、「実は生き延びており、どこかで仲間になる」または「冥将の一人として立ちはだかる」と予想した方は多いでしょう。

 あっさりナレ死するポジションには思えません。

 しかし、クリアまで行っても、なぜかソレルは消えたままでした。

 あれだけの重要人物が、一体どこへ行ったのかと思いきや、実は最初から別の形で登場していたのです。

 これは考察ではありますが、ほぼ確定と言ってよいでしょう。なぜなら、作者は「これでもか」という程の手掛かりを残しているからです。

ダグザ戦乱史 聖キッホル著
第1部 第1章
・ダグザ歴1,450年初頭、神威大帝ダグザは「大ダグザ宣言」を発布。
 それは、新年を迎えたばかりの帝国全土に激震をもたらすこととなる。

 神威大帝はこの中で、自分こそがダグザの地を支配する唯一にして絶対の存在であることを改めて強調し、併せて、神威法王ソレルが重大な背信行為を理由に、神威大帝の手で直々に処断されたという衝撃的な事実も公表されたのだった。

 さらに、ダグザ帝国の南部地域に領土を構えるサラミス王国について、「大帝の意に反する不法な占拠である」と断じ、宣戦を布告。

 また、ダグシオン闘技場の即時解体という不可解な決定も宣告され、市民から多くがこの作業に投入される事となった。

預言者の天冠

 万紫千紅には「天冠」という情報があります。

 詳しくは別記事で解説しますが、結論だけを言えば、天冠とは神の系譜を指しています。言い方を換えれば、竜族(ナバテアの民)の血です。

 風花雪月における「紋章」に相当するのが、万紫千紅における「天冠」です。

 天冠は、プレイする上では無視できる要素ですが、設定を考察していく上では、神々の血の繋がりを示唆する重要なヒントになります。

 神威法王ソレルは、預言者の天冠(ノアの紋章)を持っています。

 これは父・ダグザ大帝から継いだ竜族の血であり、ソレルの他には弟のクレールがこの天冠を持っています。

 そして、救世主イシュマールもまた、預言者の天冠を持っています。

 ダグザ大帝とソレル、クレールは親子関係がありますが、なぜ無関係に思えるイシュマールに預言者の天冠があるのかと言えば、それは彼の体内にソレルの心臓があるからです。

 これは風花雪月において、ソティスの心臓を体内に入れたベレトが、炎の紋章を得たのと同じ理屈です。

趣味嗜好

 プロフィールを見比べると、ソレルとイシュマールには共通点が多いことに気づきます。

 好きなもの、嫌いなもの、趣味を比較してみましょう。

 大部分が重複していることが分かります。重複していないものは、おそらくゼノンの影響を受けています。

 繰り返しになりますが、イシュマールは、ソレルの心臓とゼノンの心核を基にして造られているからです。

決めポーズ

 ソレルとイシュマールは、戦闘後のポーズがそっくりです。画像を見比べてみましょう。

 槍のスキルと一緒に、決めポーズまで継いでいるようです。

ソレルの輝槍

 ポーズだけではありません。得物の槍も同じです。

 「そっくりな槍」ではありません。「同じ槍」です。すなわち、ソレルの輝槍です。

 イシュマールは最初、無銘の槍という武器を使っていますが、クレール神殿を復興した場合、鍛冶の神クレールに槍を修理してもらうことができます。

 無銘の槍を修理すると「ソレルの輝槍」になるのです。戦技はもちろん「太陽」です。

 第1部のカイは、イシュマールの槍を見た時、アウロラの聖槍に似ていると言いました。

 これはカイの勘違いでしたが、なぜ誤解したのかと言えば、アウロラの聖槍がソレルの輝槍を模して造られたアークだからです。

 セントリオンは気づきかけましたが、冥魔から逃げる緊迫状態だったので、深く考える余裕はなかったようです。

鋼玉のセントリオン
・貴公の持っているその槍(※無銘の槍)
 …それはまさかアークの一種なのではないか?
 いや…もしかするとそれ以上の…? 私はそれを何処かで見たことが…。

 ソレルの輝槍は、他の武器と同じく鍛冶屋で錬成することができますが、その際に必要となる素材は、太陽石とオリハルコンです。

 第1部でソレルが参戦したのは、アンナ外伝でした。そして、アンナ外伝の報酬はオリハルコンです。この報酬は、ソレルの輝槍の強化に使うわけです。

 こんなところも、ソレルで繋げてあるのですね。

救世の光

 イシュマールが持つスキルも、実に示唆に富んでいます。

 まず、個人スキルの「救世の光」です。

 これは周囲2マスの冥魔の加護を無効化するもので、第3部においては特に重宝します。

 冥魔の加護がある敵は、与ダメージが半分になるため、非常に戦いにくくなります。

 そのため、たとえば次のような手段で、冥魔の加護を封じることが欠かせません。

・清めの剣
・神聖魔法
・冥滅の呪歌
・アウロラの加護

 しかし、イシュマールに限っては、この個人スキル「救世の光」があるお陰で、冥魔の加護を無効化できます。普通にダメージが入るのです。

 能力値に比べて、やたらと強く感じるのは、このスキルがあればこそ。

 周囲2マスに影響するので、他のキャラもイシュマールの近くで戦っていれば、冥界兵を倒しやすくなります。

 イシュマールに救世の光があるのは、ソレルが「太陽の神」だからです。

 バロールが地上に受肉するのは、完全なる日蝕の時、つまり太陽がすべて隠される時とされています。これを防ぐために救世主軍は戦っています。

 逆に言えば、冥界を祓うのは太陽であり、救世主軍を率いるイシュマール(≒太陽の神ソレル)なのです。

 また、レベルアップスキル「烈日の加護」も、太陽に関係しています。

 烈日とは、強く照りつける太陽を意味します。

 烈日の加護は、5~10%の確率で冥魔の攻撃を無効化するスキルです。

 先ほどの救世の光は攻める時に、そしてこの烈日の加護は守る時に、それぞれ太陽が後押ししてくれるわけです。

 そして、繰り返しになりますが、ソレルの輝槍の戦技は、ずばり「太陽」です。

 冥界と太陽。闇と光。バロールとソレル。分かってしまえば、実に単純なレトリックなのでした。

 つづく。

 注
 この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
 内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。

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