「朝、起きれない」の治し方 (3)

朝起きれない (3) 「朝、起きれない」の治し方

スマホを離しておく

 夜のスマートフォンは、眠りの大敵。スマホをベッドの近くから離しておくことが、質のよい睡眠につながります。

光を避ける

 スマホをベッドから離すべき一つ目の理由は「光」です。

 人の体は、光によって覚醒と睡眠を切り替える仕組みを持っています。

 朝は太陽の光を浴びたり、天井照明を見ることで、脳が「活動の時間だ」と判断し、自然と目が覚めますが、夜に強い光を目にすると、その仕組みが逆に働いてしまいます。

 特に、スマホやパソコンの画面が発するブルーライトは、脳を覚醒させる作用が強いとされます。

 寝る前に画面を見ると、体は休もうとしているのに、脳は覚醒モードだと勘違いしてしまい、ベッドに入っても寝付けない、眠りが浅くなるといった状態になります。

 理想を言えば、就寝の2〜3時間前から、部屋の照明は間接照明にして、スマホやパソコンの画面を見ないことが望ましいです。

 ホテルの客室が落ち着いた間接照明なのは、快適な睡眠環境を意識して設計されているからです。

 しかし、娯楽や連絡手段がスマホに集約された現代では、完全に真似するのは難しいでしょう。

 それでも、最低限守って欲しいのが、ベッドの近くにスマホを置かないこと。

 手元にあれば、どうしても手が伸びてしまいます。LINEなどのアプリの通知があった時や、時刻が気になる時は、気になって見てしまう人がほとんどでしょう。

 しかし、いったん手に取れば、だらだらと画面を眺めてしまいかねません。

 至近距離でスマホの光を目に入れると、脳への刺激はさらに強くなります。

 近くに置きながら、我慢することは難しいので、そもそもベッドに近づけない、寝室に持ち込まないなどの工夫をして、意識して距離を取ることが重要です。

電磁波を避ける

 次に、スマホをベッドから離すべき二つ目の理由は「電磁波」です。

 多くの人は、スマホを完全に電源オフにせず、スリープ状態のまま枕元に置いているでしょう。

 しかし、スリープ中でも、スマホは通信を行い、高周波の電磁波を発生させています。

 頭の近くにその発生源があると、入眠し辛くなったり、睡眠の質が下がったりする可能性があります。

 枕の下にスマホを置く行為は、特に好ましくありません。

 アラーム用途であっても、ベッドの近くに置くことは避けてください。目覚まし時計は、専用のものを用意する方が安心です。

 電磁波の影響については議論がありますが、長時間、至近距離で浴び続けることを避けるべきという点では、多くの専門家が共通しています。

 スマホの電磁波による影響を懸念してか、スマホの一部は取扱説明書で、一定の距離をとって通話することを推奨しています。

 通信中の端末を体に直接当てて、電磁波に曝露させることは、なるべく避けた方がよいでしょう。

 海外の人々は、スピーカー通話やハンズフリーなどをよく使っていますが、日本人ではあまり見かけません。電磁波に対する警戒が、日本人は少し弱いのかもしれません。

 また、スマホ以外にも注意したい、家庭にありがちな電磁波の発生源は、WiFiルーターやACアダプタです。

 WiFiルーターは高周波、ACアダプターは低周波ですが、どちらも電磁波として、人間に影響を及ぼします。

 これらがベッドの近く、特に頭の近くにある場合は、できる限り距離を取ってください。

 電磁波に詳しい医師の内山葉子氏は、原因不明の睡眠障害に悩んでいた人が、寝室からWiFiルーターを移動させたことで、嘘のように症状が改善したという例を紹介しています。

 これは一例に過ぎませんが、環境を整える重要性を示唆しています。

 電磁波は、距離が離れると急速に弱くなるという特徴があります。物理的に離すのが一番の対策になります。

 スマホを離しておくという小さな工夫は、睡眠の質を確実に改善してくれるでしょう。

ACTION
スマホをベッドの近くに置かない。可能であれば、寝室に持ち込まない。

メラトニンサプリを飲む

睡眠ホルモン

 メラトニンとは、主に睡眠に深く関わる神経伝達物質で、一般に「睡眠ホルモン」と呼ばれます。

 脳の中心部に近い、松果体という小さな器官から分泌されて、人間の体を休息モードに切り替える役割を担っています。

 メラトニンの最大の特徴は、夜になると増えて、朝になると減るという、明確なリズムをもつ点です。

 日中は分泌量が非常に少なく、夕方から夜にかけて徐々に増え始め、深夜にピークを迎えます。そして朝になり、目に光が入ると急速に分泌が抑えられます。

 メラトニンは、「暗さ」を合図に分泌されるホルモンなので、夜に強い光を浴びると、分泌が抑えられて眠りにくくなります。

 特にスマホやパソコンの画面に含まれる青い波長の光は、メラトニン抑制作用が強いことが知られています。

セロトニンがメラトニンになる

 メラトニンを理解するためには、別の神経伝達物質であるセロトニンの理解が欠かせません。

 セロトニンとは、人の覚醒、感情の安定、生活リズムの調整に深く関わる物質です。

 「幸せホルモン」と呼ばれることもありますが、心と体を安定した状態に保つための基盤となる物質、と理解しておくとよいでしょう。

 セロトニンの主な役割は、次の三つです。

 一つ目は、覚醒の維持。朝に太陽の光を浴びると、脳内でセロトニンの分泌が高まり、頭がはっきりして、覚醒モードに切り替わります。

 朝起きてしばらくすると眠気が取れるのは、この働きによるものです。

 二つ目は、感情の安定。セロトニンは、不安やイライラを抑えて、気分を落ち着かせる作用を持ちます。

 不足すると気分が不安定になり、集中力の低下やストレス耐性の低下につながります。

 うつ症状に悩む人は、セロトニンが不足している人が多いと言われます。

 そして三つ目は、本書との関係ではここが重要なのですが、睡眠リズムの土台になること。

 セロトニンは、夜に分泌されるメラトニンの材料になります。

 朝から日中に十分なセロトニンが分泌されていると、夜にメラトニンが作られやすくなり、自然な眠気が生じます。

 つまり、朝に太陽の光を浴びれば、セロトニンがしっかり分泌されて覚醒モードになる。

 そして、感情も安定する上に、夜は睡眠ホルモンであるメラトニンが作られやすくなって、自然な眠気につながるのです。

 カーテンを開けて眠り、窓から差し込む朝陽で、体に起きる準備をさせることは、同時に夜の入眠しやすさにも直結しています。

メラトニンサプリ

 メラトニンは、日本においては医師の処方がなければ買うことができませんが、米国ではサプリメントとして販売されています。

 処方箋なしで利用したい場合は、iHerb(アイハーブ)などの通販サイトで個人輸入することになります。

 iHerbなら日本の顧客も多く、日本語にも完全対応しているので、誰でも簡単に入手できます。

 ただし、輸入制限がされているらしく、1回の注文で買えるのは1個だけとなっています。1回1錠で60錠入りなので、毎日服用したとしても、約2カ月は使用できます。

 分量は3mg、5mg、10mgとありますが、3~5mgで十分効果があるでしょう。服用すれば30~60分で、自然な眠気を感じます。

 価格も手頃で、含有量にもよりますが、3~5mgで1,000円を下回る程度です。

 iHerbは頻繁にセールを行っていますので、もしご興味のある方は、後述する鉄分やビタミンB群などと一緒に、セール期間中に買っておくとよいでしょう。

 なお、メラトニンサプリには輸入制限があると書きましたが、これには抜け道があります。

 メラトニンだけを成分にする場合は、1回の注文で1個しか買えませんが、たとえば「ナイトレスト」などの名称で、メラトニン以外の補助成分(マグネシウム・GABA・グリシンなど)を追加した「睡眠サポート」という位置づけのサプリは、制限がかかっていません。

睡眠薬より穏やか

 メラトニンサプリが優れている点は、睡眠薬のように直接意識を失わせるわけではないということ。

 メラトニンの役割は、あくまで「今は眠る時間だ」と体に知らせることであり、体温や血圧を下げて、心拍を落ち着かせ、睡眠に入りやすい環境を整えます。

 このため、「気絶するように落ちる」と表現される睡眠薬より、体に優しいと言えるでしょう。

 一方、メラトニンが十分にあっても、強いストレスや興奮状態にある時は、眠れないことがあります。良くも悪くも自然な眠気であり、気絶ではないからです。

 嬉しい点が二つあります。

 一つは耐性がつかないこと。睡眠薬は常用すると、徐々に耐性がついてしまい、服用量が増えることがありますが、メラトニンは耐性がつかないと言われています。

 もう一つは、抗酸化物質として働くこと。メラトニンは、睡眠作用が強いことから、睡眠ホルモンという二つ名がありますが、その機能は多岐にわたります。

 自然な眠りを誘うだけでなく、抗酸化物質として、体を傷づける活性酸素を無害化する作用も備えています。

 それもおまけではなく、水溶性・脂溶性の両方の性質があり、広い分野で活動できるなど、抗酸化物質の中でも優れた能力を持っています。

 眠らせるホルモンであると同時に、夜の間に体を修復する防御因子でもあるのです。

 朝に太陽の光を浴びてセロトニンを分泌し、それを原料に夜はメラトニンを分泌することは、睡眠リズムを整えるだけでなく、健康そのものに恩恵をもたらします。

 この流れが整うように注意しつつ、少し乱れてしまった時は、メラトニンサプリを上手く活用することで、睡眠の質を上げることができるでしょう。

ACTION
必要に応じて、メラトニンサプリを利用する。

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