隠語であそぼう 証券・外為編

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証券・外為業界

 私は十数年にわたり、証券業界で働いていた時期があります。

 今ではまるで、誰か他のひとの人生のように虚ろな記憶なのですが、シリーズ隠語として、当時のことを思い出してみました。

焼かれる

 売り方が大きくやられること。カラ売りをしたが、踏み上げられた(相場が上がった)時に使う。

 ex. ショート勢が踏み上げで焼かれた。
 ex. 売り豚どもを焼いてやれ。

溶かす

 大金を失うこと。「資金を溶かす」とも。

 井川意高氏(大王製紙前会長)が、カジノで大金を失ったエピソードで、広く知られるようになった言葉。

 ex. どうしよう、家が買えるくらい溶かしちゃった…。

退場

 資金を失って、もうトレードできない状態になり、市場から消えること。

 ex. 昨日の雇用統計で退場させられた。

ロスカ

 ロスカット(損切り)のこと。含み損のポジションを決済する。

 ex. ロスカはトレードの命綱。

押し

 上昇した相場が、反動で少し下げた状態のこと。

 買いの好機とされるが、反動にとどまらず、そのまま下落していくこともある。

 ex. 初押しは買い。
 ex. 押し目じゃなくて、おしめえ(終わり)だった!

ブル

 強気(相場が上がると思っている)のこと。牛が角を突き上げる様から。

ベア

 弱気(相場が下がると思っている)のこと。熊が爪を振り下ろす様から。

ピグ

 強欲なトレーダーを戒める言葉。牛や熊に合わせて、動物の豚を使っている。

 ex. ブルでもベアでも勝てる。だが、ピグは死ぬぞ。

イナゴ

 急上昇した仕手銘柄に群がる個人投資家のこと。

 イナゴが群がって鋭角に上昇し、直後に暴落したチャート形状を「イナゴタワー」と呼び、その日の観光名所として馬鹿にされる。

クジラ

 巨大な資金を持つ機関投資家のこと。中央銀行、年金基金、巨大ファンドなどを指すことが多い。

 その影響力を畏怖して、「池の中のクジラ」と言われることもある。

ナイアガラ

 株価が暴落すること。ナイアガラの滝から。「ガラる」ともいう。

ヨコヨコ

 上昇もせず下降もせず、横ばいの時間が続くこと。

 一般には、もち合いやレンジと呼ぶことが多いが、少し可愛らしい表現で、ヨコヨコやミリミリと言う人もいる。

 ex. トレンドが長かったから、しばらくヨコヨコだね。
 ex. 今日はミリミリしてるなぁ。

ジェイシー

 Jumping Catchの頭文字。自分が買ったところが天井で、すぐ下げてしまった時に使う。

 ex. またジェイシーしちゃったよ~。
 ex. 儲けたいなら、ジェイシー上等で買ってけ。外したら切ればいい。

往復ビンタ

 買ってはやられ、売ってはやられること。精神的にだいぶヘコむ。

 ex. 往復ビンタを食らった。

刈られる

 ロスカット注文を発動させられて、損切りを強いられること。自分は無価値な雑草だと痛感できる。

 ex. ヒゲで刈られた。

養分

 大口の投資家にいいようにやられて、利益を提供する存在になってしまうこと。カモと同義。

 自虐的に言う場合と、誰かを馬鹿にして言う場合がある。

 ex. ストップ狩りで養分にされた。

インチキ上げ

 理由もなく上昇した状態を疑う言葉。それによって負けた人、または上昇に乗れなかった人がよく使う。

 実際は、上昇したという現実が正しい。

握力

 ポジションを握り続ける(保有し続ける)精神力のこと。

 少々の暴落に動じない様を「握力が強い」とほめ称えるが、握力が強すぎて、そのまま一緒に転げ落ちていく人もいる。

 ex. 俺、握力よわいから売っちゃったよ。

ガチホ

 ガチでホールドの略。ポジションを握り続けること。

 「ガチホしてやるぜ」と息巻いている人ほど、少し下げるとすぐビビッて逃げる。

塩漬け

 買った株が暴落してしまい、損切りする勇気もなく、含み損のままだらだら保有し続けること。

 自虐や軽蔑の意味合いで使われることが多いが、それが現物株である限り、実はかなり合理的だったりする。

 少し勉強した程度の自称中級者が、小馬鹿にしていた塩漬けマンに負けることはよくある。

億る

 資産が1億円の大台に達すること。

 アカデミー賞を受賞した映画「おくりびと」を文字って、「億りびと」という表現も生まれた。

 これは葬式をテーマに扱った映画だが、億りびとになろうとして、おくられた(葬式になった)投資家は多い。

お祈り

 買った株が上がるように祈ること。とりわけ、含み損になった株が上がる(戻る)のを願う例が多い。

 自分が安全な時は馬鹿にしているが、いざ当事者になると、ついお祈りしてしまう。

ポジポジ病

 常にポジションを持っていないと落ち着かない状態のこと。トレード中毒と同義。

 儲かるかどうかは置いといて、本人はけっこう幸せだったりする。

タジタジ病

 常に慎重さを失わず、安易に動かないことを信条にしているが、いざという時もやっぱり動けない状態のこと。

 冷や汗だけかいて何もせず、相場に畏敬の念を抱きやすい。撃たないスナイパー。

コツコツドカン

 コツコツと小さく勝って、積み上げたささやかな利益を、1回の損切りでドカンとやられて帳消しにしてしまうこと。

 誰もが通る道であり、ここを抜け出せないまま、退場していく投資家は多い。

 コツコツがなく、ドカンだけの人もいる。

スキャルピング

 ほんの数銭の薄利を狙う超短期の売買手法。その分、トレードのサイズを大きくして、利益を増やそうとする。

 北米大陸の先住民が、入植してきた敵の頭蓋の皮(スカルプ)を薄く剥いだというエピソードから。

ハメ込み

 高値で買わせるように、個人投資家を煽ること。

 すでにポジションを保有している者が、他人をハメ込んで、自分は利益確定して逃げようとする。

 仕事熱心な証券マンが、よかれて思って顧客に勧めて、結果的にハメ込むこともよくある。

鉄砲

 同じ銘柄について、ある証券会社で買い注文を出し、別の証券会社でカラ売り注文を出して、勝った方の利益だけを奪うこと。

 負けた方には連絡を絶って、行方をくらます。「鉄砲を撃つ」とも。

 ネット証券や前受け制の普及によって、過去のように鉄砲は撃てなくなった。

 ex. あの客、鉄砲うちやがった。

血を入れ替える

 相場環境が悪くて、既存顧客の大半がやられてしまい、証券会社が注文を取りにくくなった時に、新規顧客を開拓するという意味で使われる。

 朝礼や営業会議で「血を入れ替えろ」と詰められる。

一人〇して一人前

 太い客に何度も大きな注文を出させて、最後は大損して自〇するまで営業をかけて、それで初めて一人前の証券マンだという意味。業界の黒歴史。

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