看護・医療の世界にも、他の業界と同じように俗語や隠語があります。
患者の健康状態、時には生命にすら関わるため、表現をぼかす必要性はいっそう高いと言えます。
また、緊急事態、強いストレス、長時間勤務などが日常化しやすいため、重い空気を少しでも軽くしようとする意図もあるかもしれません。
当人たちは大まじめですが、部外者が字面だけ見るとクスっとしてしまう隠語を、いくつかご紹介します。
実際に使われている隠語
アポる
脳卒中で倒れること。apoplexy(脳卒中)から。
ex. 2号病棟の龍川さん、昨日アポったらしいよ。
デコる
心不全に陥ること。decompensation(代償不全)から。
ex. まずい、このままだとデコる…。
タキる
頻脈(心拍数が100回/分以上)になること。tachycardia(頻脈)から。
エピる
てんかんを起こすこと。epilepsy(てんかん)から。
ex. 大変です、龍川さんがエピりました!
ステる
患者が亡くなること。sterben(死ぬ/ドイツ語)から。
ex. 早朝にステった。
ベジる
植物状態になること。vegetable(植物)から。
ex. 3年前からベジってる。
ツッカー
ブドウ糖のこと。zucker(糖/ドイツ語)から。
ex. ツッカー入れて。
ハルン
尿のこと。harn(尿/ドイツ語)から。
いかにも実際にありそうなジョーク隠語
とある事情で看護・医療の隠語を調べていたのですが、最近の検索エンジンは、頼んでないのにAIが次々と教えてくれます。
最初は根拠を確認できないので排除していましたが、意外に笑えて、かつ実際にあっても全然おかしくない例が多く、途中から捨てるのが惜しくなりました。
この「いかにも感」を誰かと共有したくて、整理してみました。
注 ジョーク隠語なのでご注意ください。本当にあるかもしれませんが、裏は取っていません。

シュッとする
瞳孔反応や意識が急に戻ること。
ex. さっきまで危ない状態だったけど、急にシュッとした。
帰って来る
心停止後に心拍再開すること。患者が再入院することを指す場合もある。
ex. (看護師が)先生、帰って来ましたッ!
爆発する
術後創部や、腸管縫合部が破綻すること。
ex. あちゃー、爆発したかぁ…。
脂が乗ってる
肥満のため、外科手術をしにくいこと。
飛ぶ
患者が勝手に退院・失踪すること。
ex. 夜中に飛んだ。
ペラる
せん妄や酩酊などで、患者がペラペラ話す状態が止まらないこと。
ex. 龍川さん、またペラってるよ。
ERが燃えてる
救急外来が大混雑していること。火事は一切関係ない。
ex. 今日はERが燃えてるな。
モニター芸
心電図モニターの波形ばかり気にして、患者本人を見ていないことに対する皮肉。
ex. あの先生はモニター芸人だからねぇ…。
転ぶ人は転ぶ
どれだけ転倒リスク対策を徹底しても、転ぶ人は転んでしまうという半ば諦観。現場の苦労がにじんでいる。
点滴マスター
ルート(静脈路)の確保が異常に上手いベテラン看護師のこと。新人から英雄視されている。
3K
「帰れない・給料安い・結婚できない」を意味する略語。勤務医の過酷な労働環境を示している。
寝たきり製造機
高齢者を長期間、ベッド安静にし過ぎて、逆にADL(日常動作能力)を落とすことに対する皮肉。
病院というシステムそれ自体を揶揄する場合もある。
カルテが育つ
患者の病歴がどんどん長文化すること。自分が育てているという意識はあまりない。
処方カクテル
向精神薬が多数併用されている、異常な状態に対する皮肉。
フルコース
生活習慣病をセットで患っていること。
ex. あの龍川さんって患者さん、綺麗なフルコースですね(医師同士の冗談・雑談で)
デパ地下処方
主に高齢者などに対して、薬剤を処方し過ぎることに対する皮肉。買い物袋をたくさん持っている様から。
VIP
クレームが多い患者に対する皮肉。Very Important Patientの略。
ex. あの人はVIPだから注意してね。
社会的入院
医学的には退院できる状態だが、家庭の事情などで退院できないこと。
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