FF16のエンディング考察のおまけとして、テーマソング「MY STAR」に触れておきます。
これもまた示唆あり、匂わせありで、ファンを振り回す絶妙な塩梅(あんばい)になっています。
和訳はあえて、詩的な要素を含んだ公式ではなく、無骨な直訳にしています。

MY STAR
Star light (say goodnight)
星の光、お休みと言って。
Star bright, where have you fallen?
星の輝き、どこへ落ちてしまったの?
Star light (say goodnight)
星の光、お休みと言って。
Star bright, I hear you calling
星の輝き、あなたが呼んでいるのが聞こえる。
Fire, a fire that filled the night
炎、夜を満たす炎。
Fire that warmed and brightened my life
私の人生を温め、照らしてくれた炎。
My guiding light
On high
私を導く星、天上で。
My hearth, my beacon, and my hope
私の暖炉、灯台、そして希望。
A sky of scattered tears
涙が散った空。
A thousand years apart
数千年と離れたまま。
Should they fade, I will not be afraid of the dark
仮にそれらが消えても、私は闇を恐れない。
For your flame still burns inside me, deep within my heart
あなたの炎が私の中で燃えているから、心の奥深くで。
Showing me a new tomorrow
新しい明日を見せてくれる。
Never too far
私の近くで。
And when I cannot bear the pain
苦痛に耐え難い時、
I’ll look up to the sky and pray
私は空を見上げて祈る。
That though our night is over, you shall always remain
二人の夜が明けても、あなたは常にそこに居ると。
Forever my treasure, my star
永遠に私の宝物、私の星。

二人の夜が終わる…?
例によって、生存・死亡のいずれも、確定的には表していません。
しかし、あえて言い切りましょう。この歌詞は、クライヴが生きている前提であると。
ドキドキするのが、次のくだりです。
・That though our night is over, you shall always remain
「二人の夜が終わる」という不穏な表現があります。
しかも、「あなたは常にそこに居る」が、pray(祈る)に従属接続しています。
常にそこに居ると祈っているということは、まるで実際はそこに居ないみたいではないですか。
この性悪女みたいな一文は、どうすればよいのでしょう?
生きている前提で探している
心配は要りません。答えは最初の方にあります。
・お休みと言って(say good night)
・どこへ落ちてしまったの?(where have you fallen?)
・あなたが呼んでいるのが聞こえる(I hear you calling)
つまり、見えなくなったけれど、生きている前提で探しているのです。
ジルにとって、夜の星空は涙が散ったもの(A sky of scattered tears)。彼女は悲嘆に暮れて、メティアに祈る娘でした。

そんな彼女は悟ります。自分の人生を温め、照らしてくれたのは、クライヴの炎だったと。
・Fire that warmed and brightened my life
私を導く光(My guiding light)、私の暖炉(My hearth)、灯台(my beacon)、そして希望(and my hope)と、赤面級のベタ褒めをしています。
永遠に私の宝物(Forever my treasure)、私の星(my star)と。
自分の「星」は、夜空に輝くメティアではなく、クライヴの炎だったと確信しています。私が祈ったあの赤い星は、本当はクライヴの炎だったのだと。
夜はネガティブ、朝はポジティブ
既述の通り、ジルにとって「夜はネガティブ、朝はポジティブ」と意味づけられています。
クライヴを失うかもしれない不安な夜は、メティアに祈りを捧げる。そして夜が明けると、クライヴは必ず帰って来てくれた。
ジルはこの関係を、繰り返し学習しています。
鉄王国に拉致されて、地獄の日々を送った時さえ、やはりクライヴは帰って来たのです。約13年越しとは言えど。
そうであれば、夜が終わる(night is over)ことが、ここにおいてのみ、ネガティブな意味を持つのは不自然です。「夜が明ける」と言った方がよいでしょう。
あなたは常にそこに居る(you shall always remain)が、prayに従属接続していますが、このprayは字義通りの「祈る」というより、believe(確信)に近いと考えます。
なぜなら、その前に「仮に星々が消えて闇になっても、あなたの炎が心の中にあるから恐くない」とあるからです。
メティアに頼った頃の少女なら、星が消えた時に(Should they fade)、暗闇を恐れたかもしれません。
しかし、常にクライヴが居てくれると確信しているジルは、もう闇を恐れません(I will not be afraid of the dark)。
たとえ夜に輝かなくても、昼に光が見えなくても、必ず居てくれる「永遠の宝、私の星(Forever my treasure, my star)」だと信じています。
ジルにはもう、メティアは必要ありません。
MY STARは、メティアではなく、クライヴだと悟ったからです。

私は闇を恐れない
ここで再掲しましょう。
・お休みと言って(say good night)
・どこへ落ちてしまったの?(where have you fallen?)
・あなたが呼んでいるのが聞こえる(I hear you calling)
これらは死を悼む語句ではありません。
姿が見えないけれど、生きている前提で探そうとしています。
たとえ姿が見えなくても、今のジルが闇を恐れることはありません。なぜなら、必ず居てくれると確信しているから。
もしクライヴが死んでいたら、冥界から呼ばれている(I hear you calling)ことになります。
誰かを愛する女性が、希死念慮を感じながら、朝陽を見て微笑むことはないでしょう。
注
この記事は個人の考察であり、スクウェアエニックス社の見解ではありません。
内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。
【関連記事】 FF16 クライヴは生きている (1)
【関連記事】 FF16 クライヴは生きている (2)



コメント