震えて眠れ!
結婚相談所は、結婚の意思があり、かつ身元が保証された男女だけが、お金を払って入会しているから、出会いの効率がよい。
こう考えている人は、少なくないようです。
しかし、多くの場合において、事実とはろくでもないもので、結婚相談所で結婚したカップルは、スピード離婚や離婚訴訟で傷を負う例が少なくありません。
特に男女間に収入格差があるほど、離婚に伴うコストは跳ね上がります。
そして、深刻な経済的被害を負うのは、男性であることが大半です。
常識ではあり得ないような制裁が課されますが、法律と判例で決まっているのですから仕方ありません。
賢明な諸兄にできることは、その実態を知ってガタガタ震えることだけです。
もちろん結婚相談所で知り合って、幸せな夫婦生活を送っておられる方も多いでしょうが、相当なギャンブル的要素があることは否めません。

結婚もスピード、離婚もスピード
結婚相談所を介して結婚した夫婦は、超が付くスピード離婚をするケースが多いとされます。
これは成婚までの期間が短いことの裏返しでもあります。
結婚相談所はそもそも、結婚の意思が強い男女が集まる上、活動・交際の期間に制約が設けられています。
無制限にだらだら続けると、なかなか進展しないということで、半強制的にステップを進める時限措置があるのが普通です。
入会から〇カ月、交際から〇カ月などの期間を設けており、それを超えると新たな負担が生じたり、話が流れたりする仕組みにして、男女それぞれに判断を促すわけです。
これ自体は、相応の根拠と効果があるのでしょうが、一方でどうしても、恋愛結婚に比べると交際期間は短くなります。
極端なケースだと、交際期間ゼロという事例もあります。
結果として、結婚もスピードであれば、離婚もスピードという、裏表の特徴が際立つことになります。
出会って数カ月で結婚したまではよいけれど、その後の数カ月で離婚して、1年以内に独身に戻ったりする例が稀ではありません。
結婚した時以上のコストを弁護士に払い、結婚期間より遥かに長い離婚訴訟に悩むわけです。
また、結婚のスピードが早まることは、一見よいことに思えるかもしれませんが、実際は良し悪しです。
人間、期間制限がある中で、「そろそろ決めないと…」という心理圧力を受けると、正常な判断ができなくなる可能性があります。
紹介された他の人より条件が優れていると、やけに良く見えてしまったり、早く成婚して解放されたいという逃げの心理が働いたり、払ったお金がもったいないという貧乏根性がのぞいたりします。
無論、アドバイザーという、支援者の体をした営業マンは、男女双方に成婚を強く勧めてきます。
アドバイザーは、成婚して報酬さえ得られたら、その後の結婚生活などあずかり知りません。
証券マンが、顧客に株を買わせて手数料を取ったら、その後に値上がりしようが値下がりしようが、興味がないのと同じように。
こうした諸々の要素が重なり、人生で最も大事であるはずの決断を、流されるようにしてしまうことが、意外と多くあるのが現実だったりします。

愛情なんていつあった?
離婚訴訟を多く手掛ける堀井亜生弁護士によれば、結婚相談所を介した結婚は、スピード離婚が多いことに加えて、もう一つ特徴があると言います。
それは恋愛結婚に比べて、別れる時に泥沼化しやすいということです。
その仕組み上、交際期間がどうしても短くなるので、恋愛結婚のようなラブラブの時期が存在しません。
愛し合った時期がなければ、当然ながら情は移っていません。
お互いに条件だけを見て、期待と要求が先行した状態で成婚しています。つまり、「損得」の関係なのです。
それ自体は悪いことではありません。人間関係は多くの場合、最初は損得でつながるからです。
そこに愛情や感謝が生まれた時、ようやく損得を越えた深い関係になります。
結婚・子育て・介護などは、損得だけでは到底務まりません。愛情か感謝か、またはその双方があって、初めて成立し得ます。
恋愛結婚の場合、交際期間を経てお互いに情を移し、愛情を育んでいくものですが、結婚相談所を介した結婚は、良くも悪くも交際期間が長くありません。
したがって、結婚後に愛情や感謝を一緒に育てていく必要があります。
しかし、この共同作業に失敗した場合や、そもそも相手にそういう意識がない(要求することしか考えていない)場合などは、スピード離婚になってしまいます。
損得で結婚して、期待外れだったから、損得で離婚する。つまりは、こういうことです。
しかも、愛情が存在したことがないので、敵意を抑制するブレーキが働きません。かつて好きだった恋人ではなく、憎たらしい赤の他人という扱いになります。
自分は何も悪いことをしていないという、納得できない思い。すでに支払ったコストが惜しい、返して欲しいという損得勘定。
異性経験が乏しいゆえに、過剰に抱いていた幻想や、異性に対する理解のなさ。
要求ばかりであまりに身勝手だ、精神的に幼いという嫌悪感。
こうした要因が重なって、相手を許せなくなってしまう例が多いようです。泥沼化してよいことは何一つないのに、深みにハマってしまうのです。

「プロ」のアドバイザー
結婚相談所は、マッチングアプリに比べれば、参加者のリスクはある程度、管理されています。
入会や活動に課金される上、各種証明書類の提出を求められるため、一定のチェックが働くからです。
ただし、それは既婚者が紛れていない、プロフィールに重大な嘘がないという意味であり、誠実な人柄か、社会的な常識があるか、通常の対人能力があるかなどは考慮されません。
参加者の質に関して、過度な期待をすべきではないでしょう。
一方、期間制限による心理圧力を受けたり、活動や成婚に経済負担が伴ったり、アドバイザーから営業や的外れな提案を受けたりと、マッチングアプリにはない欠点も多く存在します。
私が最も腹が立つのは、アドバイザーを名乗る営業マンが、上から目線で、提案とも攻撃とも言えるような「助言」を、ずけずけとしてくることです。
そもそも連中がプロかどうかは、甚だ疑わしいと言えます。
その道のプロであるなら、結果を意図的に再現できる実力が求められますが、結婚相談所のアドバイザーはおよそこれに当てはまりません。
どうにか1回、多くてもせいぜい2回、様々な要素が重なって結婚しただけの(多くは)中高年女性が、さも実力者であるかのように振る舞っているのが、私は若い頃から不思議で仕方ありませんでした。
あんたらどう見ても、ただのおばさんじゃないかと。
中には、結婚できなかった、あるいは離縁された中高年女性が、婚活についてあれこれと「指導」してきたりします。
結婚している場合も、単に旦那さんが頑張ってアプローチしただけかもしれません。
幸せな結婚生活を送っているかは、まったくの未知数です。
こういう連中が、話し方やら、服装やら、趣味やら、ひと様のデリケートな部分に、助言と称してずけずけとケチを付けてくるのです。
そして、それが的外れな場合や、単にその人の好み、または思い込みに過ぎない場合は少なくありません。感性と定性評価に基づくモヤっとした世界です。
「改善」のために、グループ企業の利用を促されることも普通にあります。
しかも、こうした助言を無視すると、やる気がない、素直さが足りない、そんな態度では成婚できないなどと、別の攻撃をされることになります。
私は結婚相談所の仕組み云々というより、こういう根本的な胡散臭さが苦手で、アドバイザーという存在を信用する気に、到底なれませんでした。
ノイズでしかない営業マンを排除して、システム利用だけに課金するなら、検討する価値はあるかもしれませんが。

怖気づくには十分
結婚相談所では、外見・年齢・居住地・職業などに加えて、年収・学歴・結婚歴・子供の希望など、機微な個人情報を最初から閲覧できます。
しかも、各種証明書によって、それなりに裏が取れていますから、プロフィールに重大な嘘はありません。
この点はマッチングアプリに比べて、明確に優れていると言えるでしょう。
一方、次のような情報は、やはり一緒に過ごしてみなければ分からず、結婚相談所といえども限界があります。
・会話のテンポ
・金銭感覚
・家事への考え方
・笑いのツボ
・性生活への価値観
・ストレスを受けた時の言動
そして、結婚生活を続ける上では、こうした要素の方が、プロフィールから確認できる条件より重要になります。
たとえ条件面では希望に近くても、いざ一緒に生活すると全然合わない、ということがあり得るのです。
良くも悪くも、恋愛は「この人が好き」から入るのに対して、結婚相談所は「この人は相手として適切か」という視点になります。
それはある意味では効率的ですが、一方で自然な感情より、条件を優先する歪みを生みます。
恋愛と結婚相談所のどちらが正解とは言えません。
それぞれに一長一短であり、上位・下位の関係にはないので、特徴を踏まえた上で自分に合う方を選ぶことになります。
仮に、プロフィールで確認できる要素を「ハード条件」、一緒に過ごさないと確認できない要素を「ソフト条件」と呼ぶとしましょう。
恋愛の場合、ソフト条件に強みがあり、ハード条件が不明瞭になりがちです。
交際期間は長くなる傾向があり、結婚に至る場合はそれなりに愛情と感謝が育まれていますが、途中で頓挫することも多いです。
一方、結婚相談所の場合、ハード条件に強みがあり、ソフト条件が不明瞭になりがちです。
交際期間は短くなる傾向があり、結婚しても最初は愛情や感謝がありません。実は期待と損得だけの薄っぺらい関係から始まります。
どちらにしても難易度は高く、「そこまでしてやる価値があるのか」と怖気づくには十分と言えるでしょう。
そして、この問題に拍車を掛けるのが、離婚時に課される制裁です。
日本の少子化は、いくつかの重要な項目を、根本的に改めなければ解決しませんが、その一つは「離婚コストの重さ」です。
次はこれについて見ていきましょう。
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