抜け毛の減らし方 (1) 毎日シャンプーの弊害

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シャンプーが抜け毛を増やす

 「最近、抜け毛が増えた」と感じることはないでしょうか。

 特に自分で床掃除をする人は、落ちている髪の量に驚いてしまうことがあると思います。

 髪の毛は毎日、50~100本が抜けると言いますが、それでも不安を感じてしまいます。

 抜け毛の原因になり得るものは多く、その人の事情に左右されるため、万人共通のシンプルな解決策はないのですが、それでも一つ、大多数の人に関係する因子があります。

 それは日々のシャンプーです。

 シャンプーが髪の健康によいと信じている人は多いでしょう。私たちはそのように洗脳されています。

 しかし実際は、シャンプーが抜け毛を増やす要因の一つになっています。特に毎日シャンプーする人は、その傾向が強いと言えます。

 私も長らく、シャンプーは良いものと信じて疑いませんでした。

 「頭皮や毛髪の健康のために」と思って、1日に2回シャンプーする日もありました。

 抜け毛に不安を感じていた時期も、シャンプーを疑うという発想はありませんでした。

作られた習慣

 シャンプーは毎日必ずするもの、歯磨きと同じようなものと思っている人は、おそらく多いでしょう。

 子供の頃からそれが当然なので、何か事情がなければ、わざわざ疑ったりはしません。

 しかし、シャンプー習慣は1970~90年代に普及した新しい習慣、それも誤解を恐れずに言えば、商業主義が広めた習慣です。

 本当は必要ないものかもしれません。実際、日本には長らく存在しませんでした。

 江戸時代の日本人は、お湯・石けん・米ぬか・卵白・ふのり・火山灰などで髪を洗っていました。毎日ではなく、数日や数週間に1回です。

 シャンプーという名の商品が登場したのは昭和初期。

 その代表例は、モダンシャンプー(1926年)、花王シャンプー(1932年)などでしたが、これらは当時の高級品であり、庶民の多くは石けんで洗っていました。

 シャンプーが大衆に広まり始めたのは、戦後から高度成長期のことです。

 要因は幾つかありますが、家庭の内風呂が普及したこと、液体シャンプーが登場したことが、特に大きかったと言われます。

 液体シャンプーは、粉末や固形石けんより使いやすく、泡立ちや香りも優れているので、人々に好まれたのです。

またしてもテレビ

 1950~60年代に生じたこの流れを、爆発的に加速させたのが、1970年以降のテレビCMでした。

 当時の有名女優を起用して、毎日のシャンプーは当たり前、清潔にして身だしなみを整えよう、異性の好感度が上がるなどと宣伝しました。

 これが当時、特に若者世代の支持を集めました。

 テレビの強力な訴求力と、清潔好きな日本人の国民性が相まって、急速に拡大して行きます。

 中高年の方は、朝シャン(朝にシャンプーする)、チャンリンシャン(ちゃんとリンスもできるリンスインシャンプー)などの造語を覚えておられるでしょう。

 毎日シャンプーは、長い目で見ればごく最近に作られた、新しい「常識」なのです。

毎日シャンプーによる弊害

 なぜ毎日シャンプーすると、抜け毛が増えるのでしょうか? 主だった理由を幾つか挙げます。

皮脂バリアを壊す

 人間の表皮には、全身にわたって薄く皮脂膜が張り巡らされています。

 この皮脂膜は、肌の潤いを維持する天然の保湿クリームとして働くほか、外部刺激を和らげたり、細菌の侵入を防ぐ重要なバリア機能を持っています。

 皮脂は多過ぎると、ベトベトして脂っぽくなり、それが出来物につながったり、酸化して臭いの元になったりしますので、厄介な一面もあるのですが、健康には欠かせない存在です。

 しかし、毎日シャンプーすると、頭皮の皮脂膜がその都度ごっそり落ちてしまい、皮脂バリアが消えて露出する状態が長くなります。

 結果として、頭皮が乾燥したり、炎症を起こしたりして、頭皮環境が悪化することになります。

 また、必要不可欠な皮脂膜を失うと、体はそれを急いで再生産しようとしますから、そちらに栄養が消費されることで、毛髪の生産に使う分が減るおそれがあります。

 その状態が続くと、徐々に髪が細く、弱くなって、コシを失っていきます。

常在菌バリアを乱す

 人間の体には、目には見えませんが、無数の常在菌が共生しています。

 特に有名かつ重要なのは腸内細菌ですが、腸内に限らず至るところに常在菌は存在し、皮膚にもびっしりと隙間なく住んでいます。

 もちろん頭皮も例外ではありません。

 常在菌は、通常であれば何の害もありませんが、体調を崩して免疫力が落ちた時は悪玉菌として働き、不快な症状を起こすことがあります。

 皮膚に住む黄色ブドウ球菌やアクネ菌、腸や膣内に住むカンジダ菌などがよく知られています。

 厄介な面はありますが、一方で常在菌は、長い年月をかけて、人体と安定的な共生関係を築いた「友好的な菌」とも言えます。

 常在菌は皮脂膜や表皮、毛穴などに細菌叢(さいきんそう)を作っており、他の菌が入り込むのを防いでいます。

 時々、反乱を起こしかねないリスクはあるけれど、普段は友好的な先住民というイメージです。

 毎日シャンプーの習慣があると、皮脂膜バリアを壊すだけでなく、この常在菌バリアを乱して、機能を落としてしまいます。

 友好的な先住民である常在菌が弱ると、相性が良いか悪いか分からない(悪い場合が多い)、外来の菌が増えて頭皮トラブルを起こす可能性が高まります。

経皮毒を取り込んでしまう

 皮膚から物質を取り込むことを、経皮摂取と言います。

 そして、人体にとって有害な物質を、皮膚から取り込んでしまうことを「経皮毒」と言う場合があります。

 これは医学用語ではありませんが、語感が強くて印象に残るので、普及しているようです。

 この経皮毒という表現は、一部は正しく一部は誇張がありますが、化学物質に敏感な人は意識した方がよいでしょう。

 シャンプーには、多くの化学物質が含まれています。

 これを頭皮に塗り付けることで、その一部が経皮摂取される可能性があります。

 経皮摂取されないとしても、刺激物として頭皮環境を乱し、炎症などの原因になることがあります。

 よく問題視される成分は、ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Na、パラベン(防腐剤)、香料成分などです。

 問題視されるということは、それによって頭皮トラブルに悩む人が多いということです。

 口から取り入れる経口摂取の場合、肝臓による解毒を経てから血流に乗りますが、皮膚から取り入れる経皮摂取の場合、肝臓を通ることなく血中に入ってしまいます。

 したがって、毒性のある物質を皮膚から摂取した場合、口から取り入れる場合に比べて、悪影響が強まる可能性があります。

 とは言え、血液は循環し続けていますから、いったん血流に乗っても、それが肝臓を通る時に解毒機能はちゃんと働きます。

 過度に恐れる必要はありませんが、初回の解毒プロセスがないことは、理解しておいた方がよいでしょう。

 つづく。

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