ペドフィリアという嘘
マイケルに関する最も酷い誤解は、彼が「子供に性的加害したペドフィリア(小児性愛者)である」という情報でしょう。
これは事実ではありません。逆恨みによる不当訴訟、金銭目的の裏切り、メディアによる歪んだ報道などが原因です。
マイケルが性的加害で提訴されたことは、大々的に報道されましたが、その偏向ぶりは酷いものでした。
世界的なスターだったマイケルは、メディアによって食い物にされたのです。

何より「被害者」であるジョーディ少年が自ら、「父親に偽証を強要された」「マイケルには何もされていない」などと発言しています。
不当訴訟を起こした父親エヴァンが、犯行意思と計画を語る音声テープも、証拠として明確に残っています。
ジョーディ少年
マイケルがジョーディ少年と出会ったのは、ジョーディの継父(義父)が経営するレンタカー会社でした。1993年のことです。
ロサンゼルス市内を走行中に車が故障したため、彼の車が同社の整備場に送られたのです。
当時12歳だったジョーディ少年が、マイケルの大ファンだったこともあって、家族ぐるみの親交が生まれました。
孤独に苛まれていたマイケルにとって、ごく普通の一家と付き合うことは、心の癒しとなる貴重な時間だったようです。

不当訴訟を起こすエヴァンは、ジョーディの「実父」に当たります。
既に離婚しており、ジョーディの親権は別れた妻にありました。エヴァンは養育費の支払いを滞納していました。
エヴァンは実子ジョーディに関心がなく、妻から「もっと面会して欲しい」と言われるほど疎遠でしたが、ジョーディがマイケルの友人になったと知ると、急に会いたがるようになります。
エヴァンの犯行計画
エヴァンには、脚本家になる夢がありました。
ジョーディの伝手で、マイケルと会うことに成功した彼は、経済的な支援と映画業界への紹介を求めます。
当然、マイケルはこの要求を拒否しますが、それを逆恨みしたエヴァンは、悪徳弁護士らと共謀して、マイケルの性的加害疑惑をでっち上げました。
息子のジョーディが、マイケルから性的加害を受けたと主張し始めたのです。
流出した音声テープには、エヴァンの次のような発言が残っています。
俺は見つけられる中から、最も下劣でろくでなしの弁護士を選んだのさ。奴はできるだけ早く、ドでかく、多くの人間に屈辱を与えるんだ。ズル賢くて、売名に飢えている男だよ。
あいつは信じられないほどの恥辱にまみれるだろう。想像もしないようなことが起こる。悪夢よりも酷いことがな。
他の人間だって関わっている。もうこれは俺一人の計画じゃなく、奴らと共同の計画なんだ。俺が電話さえすれば、弁護士は悪魔のような方法で、マイケルを破滅させるだろう。
俺はでかいヤマを当てられる。失敗することはあり得ない。隅々までこの計画をチェックした。欲しいもの全部を手に入れるのさ。
ジョーディの利益だって? そんなもの、俺には関係ない。
エヴァンはでっち上げ疑惑の公表に先立ち、マイケルに対して、再三にわたり交渉(恐喝)をしました。
約2000万ドルを要求して、交渉が決裂した時は、「お前を破滅させてやる」と口走ったとされます。
歪んだ報道と金銭目的の裏切り
マイケルが世界的なスター、かつ大富豪であることが、この時ばかりは災いしました。
メディアはこぞって群がり、マイケルが不利になるように煽りました。そのスタンスの方が、視聴率や販売部数が伸びるからです。
原告(エヴァン)側の弁護士事務所に勤めていた、法務秘書のジェラルディン・ヒューズは、その著書の中で当時の報道姿勢を、次のように非難しています。
メディアは、この訴訟が起こってからというもの、マイケルにとって有利と思われるニュースは、一切掲載しなかった。嘘であろうとおかまいなく、実体のない噂を書き続けることで、マイケルを誹謗中傷し続けた。
原告側の弁護士事務所ですから、裁判上はマイケルの「敵」陣営ということになります。そこの法務秘書すら、歪み切った報道に苦言を呈しました。

さらに痛ましいのは、マイケルの周囲にいた人の一部が、金銭目的で彼を裏切ったことです。
つまり、報酬欲しさに、積極的に「嘘の証言」をしたのです。
自ら「目撃者」として名乗りを上げる者もいれば、メディアに頼まれて「目撃者」を演じる者もいました。
あるタブロイド紙は、ジャクソン家の友人であるロン・ニュートに対して、次のように懇願したと言います。
あなたの息子さんは、彼にイタズラされましたよね? そう言ってくだされば、20万ドルを支払いますよ。
ジョーディの後悔
「被害者」であるジョーディ少年は、エヴァンに命じられるまま、裁判で偽証(嘘の証言)をさせられました。
しかし、彼はそのことを長らく後悔していたようです。こんな発言が残っています。
マイケルは何も悪いことはしていない。父さんはただ、金が欲しいだけなんだ。
マイケルが僕に触ったことは、一度もなかった。僕にあんなことを言わせた(※偽証させた)父親に対して、僕はすごく怒っているんだ。
ジョーディはこの事件の後、両親との関係を断ちました。「親とはもう二度と口を利かない」と語ったとされます。
実際、後年になって彼の母は、「訴訟が終わってから、息子とは11年以上会っていない」と述べています。
ジョーディはその後、実父エヴァンを虐待の容疑で訴えており、勝訴に近い内容で和解しました。
なお、エヴァンは誰からも見捨てられて、孤独な晩年を過ごしており、最期は拳銃自〇をして果てています。

メディアは、下劣なほどに偏向報道をして、事実をほとんど知らせませんでした。
マイケルは、ペドフィリアという汚点だけが残されて、生涯消えない傷を負ったのです。
メディアは反省するどころか、この時の売上げに味をしめて、その後も何度かマイケルに「性的加害」の濡れ衣を着せようとしました。
和解を選んだ理由
なぜマイケルの「疑惑」は根強いのでしょうか。
その理由は、マイケルが民事訴訟で和解を選択して、多額の金銭を支払ったからです。これが「本人が認めた証拠だ」と言うわけです。
刑事訴訟のほうは、証拠不十分として、そもそも起訴されていません。
家宅捜索・身体検査・400人以上への聞き取りなど、十分な捜査が行われましたが、目ぼしい証拠はなかったのです。

マイケルには、民事訴訟で和解を選択した方が、合理的である理由が幾つもありました。
極度の心身負荷
彼はただでさえ過酷なワールドツアーで、メディアの虚偽報道による重度のストレスに苦しみ、心身ともに疲弊していました。
元々が繊細な彼にとって、これは私たちの想像を絶する負荷だったことでしょう。
当時のマイケルは、鎮痛・鎮静のための薬物によって、昼夜を錯誤するほどの幻覚症状がありました。
周囲は自〇を警戒して、24時間体制での見張っていたと言います。
結局、当時のワールドツアーも、途中で中止に追い込まれています。
長期化による不利益
判決まで裁判を続けた場合、年単位で長期化する可能性がありました。そうなると、弁護士費用だけでも莫大になります。
また、裁判がこじれるほど、メディアは狂乱して群がり、マイケルのプライバシーが暴かれるリスクがありました。
世界的スターのゴシップですから、周囲はどうしても色眼鏡で見てしまいます。
加えて、訴訟が係属する裁判所は、米国でも特に左翼色が強いカリフォルニア州です。
マイケル側からすれば、公正な裁判を期待できないおそれがありました。

損得勘定
和解金は2000万ドルという大金でしたが、マイケルがツアーで稼ぐ金額は、それより遥かに大きなものでした。
たとえ和解金を払ったとしても、ツアーを中止したり、仕事に支障が出るよりは、この事件を終結させて仕事に専念した方が、損得で言えば得だったのです。
ただ、こうした損得勘定より、極度のストレスから解放されることが、おそらくは優先事項だったと思われます。
マイケルの気遣い
実にマイケルらしい理由ですが、彼はジョーディ少年のことを強く心配しました。
自分自身が、周囲から自〇を警戒されるほど弱っているのに、彼はジョーディが精神不安になっていることを気遣っていたとされます。
裁判手続の不備
裁判手続の問題ですが、民事訴訟が刑事訴訟に先行したことが、マイケルにとっては災いしました。
結局、刑事訴訟は証拠不十分で起訴されなかったのですが、それは結果論であって、最初の時点では分かりません。
なぜ民事訴訟が先行すると良くないのかと言うと、そこで弁護側の手の内がすべて見えてしまうからです。
そうすると来たる刑事訴訟で、検察は弁護側の弱点を、集中的に攻めることができてしまいます。
マイケルからすれば、敵(検察)にはすべて筒抜け、こちらは一切分からないという状態で、不利な裁判を強いられることになります。
そんな不利な裁判でも、仮に有罪とされれば服役しなければなりません。それはリスクが大き過ぎました。
なお、この事件をきっかけにして、カリフォルニア州では、民事訴訟を刑事訴訟に先行させてはならない、という内容にルール変更されました。
それだけおかしな事件だったのです。マイケルにとっては、こうした裁判手続の穴も不運でした。
性的加害はカネになる
以上の通り、マイケルには和解を選ぶ、合理的な理由があったのですが、メディアはまたしても偏向報道しました。
多額の和解金を支払ったことだけを、センセーショナルに報じたのです。
これによって世間は、「マイケルが認めた」と誤解しました。
物議をかもしたこの事件は、多くの誤解を残したまま、ようやく終結しましたが、マイケルが魔の手から解放されることはありませんでした。
悪意ある人間は、「マイケルの性的加害はカネになる」ということを学びます。
事件が収束した後も、隙あらば疑惑をでっち上げようと考える人間は、残念ながら一部いました。

その最たる例が、「マイケル・ジャクソン裁判」です。
これは2003年、当時13歳だったアルビーゾ少年が、性的加害を受けたと主張した事件に関する裁判です。
前述のエヴァンによる不当提訴が1993年ですから、そこから10年経っても、同じネタで搾取しようとする人間がいたのです。
アルビーゾ少年はステージ4の小児ガンで、マイケルのファンでした。マイケルは少年と20回以上も通話して励まし、その親を経済的に支援しました。
それにも関わらず、周囲の悪意ある人間は、二人の関係をカネにしようと画策したのです。
「全面無罪」
1993年の事件で潤ったメディアは、またしても狂乱して群がり、連日のように報道して大騒ぎしました。
結局、マイケルは証拠不十分のまま、なんと逮捕されてしまいます。この時は刑事訴訟にまで発展して、マイケルは14件もの訴因で追及されました。
陪審員の構成は「白人7人・ヒスパニック系4人・アジア系1人」でした。
マイケルの味方になり得る黒人はゼロ、一方で原告(アルビーゾ側)はヒスパニック系ですから、マイケルに不利な構成でしたが、結果はすべての容疑を否認する「全面無罪」でした。
当時の家宅捜索、及び彼の死後に公開されたFBIの資料において、マイケルがペドフィリアであることを示す証拠や、小児を虐待したという証拠は、何ひとつ見つかりませんでした。

1993年の事件で「被害者」だったジョーディは、この裁判の時は20代半ばに成長していました。
彼は捜査当局から、検察に有利な証言をするように「協力」を求められた時、こう言って拒否しています。
僕はマイケルに不利な証言はしない。
不利な証言をさせようとする、いかなる試みに対しても法的に戦う。
マイケルは無罪を勝ち取ったものの、強いストレスから衰弱してしまい、約56kgあった体重は、約40kgまで落ちてしまいました。
誰かの支えなしには歩けないほど、彼は追い詰められたのです。
つづく。
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