人生を変えた言葉
誰しも、自分の人生を変えた言葉や概念が、幾つかあることでしょう。
私は37歳の時に、いわゆる「FIRE」を実行しました。
FIREは、経済的自由(Financial Independence)と早期退職(Retire Early)の頭文字を合わせた概念です。
当時はまだ、FIREという恰好いい単語はありませんでしたが、元になる「経済的自由」や「早期退職」という言葉はありました。
私はこの二つの言葉を知って、今で言うところのFIREを目指し、約7年をかけて実現しました。
その生活が現在も続いているのですから、人生を大きく変えてくれたことになります。

世間には、よく情報を集めて勉強するけれども、行動に移せないことを「頭でっかち」と呼んで馬鹿にする風潮がありますが、私は「頭でっかち、大いに結構」だと思っています。
人生を変えるのは確かに「行動」ですが、行動を変えるのは「思考」であり、思考を変えるのは「言葉」だからです。
人生を変える第一歩は、言葉や概念を知ることから始まります。
経済的自由
経済的自由とは、労働することなく、資産から生まれる所得で、生活費を賄える状態を指します。
経済的自由を達成すると、日銭のために働く必要がなくなり、すべての時間を自由に、自分の好きなように使えるようになります。
若かった頃の私は、家には寝るためだけに帰る、休日出勤は当たり前という生活をしており、この概念を知った時、中くらいの稲妻に打たれたような衝撃を受けました。

羨ましいとか、けしからんとか、そういう感情は一切なく、「そんな生き方があるのか!」と、ただただ驚きました。
当時の私は、サラリーマン以外の生き方を知らず、マネー教育もろくに受けていません。富裕層に関する知識もほぼありません。
その時点で持っていた常識を、美しく全否定されたようで、まさにパラダイム・シフト(認識や価値観の劇変)でした。
私がこれを知ったのは、本田健氏の代表作である「ユダヤ人大富豪の教え」で、当時は食い入るように興奮して読みました。
かれこれ20年近く前のことですが、今でも大好きな本の一つで、時々読み返しています。
2026年の今でこそ、FIREという概念や資産運用が一般に普及して、こうした概念はさほど珍しくなくなりましたが、当時の私にとっては衝撃であり、やがてこれに強く惹かれるようになっていきます。
ポータブル・ジョブ
経済的自由と一緒に知った「ポータブル・ジョブ」という言葉も、若かった頃の私を刺激しました。
ポータブル・ジョブとは、直訳すると「持ち運び可能な職業」であり、要するに場所に拘束されない働き方です。
今では「ノマド」という呼び方もあります。ノマドは遊牧民を意味しています。
会社に定時出勤するのが当然と考えていた私には、そのようなスタイルがあまり想像できなかったので、とても新鮮に感じました。
折りしも、ネット環境が急速に進化していた時期です。
「ノートPCが一台あれば、世界中のどこでも仕事ができる」というのが現実になりつつある頃で、それがたまらなく魅力的に映りました。

経済的自由を手に入れて、日々の24時間を好きなように使う。
世界を旅行しながら、好きな時に、好きな場所で、やりたい分だけ仕事をする。そんな人生を送りたいと、私は強く憧れました。
富より自由を求める
経済的自由を得るためには、お金持ちになる必要があるかと言うと、必ずしもそうではありません。
どの程度の金額で自由になるかは、その人の年間生活費に大きく影響されるからです。
私のように生活コストが安い人間は、大した金額でなくても大丈夫です。
お金持ちになれるほど「稼ぐ能力」が高い人は、仕事や事業が楽しくて仕方ない場合が多いので、どちらかと言うとFIREには否定的なようです。
こういう人は、自由より富に重きを置く傾向があり、たくさん稼いで、たくさん使うというスタイルを好みます。

一方、私と同じように、富より自由を求める人は、FIREに憧れを感じやすいかもしれません。
金銭欲はすべての人間にありますが、よくよく考えてみると、「実はそこまで必要じゃない」という人は結構います。
お金持ちになりたいという、漠然とした気持ちはあるものの、現実的に突き詰めてみると「どうしてだっけ?」となったりします。
多額の貯金をしたところで、どうせ上手く使えない。なぜか罪悪感や抵抗を感じてしまう。
それより精神的に自立していること、日銭のために嫌な人間と関わることや、嫌な仕事に拘束されることを避けたい。
このように感じる人は、富より自由を求める傾向が強いと言えます。
こちらのタイプは、稼ぐ力はささやかながら、生活コストが安いことが多く、実は思うほどハードルが高くなかったりします。
早期退職
早期退職という言葉もまた、若年の頃の私には衝撃的な言葉でした。
当時の私は、大学を卒業したらサラリーマンになるのが当然で、会社に入ったら定年まで勤めるのが当然だと思っていたからです。
今にして思えば、我ながら「なんと狭い了見だろう」と感じますが、単純に他の生き方を知りませんでした。
多くの人は、自分の親の生き方や、彼らが使う言葉、彼らがよくする行動に大きな影響を受けています。
典型的なサラリーマン家庭に育った私が、上記のように思い込んだのは、やむを得ないことだったかもしれません。

自営業者の家庭に育った人であれば、親の生き方や使う言葉、よくする行動などが、私の親とは全然違うはずです。
したがって、その人が持つ人生観や常識は、私のそれとはまったく異なるものになるでしょう。
私の場合、サラリーマンになるのが当然で、それ以外の発想はありませんでした。
会社勤めをしたら、定年まで勤め上げるのが当然で、途中で引退するという発想はありませんでした。
そして、定年退職をしたら、貯金と年金を頼りに老後生活に入る。
唯一のロールモデルである父親を見て育った私は、そういう流れをあまり疑わなかったのです。
私の家族もまた、これと似たような価値観だったと思います。
実際に私の兄は、父の人生をなぞるかのような、コテコテの昭和の男という人生を歩んでいます。兄から見たら、私の方が異常なのでしょう。

第二の人生がシルバーである必要はない。
30歳前後でそうと知った私は、ワクワクして妙な高揚を感じた覚えがあります。
そして、「30代のうちに自分の第二の人生を始めたい」と、本気で考えるようになりました。
結果として、本当にそうしてしまったのですから、「言葉が開いた突破口」だったと言えます。
思考が変われば、行動が変わる
人生を変えるためには、「行動」を変えなければいけません。
しかし、行動を変えるためには、その前提として「思考」を変えなければいけません。
意識改革をすることなく、行動だけを変えるのはほぼ不可能です。
逆に、思考を変えてしまえば、行動は自然に変わっていきます。より正確に言えば、変わっていかざるを得ません。
人間の脳は、思考と行動がズレている状態を嫌うからです。
では、思考を変えるにはどうすればよいでしょうか。
それには、まず言葉や概念を知り、自分が日々使う言葉を変えることです。そうすれば、言葉が引っ張る形で、徐々に思考が変わっていきます。
言葉と思考は密接な関係があり、思考が言葉として出ることもあれば、使う言葉が思考を作ることもあります。
思考を変える手段は幾つかありますが、普段使う言葉を変えて、それをリードにするのが、最も手軽で現実的と言えるでしょう。
もし現在の人生に何か閉塞を感じていて、それを変えたいと思うのであれば、いきなり「行動だけ」を変えようとするのではなく、その時の自分に相応しい言葉を探してみてはいかがでしょうか。
何かの言葉や概念を知って、心がザワついたとしたら、それはあなたの人生が変わる予兆かもしれません。
思考は現実化する
この真理は世界中で確認されいるらしく、たとえば次のような格言が有名です。
それぞれ少し表現は違いますが、言わんとすることはほぼ同じでしょう。
ウィリアム・ジェームズ(哲学者、心理学者)
心が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
ナポレオン・ヒル(作家)
思考は現実化する。

マザー・テレサ(修道女)
思考に気を付けなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気を付けなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気を付けなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気を付けなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気を付けなさい。それはいつか運命になるから。
ヒンドゥー教
心が変われば、態度が変わる。
態度が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
運命が変われば、人生が変わる。
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