アルテミスの矢
万紫千紅は、風化雪月で謎とされていたことの多くに関して、貴重な情報を明かしてくれました。
その一つは、アガルタが持つ伝家の宝刀「光の杭」です。
正式名称は「アルテミスの矢」であり、なんと宇宙に打ち上げた衛星から放つ、超重金属弾に重力を乗せた遠隔射撃でした。

ここまでSF要素が前面に出るとは、往年のファンもさすがに驚いたことでしょう。
光の杭は、風化雪月において、次の場面で登場しました。
・大厄災の直前、神祖ソティスを手負いにした。
・「頑固な老将軍」の異名を持つ、不落要塞メリセウスを一瞬で壊滅させた。
・大修道院ガルグ=マクの近郊、アリルの地を煉獄と化した。
万紫千紅においては、竜に顕現したダグザ大帝、すなわち巨竜「空を暗く覆うもの」が、アグリス関でサラミス・ブレザラント連合を襲撃した時に使用されました。
調停者トロイアが、宇宙にある衛星から光の杭を放ち、見事にこれを命中させて、巨竜を撃退したのです。
トロイア
・もしも将来、王としてのお前が本当に手に負えないような、サラミスの未来が閉ざされかねない問題が起こった時は、すぐに私を呼びなさい。
星(※光の杭)を落として厄災を取り除いてやることができるから。
それはお前たちを守るために、はるか太古に空に上げられた、守護星(※衛星アルテミス)なんだよ。

サラミス王国には、ブロンテス湖という湖があります。ニネを仲間にする時に要求される、カガヤキウオが採れる場所です。
このブロンテス湖は、光の杭が落ちた痕跡だとされています。風花雪月における「煉獄の谷アリル」と同じ位置づけです。
セオドラ
・お前(※ボナパルテ)も見たことがあるだろう?
キュベレーにあるブロンテス湖を。
トロイアが言うには、あれは昔、星(※光の杭)が落ちた痕跡なのだそうだ。信じられるか?
なぜ、この場所に光の杭が放たれたのか、その真相は分かりません。
しかし、地理と歴史を考えるに、ダマスカル王国が滅亡した8月事件と無関係ではないように思えます。
過去の呪われた遺産
光の杭に関する、トロイアの発言を見てみましょう。
トロイア
・はるか昔に、人間が人間に対して使うために空に打ち上げられていた代物さ。
(中略)
もっとも、大厄災以前に実際に使われたことは、ほとんどなかったようだがね。
異なる勢力ごとに互いを牽制し合う、抑止力的な意味合いが強かったんだろうがね。
まぁ…過去の呪われた遺産みたいなものさ。
人間相手に使うのは気が引ける代物だが、ダグザ大帝が相手となれば、これ以上ふさわしい物などなかろうさ。
これを見る限り、私たちの世界でいう核兵器と同じ存在だったようです。
強力な手段でありながら、活用する場面が極めて限定されるのは、その性質ゆえでしょう。
元々は人類同士の争いに備えて開発されたもので、しかし実際に使われたことはほとんどなく、専ら「抑止力」として機能していたとされます。
トロイア
・遺産といっても、そんなにいいもんじゃないさ。
いいかい、忘れるんじゃないよ、セオドラ。
あれも、大厄災の時に世界を焼き尽くす原因となった物の一つでもあるんだ。
力は力でしかない。それを制御できるのは…人間の理性だけなのだからね。

大厄災の引き金
伝家の宝刀である光の杭は、実は歴史的にはトラウマの結果を残していました。
眠っていた神祖ソティスを、アガルタが光の杭で攻撃した結果、ソティスが防衛本能で反撃して、動くものすべてを焼き尽くしてしまったのです。
いわゆる「大厄災」です。
これによってアガルタは地上を追われ、宇宙と地下へ逃げることになりました。
光の杭が引き金になって、地上を竜族(ナバテアの民)に奪われたのです。
アガルタが竜族を「獣」や「神ならざる者」と呼んで仇敵とみなすのは、こうした経緯があったからです。
そして、竜族を神と呼んで有り難がり、信仰している人々を見下しています。
ファビオ
・それでも私は、あなたたちを人間と認めることはできません。
祖先たちの偉大さをも忘れ、怨敵であるはずの女神(※神祖ソティス)の情けにすがりつき、真実から隔離された偽りの檻の中で、与えられた餌を夢中になって、ただ貪っている。
それが獣でなくて、一体何だというのです。

一方の竜族は、アガルタのことを「地虫」と呼んで、お互いに蔑んでいます。
ダグザ大帝
・あの地虫(※アガルタ)たちとその子孫を、わずかでも取り逃がした儂の誤りであった。
此度、そのすべてを滅ぼし、過ちの一切を正さなければならぬ。
ラクシャよ、我が名において直ちに布告を出せい!
ダグザ帝国は、サラミスと称する蛮族が領土を不正に占拠する状況を断じて認めぬ。
サラミスに対して殲滅戦を仕掛け、全ての痕跡をこのダグザの地から消し去ると!
よいか皆のもの、これは聖戦である!即刻、支度を開始せよ!
文字を捨てよ
ダグザ大帝は、アガルタの持つ光の杭を極度に恐れました。
そのため、彼は執拗なまでに白き卵の民をつけ狙い、殲滅しようとしています。
古くはイスカンダリア文明に、その知識の放棄を呼びかけ、断った彼らをタルボスの戦いで滅ぼしました。
フォトナ
・タルボス平原じゃったか。
ダグザ帝国の建国よりも古い時代に、この地には古代からの文明を継承するものたちが暮らしておった。
…その名をイスカンダリアと称する勢力だった筈じゃ。
彼らはその高い技術を活かし、この地に巨大な都市を築き…
北ダグザの広域をその力でもって実効支配しておったのじゃ。
そして、ダグザめがこの地を治めるためには、彼らは避けては通れぬ存在じゃった。
ダグザは彼らに過去の知識の放棄を呼びかけたが、彼らの憎しみと反発は根強かった。
両者はこのタルボス平原の地で激突し、ダグザの眷属がその戦いを制したのじゃ。

イスカンダリア文明について、詳しいことは明かされていません。
しかし、素直に考えれば、この文明を築いたのは、大厄災を運よく生き延びた人間、または不時着したジョカの元乗組員です。
そして、帝国歴551年には、30万もの大軍を率いて隠れ里コンロンを襲撃し、フェザーンの戦いでこれを攻め落としています。
この時、10万人に及ぶ捕虜を帝都ダグシオンに連行して、ダグザの大釜で大量処刑しました。
それに心を痛めたユ・ファスが、子供約5,000人の助命を嘆願して、救い出すことに成功しますが、その時にダグザ大帝が要求したものが醜悪です。
一つ目はユ・ファスの身体、二つ目は「文字を捨てること」でした。
ここでは割愛しますが、ダグザ大帝がユ・ファスを略奪したことは、世界とダグザ神族を大きく乱すことになります。詳しくは別記事をご覧ください。
文字を捨てろとは、文明を捨てろということ。更に言うなら、光の杭を捨てろということでしょう。
セオドラ
・文字は嫌いだ。私たちは遠くダマスカルの時代から、ユ・ファス様より文字の使用を禁じられている。
トロイア
・お前は疑問に思ったことはないのかい?
どうしてユ・ファス様がそんなことを命じなさったのか。
セオドラ
・…文字が人を堕落させる、悪しきものだからではないのか?
トロイア
・違うよ…ダグザ大帝にとって都合が悪いからさ。
ダグザは卵の民たちの知識を恐れていたんだ。
ユ・ファス様がお前たちの祖先に文字を捨てるように命じなさったのは、そこまでしない限り、子供たちといえども命を救うことをダグザが許さなかったからさ。

ダグザ大帝は、白き卵の民を虐殺したことに加えて、コンロンの里を壁で囲って閉塞しました。
ダグザ大陸は北アフリカがモデルなので、クロノス砂漠はサハラ砂漠を意識していると思われます。
その砂漠の中に高い壁を築いて、フェザーンの生き残りを閉じ込めたわけです。コンロンの生活環境は、劣悪だったことでしょう。
ファビオ
・ニュシデアス地方を占めるクロノス砂漠、その西の果てに位置するフェザーン郡。
そこに何かを封じ込めるかのごとく、巨大な壁に囲まれた領域があるのだとか。
それが禁断の地(※コンロンの里)と呼ばれている場所。
今回の私の調査の目的地です。
ファビオ
・まさに威容と表現するのが相応しいですね。
予想していた以上に巨大な壁です。
こんなもので周囲を囲うとは、ダグザ大帝はよほどこの中の物(※白き卵の民の文明)を恐れたようです。
とにかく母親が恐い
冥将リンド
・まさか、巨竜と化したダグザ大帝を撤退せしむとは。
奴らの背後には、本当に悪魔がついているとでもいうのか?
ダグザ大帝が、なぜあれほど白き卵の民たちを恐れていたのか、その答えがこれ(※光の杭)か…
ダグザ
・あれ(※光の杭)と同じものを儂は見たことがある…
そう…遠い、遠い昔のことだ。神祖が世界を焼き尽くした、あの時(※大厄災)に…
そうか…まだあれを使うか、人間どもよ…
それは、神祖の眠りを妨げる、この地上にあってはならない危険な力なのだ。
そうだ…かつての過ち(※神祖を起こして、大厄災に繋がったこと)が二度と繰り返されてはならない…

ダグザ大帝は、光の杭を非常に警戒しましたが、光の杭そのものというより、それによって恐るべき母親・神祖ソティスを起こしてしまうことを恐れていたようです。
彼はいったんは助命した白き卵の民が、ダマスカルに王国を築いて栄え始めると、侵攻して再び滅ぼしてしまいます。いわゆる「ダマスカルの8月事件」です。
ここには白き卵の民の殲滅に加えて、他に重要な事情がありましたが、それについては別記事ご参照ください。
ダグザ大帝の白き卵の民狩りは、順調に進んでいるように見えましたが、やがてそのしっぺ返しを食らうことになりました。
つづく。
注
この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。
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