逃亡者ガンシン
特別製の心核
ガンシンは、アガルタの元幹部でありながら、イリアナの虜となってしまい、玩具として道具以下の扱いを受けています。
ファビオがダグザ大陸に派遣された理由の一つは、組織を逃亡したガンシンの捕獲でした。
なぜかと言えば、ガンシンが貴重な心核を持っているからです。それも通常の10倍の出力を持つ、特別性の心核を。
ファビオ
・通常の闇魔法でありながら、この圧倒的な威力。
こんなことができるのは恐らくただ一人。
貴方はもしや、ぺリアンドロス(※ガンシンの本名)ではないですか?
ガンシン
…! やはり、私を狙ってきた追手だったか。お前は何者だ。

ガンシンもその事情を理解しており、追われている自覚がありました。
彼は、闘技場で闇魔法を使ったファビオを見て、組織が差し向けた追手と誤解したようです。
なぜなら、闇魔法はアガルタの代名詞。闇魔法を使うということは、アガルタ関係者であることを示すからです。
ガンシンは、殺られる前に殺れとばかりに、路地裏でファビオを襲撃しました。
お前はもう同胞ではない
二人のやり取りが面白いので、そのまま載せておきます。

ファビオ
・なるほど、先日の試合で闇魔法を使う私を見て、自分の追手だと勘違いしたという所ですか。
ガンシン
・頼む、アナカルシス(※ファビオの本名)。
お前に情けがあるのならば、この私のことは放っておいてくれ。
ファビオ
・組織には貴方の捕獲命令が出ています。生死を問わず、その心核を回収せよと。
貴方の心核は試験用の規格外品でしたからね。
通常の10倍の出力を持つ特別なものだと。
ガンシン
・私は、この地で自分が仕えるべき主(※イリアナ)に出会うことができたのだ。
もうアガルタに戻るつもりはない。このままこの地で過ごさせてくれ。
ファビオ
・残念ですが、それは単なる組織に対する裏切りに他なりません。
ガンシン
・お前は知らんのだ。己のすべてを捧げてもいいと思える相手と出会い、その相手に全身全霊の愛を捧げることがいかに幸福なことか!
ファビオ
・生憎ですが、その貴方の心情、私にはまったくもって理解しかねるものです。
主だなんだと言ったところで、結局のところ女神(※神祖ソティス)の眷属、獣(※竜族)の一頭に過ぎない存在でしょう。
それは我々にとっては、単なる仇敵に過ぎないことを忘れたのですか?
アガルタの誇りを完全に失い、獣の走狗と成り下がってしまった貴方を…
私はもはや同胞とは思いません。貴方をここで倒し、その胸を切り裂きましょう。
そして、その胸に収まる心核、組織への手土産とさせていただきましょう。

ファビオの葛藤
序盤のファビオは、まだアガルタという組織に忠実であり、任務を遂行することに疑いを持っていません。
見逃してくれと懇願するガンシンに対し、胸を切り裂いて心核を回収してやると、にべもなく断って対決しています。
しかし、そんな彼も途中から、人工知能(ヴリトラ)に使役される日々に疲れを吐露し始めます。
一方、ディートリヒ達と過ごすことに、徐々に喜びを感じるようになりました。
ファビオ
・私たちの組織(※アガルタ)は、意思決定の多くの部分をヴリトラという存在に委ねています。
ですが本当のところ、我々の組織を束ねる人間も、ヴリトラの考えはよくわかっていません。
…こんな思考に囚われている私は、少し疲れているのかもしれませんね。
使命という言葉を自分に言い聞かせながら、考えのわからない機械の命令に従うことに(※ヴリトラは月にある人工知能)。
以前はそんなことに疑問を持つことなど、ありませんでしたのに。
貴方(※ディートリヒ)たちとの出会いと、この地の太陽が、私を変えてしまっているのかもしれません。
ファビオ
・私は随分と長い間、組織のために動いてきました。
課せられた使命も数多くありました。
ですが、それは何のためだったのだろうかと…疑問を抱くようになってきていたのです。
何を考えているかわからない機械の命令に従うことに、どれほどの価値があるのかと…
ダグザの地に消える
かつてガンシンの願いを一蹴したファビオは、しかし徐々に、彼と似たような心境に変わっていきます。

ファビオ
・(※ガンシンの)本来の名はぺリアンドロスといいます。
もっとも、彼の場合は組織からの逃亡者ですが。私の使命の一つは、彼の捜索でした。
我々に与えられた、無限の力を供給する心核…
現在では再現できない失われた技術です。
その中でも彼の持っている心核は特別性でしてね。組織としては何としても回収したい代物なのです。
ですが…どうやら彼は、この地で己の信仰(※イリアナ)を見つけてしまったようですね。
今ならば…私は少し、彼の気持ちがわかる気がします。
もしかすると今後、私は彼と似たような扱いになるかもしれません。
裏切り者の脱走者としてね。
ですが、今はそれでも構わないと思い始めています。
この心の揺らぎは、収まることがなかったようで、ファビオは結局ダグザの地で消息を絶つことになりました。
数百年と仕えたアガルタを捨て、当初は獣と見下していたディートリヒ達を選んだようです。
ここで言う獣とは、アガルタから見れば偽りの神である竜族(ナバテア)を、有り難がって信仰する無知な人間という意味です。
竜族を指して「獣」と呼ぶこともあります。地上を奪った竜族も、それに諾々と従う人間も、アガルタにとっては獣でした。
後日談
・ファビオはヴリトラに対し、一連の状況の詳細な報告および、ダグザの地に関して収集した数々の情報を引き渡したのを最後に消息を絶ち、彼の組織であるアガルタに帰還しなかったようである。
(中略)
結局、彼がフォドラの地に戻ったかどうかも分からぬままに、アガルタからファビオの正式な名は末梢され、捜索の手が出されることもなかったという。
貴重な心核を持つファビオに、捜索の手が出されなかったのは、彼の長きにわたる功績が配慮されたからでしょうか。
ガンシンの消息
謎の失踪
ガンシンのその後は、残念ながら描かれていません。
ガンシンと彼が敬愛するイリアナは、第1部が終わると姿を消してしまい、そのまま登場しなくなります。イリアナの考察は別記事として扱います。
一つだけ、ガンシンに関するヒントがあります。
彼は特別製の心核を持ちますが、その出力が高すぎるが故に、かなりの身体的不可を受けていたようです。
その結果、本来なら数千年あるはず寿命が、随分と縮まってしまった可能性があります。

イリアナ
・日頃ソレルに寄り添っているのは、あくまで計画の準備が調うまでの間、あの男を騙すため。
あの男が呼ぶ女の名は私ではなく、いつもあの女(※ユ・ファス)のもの。それがたまらなく腹立たしい。
ねぇ、ガンシン。よくお聞きなさい。
あなたが自分のすべてを捧げて、私に尽くしていることは知っているわ。
私が愛の蜜を注ぐ相手がいるとすれば、お父様を除けば、それはあなただけ。
私に尽くしなさい、ガンシン。その生命の炎の燃え続ける限り…。
イリアナの言葉に、ガンシンは歓喜しますが、その直後に苦しそうに咳き込んでしまいます。
イリアナ
・苦しいのね、ガンシン。あなたの持つ特別な心臓(※正しくは心核)、なんとかして修理する術を見つけなければ…。
この一幕の後、ガンシンは登場しなくなります。
割愛された絆焔将4名のストーリーで討ち取られたのか、それとも特別製心核の負荷で体が壊れたのか、その真相は謎のままになっています。
血を見るための玩具
イリアナは、ガンシンを大事にしているかのような発言をしますが、もちろん愛情などありません。
イリアナが愛を注ぐのは父バロールだけであり、ガンシンは「血を見るために都合のよい玩具」でしかないからです。
イリアナはそのことを隠しもせず、ガンシン本人に対して「玩具」と呼びます。
本作において、最も性格の悪い人物の一人です。
イリアナ
・この子ったらおかしいわ、ライラーお姉さま。
マーナ(※マリア)ったら、人間相手に本気で恋をしているのだもの。
まるで無駄なことをしている愚かな子を見るのって、楽しい!

闘士ベルトランを支援したのも、単に流血を見たいからでした。
そんなイリアナに、なぜかガンシンは心酔しており、立ったまま気絶するまで戦い続けました。
信仰する主にとって、彼はオットーちゃん以下の玩具でしかなかったにも関わらず。
イリアナ
・素晴らしい戦いだったわ、二人とも(※ベルトランとガンシン)。
こんな戦いを独占できる私は幸せよ。
…よかった。ガンシンも、まだ息があるようね。
この子は私のお気に入りの玩具なの。完全に壊れてしまわなくて幸いだったわ。
さぁ、傷んだ玩具は早く回収して、直してあげなくては…

つづく。
注
この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。
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