神秘の花嫁
万紫千紅の魅力は多くありますが、その一つは登場人物です。
キャラクターデザインには、風花雪月に続いて、倉花千夏氏(京都精華大学 客員教授)が起用されました。
前回はヨーロッパ風でしたが、今回は北アフリカと地中海沿岸が想定されています。
簡単な注文ではなかったはずですが、倉花氏はまたも魅力的なキャラを多く生み出しました。
とりわけ異彩を放ったのが、神秘の花嫁・アナトリアではないでしょうか。

綺麗・可愛いの感性は、人それぞれなので置くとして、彼女の目力(めぢから)は際立っていました。
脇役にしておくのが惜しい、主役を張れるだけの吸引力があったと思います。
しかし、そんなアナトリアは、尺の都合でアナトリア編が割愛された影響か、描写が断片的であり、物語まで神秘になってしまいました。
ジョカの調停者
アナトリア
・僕はジョカの調停者、コンロンのアナトリア。
確かに、あなた(※セオドラ)たちの言う、白き卵の民です。
(中略)
神殿によって封じられた禁断の地(※コンロン)の中で辛うじて生き残ってきましたが、もう猶予がありません。
僕は、里の皆を救うためにここで戦っています。

彼女は、コンロンの里で製造されたばかりの人造人間、すなわち調停者です。
作中に登場する調停者は3名います。
最初の調停者トロイア、神秘の花嫁アナトリア、そして救世主イシュマールです。
名前だけ登場する裏切り者シュキオンを含めても、4名に過ぎません。
改めてになりますが、この調停者とは何なのでしょうか?
偉大なる石標(グラン・メガリス)のライブラリ情報を覗いてみましょう。
偉大なる石標
調停者 (1)
・船に与えられた任務である極めて長期間にわたる航海においては、その過程で実に様々な問題が発生することが予想される。
船体の破損や故障、蛇(※恒星間宇宙船)内部における反乱の発生、あるいは未知の知的生命体との接触など、想定しなければならない状況は非常に多岐にわたる。
調停者とは、あらゆる事態に対応するために、蛇(※恒星間宇宙船)の内部で製造される人造人間である。
調停者は様々な困難な状況に対し、当事者間を取り持ち、円滑な交渉を行うことを主な役割とし、対話のほか、必要に応じて武力での事態解決まで幅広い対応力が要求されるのである。
これによれば、調停者とは、恒星間宇宙船において製造される、トラブルシューターであるとされています。
遥か昔、大厄災によって地上が壊滅したため、当時の人類は宇宙または地下に逃れて、移住先を探すことになりました。
その過程で発生する、様々なトラブルに対処するために生産される、スペックの高い異能の解決屋が、「調停者」ということになります。
心核とハイスペ遺伝子
続いて、調停者の性能について見てみましょう。同じく、偉大なる石標(グラン・メガリス)のライブラリ情報を参照します。

偉大なる石標
調停者 (2)
・調停者には、800万を超える数の標本をもとに編集された遺伝子情報が使用されている。
統計的に相手から好意を抱かれ易い外見を持つ上、通常の人間よりも高密度に合成された骨格や筋肉のほか、高次元縮退炉(※心核)を体内に内臓することにより、蛇(※恒星間宇宙船)の航海に十分に耐えられるほどの長寿命を持つ。
また、調停者は極限の状況下において不測の事態に遭遇し、単独で生き残った場合を想定し、自らの複製を増やし、人類の文明を存続させる可能性を残すために、単為生殖が可能なよう設計されている。
このことも、調停者の大きな身体的特徴となっている。
調停者に与えられた数々の強化が施された肉体は、あくまでも高次元退縮炉(※心核)から副次的に得られるワーレン粒子によって維持される前提のものであり、もしもこの機関に何らかの異常が発生した場合、急速な肉体の老化現象をはじめとする、数々の深刻な問題が発生することが予想される。
調停者には二つの特徴があります。
一つ目は、800万超の標本から、選りすぐりの遺伝子を集めていること。
つまり、ハイスペック個体のイイとこ取りをした、厳選された遺伝子ということです。
二つ目は、アガルタの傑作・心核を搭載していること。
心核は別記事で解説しましたが、ひと言でいえば、神の心臓を模した強化素材であり、搭載した人間に「高性能・長寿命」を与えます。
ゼノンやトロイアが、数千年と生きているのは、この心核があるお陰です。
アナトリアは製造されたばかりですが、これから千年単位で活動することになります。
一方、アナトリアの予備として製造されたナジャには、与える心核がありませんでした。
心核は、大厄災によって失われた古代遺産であり、現代の技術では生産できません。100基以下と言われる貴重な既存物を、大事に使い回す必要があります。
したがって、心核のないナジャは、準調停者でありながら、人間と同じか、またはそれ以下の期間しか活動できないことになります。
飽くまで、アナトリアが倒れた万一の時に、心核を移し替える器でしかなかったのでしょう。彼にはハイスペ遺伝子という特徴しかありませんでした。
これを前提にした、興味深いやり取りがあります。

ファビオ
・私を殺せば、貴方の溜飲が下がるのでしょう…?
そればかりか、心核が手に入るのですよ…?
調停者に近づき、強大な力と…長命を得る。
これは…ソロモンにとっても有益でしょう。それとも口だけですか?
私を敵視するだけで、実際に殺す気にはなれない、とでも?
ナジャ
・ボロボロになるまで、自分と同じ敵と戦う奴は仲間だ!殺すわけねえだろ!
俺はお前のこと、信用するって決めたぜ。
それに心核だって要らねぇ!
俺は俺の力で強くなるし、死んでやる!それが俺だ!
上記の二点以外に特筆すべきは、調停者には「単為生殖の能力がある」という点です。
作中では描かれませんでしたが、裏設定で利用された、または次回作などで利用されるのかもしれません。
アナトリアの使命
ジョカは、クロノス砂漠に不時着した、元アガルタの恒星間宇宙船です。第18番艦であり、ゼノンが船長を務めていました。
ゼノンはそのまま里長に横すべりして、3,000年超もコンロンの指導者であり続けました。
ジョカは、宇宙船としての機能は失いましたが、人工知能や人工子宮は健在であり、トラブル解決のために調停者を製造する能力は残ってました。
すべての調停者には課された使命、すなわち解決すべきトラブルがあります。
アナトリアの場合、それは限界を迎えたコンロンに代わる、移住先の新天地を探すことでした。
彼女はこの使命のために活動しています。
ダグシオン大剣闘祭に参加したのも、もちろんこの目的に沿っています。

アナトリア
・僕が大剣闘祭で優勝したら、禁断の地(※コンロン)の門を開けてもらうことをお願いするつもりでした。
だけど、門を開けただけでは駄目なのです。
人々の、白き卵の民に対する意識…それを変えなければ、里の人間が受け入れられることは難しいと、旅の中で知りました。
しかし、アナトリアは旅を通じて、白き卵の民に対する、人々の差別意識が強いことを痛感します。
このため、ダグザ大陸ではなく、ダナン海を越えた東の僻地、ソロモンにその新天地を求めることになりました。
単に、生活環境が劣悪なコンロンを脱するだけでなく、白き卵の民が差別されない場所を探したのです。

祖を同じくするサラミス王国を選ばなかった点が、興味深いところでしょう。
白き卵の民は、文字を捨ててサラミスに同化するのを拒み、ソロモンで自分達の伝統を保持することを選択しました。
つづく。
注
この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。
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