フォドラの地理

フォドラは、ヨーロッパ大陸がモデルになっていると言われます。
修道院書庫にある「諸遊紀行」には、フォドラの外にある世界に関する記述がありますが、フォドラをヨーロッパと見立てると、諸外国のモデルも見えてきます。
パルミラ
・フォドラの東にある大国。
険峻な山岳地帯「フォドラの喉元」を領界として、レスター諸侯同盟領と接する。
騎馬民族の血を引く者たちであり、戦いを好む。
広大な国土は肥沃な大草原、砂漠、大連峰など地形に富む。
フォドラと最も関わりのある外国の一つは、パルミラでしょう。
これはおそらくモンゴル帝国を意識しています。
騎馬民族の血を引く、戦いを好む、広大な国土などは、まさしくモンゴル帝国のそれであり、ヨーロッパの脅威だったことも合致します。
クロードの祖国はパルミラですが、彼が弓の名手なのは、蒙古騎兵の特殊スキル・騎射に因んでいると思われます。
パルミラの竜騎兵団は、もちろん蒙古騎兵を意識しているでしょう。

スレン
・フォドラの北にある巨大な半島の名だったが、今は北半分をスレン地方と呼び、南半分はファーガス神聖王国の領土となっている。
荒涼とした大地には好戦的な民族が住まう。
岩砂漠が広がっている一帯もある。
ダスカー
・フォドラの北、スレンの西側にある半島。
かつて暮らしていたダスカーの民は滅び、ファーガス神聖王国の領土となっている。
取り立てて何もない土地だが、珍重な鉱物が見つかるという噂もある。
スレンやダスカーは、ファーガス神聖王国と関わりが深い地名です。
これらは北欧諸国を、更に言えばスカンジナビア半島を意識しているようです。
スレンに対する抑えとして、王国ではゴーティエ辺境伯が置かれていますが、時折り侵入してくるスレンの民は、ヴァイキングがモデルと思われます。
ダグザ
・フォドラの南西にある大地。
遥か遠方であり、その地は焦熱の密林であるとか、冷涼な大高原であるとか、噂を挙げれば枚挙に暇がない。
そしてそれらは半ば事実であり、南北に長い大地に様々な地形を有している。
次回作「万紫千紅」の舞台となるダグザは、北アフリカがモデルになっています。
万紫千紅には、有色・褐色の登場人物が多いようですが、それはこうした地理的要因に根差しています。
書物「フォドラの歴史」によれば、ダグザとフォドラには、抗争の歴史がありました。
帝国歴 721年 第一次ミアハ戦役
・海を越えてダグザ軍が襲来す。
帝国軍はこれを撃退するものの、ミアハ地方は少なからず被害を受ける。
帝国歴 728年 ブリギット侵攻
・帝国軍、ダグザに協調していたブリギット諸島に侵攻す。
勝利し、ブリギットの民を従属させる。
帝国歴 731年 ダグザ侵攻
・帝国軍、ブリギットを足掛かりに、ダグザに大規模な侵攻をかけるも、武運つたなく敗退す。

これはヨーロッパと北アフリカの抗争を意識しているようです。
ローマ帝国とカルタゴ帝国の争いや、キリスト教文明とイスラム教文明の争いが典型ですが、万紫千紅ではどのように描かれるのでしょうか。
なお、ダグザとフォドラの争いに巻き込まれたブリギット諸島は、結果的にアドラステア帝国に従属しました。
ブリギットの姫・ペトラが、帝国の黒鷲学級にいるのは、人質として差し出されているからです。
モルフィス
・フォドラの南東にある魔道の都の名であり、その都市を中央に置く広大な砂漠の名でもある。
「幻の都」とも称された時代もあったが、細々と繋がる行商の道を通して、偉大にして摩訶不思議な魔道の噂が伝わる。
本編とは関わりの薄いモルフィスですが、ここは中東に栄えたイスラム文明を意識しています。
陽の目を見たダグザに続き、いずれシリーズや外伝などの舞台になってくれることを願うばかりです。
オグマ山脈
・フォドラの中央からやや南に広がる大山脈。
西は帝国と王国の境界となり、ガルグ=マクを囲いながら帝国を縦断するように伸びる。
他では見られない動植物も多く、また豊富な鉱物を有する。
ユニークなのは、フォドラを分かつオグマ山脈です。
オグマの名はケルト神話に由来しますが、地理的にはヨーロッパを分かつアルプス山脈を意識しているようです。
フォドラの三国鼎立が成ったのは、オグマ山脈及びアミッド大河(ミルディン大橋が掛かっている)という天然障壁があったればこそ。
これは古代中国において、三国志が成立した背景と似ています。
天下三分の計は、蜀の急峻な山岳地帯と、魏・呉の間に流れる長江(揚子江)があって、初めて可能なものでした。
ちなみに、オグマ山脈に位置する大修道院ガルグ・マクは、スイスといったところでしょうか。

登場人物の名前
風花雪月の登場人物の名前は、様々な神話・伝承などに因んでいます。
シリウス
シリウスは、おおいぬ座に含まれる恒星であり、太陽を除いて、夜空で最も明るく見える星です。
2番目に明るいカノープスの約2倍の明るさとされます。
古代エジプトでは、この恒星シリウスを「ソプデト(Sopdet)」と呼び、女神として神格化していました。
ソプデトをギリシャ語読みすると「ソティス」になります。
一方、ギリシャ語では、シリウスは「セイリオス(Seirios)」と呼びました。これが転じて、セイロスになったものと思われます。
つまり、ソティスとセイロスは、ともに恒星シリウスに因んでいます。
さらに興味深いことに、レアはギリシャ神話の女神「レア(Rhea)」を連想させます。
ギリシャ神話のレアは、ハデス・ポセイドン・ゼウスなど、6人のオリュンポス神を生んだ「神々の母」です。
地名の項で触れた通り、フォドラ大陸はヨーロッパをモデルにしており、ダグザは北アフリカに相当します。
もし、この裏設定に重きがあるとすれば、セイロス=レアはフォドラと関係が深く、ソティスはダグザと関係が深いことになります。
このあたり、次回作「万紫千紅」で何か明らかになるのでしょうか。

四聖人
聖者セイロスと共に戦った四聖人は、少し風変りな名前ですが、これはケルト神話に因んでいます。
・マクイル(Macuil)
・インデッハ(Indech)
・キッホル(Cichol)
・セスリーン(Cethleann)
マクイルのMacは、現代でもアイルランド系移民の名前に含まれていたりします。
ソティスはエジプト、セイロスとレアはギリシャ、四聖人はケルトと、それぞれ古代文明から名前を拝借しているようです。
十傑
十傑の名前は、ヨーロッパの様々な文化圏から取っていますが、一部には興味深い示唆があります。
それはウェールズ伝承に登場する、伝説のブリテン王・ブレーダッド(Blaiddyd)です。
ブレーダッドは「王家・戦士・槍」のイメージが強く、フォドラ大陸のブレーダッド家と、その嫡子ディミトリによく似合います。
また、ファーガス神聖王国の紋章は青獅子ですが、獅子と言えばイギリス。王室や国章、スポーツなどの象徴として使われる国家シンボルです。

ブレーダッド王には息子リア(Leir)がおり、後年このリアをモデルにして、シェイクスピアが「リア王」という作品を描きました。
リア王には、ゴネリル・リーガン・コーデリアという3人の娘がいます。
レスター諸侯同盟は、ここから名前を拝借しています。
・ゴネリル家 ヒルダ
・リーガン家 クロード
・コーデリア家 リシテア
また、リア王には、グロスター伯とその庶子エドマンドが登場しますが、これも諸侯の名に採用されています。
・グロスタール家 ローレンツ
・エドマンド家 マリアンヌ
興味深いのは、レスター諸侯同盟が、ファーガス神聖王国から分離独立したという歴史です。
「フォドラの歴史2」には、次のような記述があります。
帝国歴 801年 レスター大乱
・帝国のレスター地方で内乱が勃発す。
帝国軍は鎮圧に失敗。神聖王国がこれに乗じてレスター地方を制圧し、領土とす。
帝国歴 861年 ファーガス神聖王国分裂
・国王クラウス1世の崩御に伴い、3人の王子がそれぞれ大公となり、王国を三分割して統治す。
帝国歴 881年 三日月戦争
・王国のレスター地方を治むる大公が病没す。
レスター地方の諸侯は、次の大公を立てず、諸侯の共同体となることを画策す。
帝国歴 901年 レスター諸侯同盟領の成立
・諸侯同盟に反目する諸侯を討伐し、ファーガス地方からの干渉も排除したリーガン公を中心に、同盟領が成立す。
ファーガス神聖王国は父ブレーダッドに、レスター諸侯同盟は子リアに、それぞれ因んでいるようです。
個人的に面白いのが、十傑のカロンです。
カロンはギリシャ神話に登場する冥府の渡し守であり、死者の魂を冥界へ運ぶ存在として知られています。
カロン家と言えば、雷霆を振るうカトリーヌ。彼女はレアの信奉者です。この二人はギリシャ神話つながりのようです。
帝国貴族
アドラステア帝国の人物は、北欧神話から名を取っているようです。
エーデルガルトのフレスベルグ家は、北欧神話に登場する巨大な鷲・フレスヴェルグをそのまま採用しています。
帝国の紋章が双頭の「鷲」であることからも明らかでしょう。
フレスベルグ家以外にも、帝国の貴族はその多くが北欧系の名前になっています。
・ベストラ家 ヒューベルト
・エーギル家 フェルディナント
・ヘヴリング家 リンハルト
・ヴァーリ家 ベルナデッタ
・ベルグリーズ家 カスパル
オーディンが除かれているのは、有名過ぎるからでしょうか。武を誇るベルグリース家は、オーディン家でも似合う気がしますが。
代わりに、オーディンの母・ベストラと、子・ヴァーリが採用されました。
アガルタ人

アガルタ人(闇に蠢く者たち)は、基本的にギリシャ七賢人の名をそのまま使っています。
・タレス
・ソロン
・ミュトス
・クレオブレス
・キロン
・ビアス
・ピッタコス
「クレオブレスって誰だ?」と思うでしょうが、これはファーガス神聖王国に取り入ったコルネリアです。
タレスがアランドル伯と偽り、ソロンがトマシュと偽ったように、クレオブレスはコルネリアという偽名を使いました。
キロン・ビアス・ピッタコスは単なる強モブなので、一応登場はしていますが、印象には残り辛いでしょう。
なお、モニカに化けたクロニエは、この命名ルールから外れているようです。
注
この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。
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