風花雪月考察 フレスベルグの裏切り (1)

フレスベルグ (1) ブログ

フレスベルグよ、なぜ裏切った?

 フレスベルグ家は、数ある名家の中でも、セイロスとの関係がとりわけ深い家でした。

 初代皇帝フレスベルグ1世は、聖者セイロスの盟友であり、その血を分け与えられて、共に解放王ネメシスの軍を討ち果たしています。

 アドラステア帝国の代々の皇帝は、皆がセイロスの紋章を持っていました。

 約1,100年にも及ぶ友好関係があったにも関わらず、エーデルガルトはセイロス(=レア)に対して反旗を翻します。

 帝国側は代替わりしていますが、セイロスは同一人物ですから、その心中は複雑だったことでしょう。

 最大の味方とみなしていた血筋が、牙を剥いて大修道院ガルグ・マクを襲撃し、これを壊滅させてしまったのです。

 フレスベルグの一族は、セイロスの子とは言えませんが、血を与えた分け身のような存在です。

 セイロスの紋章を持つエーデルガルトが、セイロス教団の撲滅に兵を挙げたことは、セイロスにとっては強烈な皮肉になりました。

エーデルガルト
・教団は、フォドラを支配せんとする欲望のために教義を利用し、人々を欺いてきた。
 かつて帝国を分裂させて王国を作り、王国を分裂させて同盟を生んだのもそうだ。

 それらはすべて人々を争わせ、民の安寧を脅かすことで己の権勢を保つためだった。
 女神に救いを求める人々の信仰心を利用し、金を掻き集め、贅を尽くす偽善者たち…。

 彼らはフォドラを導くことなどできない。
 そんな信仰は、打ち砕かれるべきだ。
 故に、私は決断した!

 アドラステア皇帝エーデルガルト=フォン=フレスベルグの名において…
 ここにセイロス教団との開戦を宣言する!

紋章社会を壊せ!

 なぜエーデルガルトは、セイロス教団を消滅させようとしたのでしょうか?

 それは彼女によれば、貴族制度を破壊するためでした。

エーデルガルト
・私は既存の貴族制度を壊すつもりでいる。
 貴族を貴族たらしめているのは紋章の血脈。その価値をなくせば貴族も自ずと消えるわ。

 貴族の血筋には、一族の誰かに、22の紋章のうち一つが発現しています。

 この「紋章」とは、実は竜族(ナバテア人)の血であり、竜族の力を振るうことができる資格に相当します。

 これが人間社会では尊ばれて、貴族という扱いになっています。

 エーデルガルトは、貴族制度を憎んでいました。

 そして貴族制度、言い換えれば紋章重視の社会を破壊しようと考えますが、そのためには紋章の実体である竜族の血を、避けて通ることはできません。

 セイロスは竜族の生き残りであり、セイロス教団は紋章を重んじる価値観の中心にあったため、これを破壊しようとしたわけです。

 しかし、戦乱となれば、竜族の力は逆に存在感を増してしまいます。

 アドラステア帝国の挙兵は、当初こそ順調でしたが、すぐに行き詰まりました。紋章社会を壊すために、紋章の力を必要とするという矛盾に、早々につまづいてしまったのです。

 これを打開するのは挙兵から5年後、神祖の力を継いだベレトが陣営に加わってからです。

 結局は竜族頼みなのですから、エーデルガルトの理想はこの時点で破綻していたと言えるでしょう。

おぞましき血の実験

 なぜエーデルガルトは貴族社会を、ひいては紋章(竜族の血)を憎んだのでしょうか?

 それは「血の実験」という、凄惨な幼少期があったからです。

 闇に蠢く者たち(アガルタ人)は、帝国のアランドル伯を殺害してこれに擬態し、工作活動によって帝国を混乱に陥れました。

 その流れでフレスベルグ家を乗っ取り、皇帝イオニアス9世を無力化して、その子弟らに血の実験を施しました。

帝国貴族名鑑2 アランデル家
・元は帝国の小貴族だったが、現当主であるフォルクハルトの妹が皇帝イオニアス9世の室となってから急伸し、アランデル大公の位を贈られる。
 エーギル家に協力し、七貴族の変を起こした主犯格の一人と目される。

 帝国貴族名鑑によれば、妹を皇帝の側室にして、それを足掛かりに権力を得ていったようです。やがて七貴族の変を策謀して、皇帝の権能を剥奪しました。

 血の実験とは、後天的に紋章を宿らせるための人体実験です。

 被験者のほとんどは、失敗して命を落としましたが、唯一エーデルガルトだけは生き延びて、炎の紋章を宿すことに成功します。

 彼女は生来、セイロスの紋章を有していましたが、これに加えて炎の紋章を得たわけです。

 紋章とは竜族の血ですから、これが複数発現することは、本来はあり得ません。

エーデルガルト
・紋章学の理屈上、1つの体に2つの紋章を宿すなんてあり得ない。
 人為的に、血の改造を施さない限りは。

 それを無理やり発現させたため、失敗すれば命を落とし、成功したとしても白髪になって、寿命が大幅に縮まるという不利益がありました。

 エーデルガルトの髪は、美しい銀髪ではありません。生命力を失った白髪です。幼少期の彼女は髪は栗色でした。

 血の実験によって、家族と人生を破壊されたために、エーデルガルトは紋章を憎むようになったのです。

才女リシテアの悲劇

 このおぞましき血の実験は、エーデルガルト以外にも被害者がいました。

 それはレスター諸侯同盟、コーデリア家のリシテアです。

 リシテアの幼少期、コーデリア家はアドラステア帝国の内紛に巻き込まれて、闇に蠢く者たちの介入を受けることになりました。

リシテア
・…今から18年前、コーデリア家が帝国の内乱に関与したことがありました。
 いえ、実際には救援要請に応じただけで、政治的な関与はなかったのですが。

 内乱の鎮圧後、コーデリア家は責任の一端を負わされ、帝国から干渉を受けました。
 当時の同盟諸侯は日和見で…誰も救いの手を差し伸べてはくれませんでした。

 結果、コーデリア家の重臣は殺され、代わりに帝国の人間が送り込まれました。
 その中に、怪しげな魔道士もいました。
 青白い肌の、不気味な魔道士たちです。

 彼らによって、家中の若者たちが次々と捕らえられ、投獄されました。
 やがて、恐ろしい儀式が…
 いえ、実験と言ったほうが正しいかもしれません。

 これはいわゆる「フリュムの乱」です。

 アドラステア帝国の内紛を利用する形で、闇に蠢く者たちが帝国のフリュム家と、同盟のコーデリア家を乗っ取りました。

 やがてアランドル家を乗っ取り、遂には本命のフレスブルグ家まで傀儡にしてしまいました。

帝国貴族名鑑2 フリュム家
・帝国の子爵。皇帝イオニアス9世の中央集権政策に反発し、帝国からの独立と同盟への参画を目論むも、帝国軍の介入にあって失敗する。
 後始末として本家は断絶、現在では養子を当主として迎え入れている。

リシテア
・帝国の監視下、父と母は何もできないまま、その惨状を見ているしかありませんでした。
 みんなが次々と命を落としていく中、唯一生き残ったのが…私でした。

 …私ね、小さい頃は、こんな髪の色じゃなかったんですよ?
 彼らの実験で、血に何かをされて…
 ある日、目が覚めたら、こんな髪に…。

 私の変貌を見た彼らは喜んでいました。
 ついに実験が成功したと思ったのでしょう。
 調べてみると確かに、私はこの体に2つの紋章を宿していました。

 ただし…2つの紋章を得た代償は、髪の色を失っただけではなかったようです。
 魔道士たちからは…長くは生きられないと宣告されました。
 もって5年…いえ、もっと早いかもしれません。

 リシテアもまた、美しい銀髪ではありません。生徒の中では最年少の彼女が、総白髪になってしまったのです。

 短命と宣告された彼女は、猛烈な努力で才能を開花させますが、それは悲痛な過去に起因しています。

リシテア
・私の両親は、貴族であるがゆえに、とても苦しい人生を強いられてきました。
 私自身、紋章のせいで、まっとうな人生さえ送れない体になった。
 貴族制度も紋章も、うんざりなんです。

炎の紋章

 少し脱線しますが、炎の紋章について触れておきましょう。

 作中、炎の紋章を持つ人物は4名登場します。

・神祖ソティス
・解放王ネメシス
・炎帝エーデルガルト
・主人公ベレト

 興味深いのは、同じ炎の紋章でありながら、それを得た経緯がまるで異なることです。

 神祖ソティスは本人ですから、炎の大紋章を持っていたのは当然です。

 ソティスに限らず、セイロスと四聖人(マクイル・インデッハ・キッホル・セスリーン)はそれぞれ、本人が大紋章を持っています。

 解放王ネメシスは、聖墓に眠るソティスの亡骸を盗み、そこから血を奪って取り込みました。

 竜族の血を取り込めば、必ず紋章を得るわけではありません。人間側に適性がなければ、言わば拒否反応のような形で、危険な状態に陥ることがあります。

 盗賊ネメシスは、奇跡的にソティスの亡骸を盗み、奇跡的にその血に適合した、アガルタから見れば古代の傑作でした。

 ネメシスは解放王を名乗り、天帝の剣を振るって、フォドラ制圧まであと一歩というところに迫りますが、タルティーンの野で聖者セイロスに敗れました。

 ちなみに、「解放」とはアガルタ視点であり、竜族(ナバテア人)からの解放を意味しています。

 この時以来、アガルタは炎の紋章を再現することに心血を注ぎましたが、1,100年もの間それは実現しませんでした。

 彼らの悲願がようやく叶ったのが、炎帝エーデルガルトです。

 エーデルガルトは、アガルタの技術によって、人工的に炎の紋章を宿しました。アガルタの首領・タレスは、エーデルガルトをして「最高傑作」と呼んでいます。

 おそらくは、地下に保存したネメシスの遺骸から、その血を流用したのでしょう。

 そして、最後は我らがベレトです。

 ベレトは、セイロスが犯した禁忌によって、ソティスの心臓(紋章石)を埋め込まれました。

 ベレトが、紋章石を欠く天帝の剣を扱えたのは、自分の心臓として、その紋章石が体内にあったからです。ベレトの炎の紋章も、この心臓に由来しています。

 アガルタが人体実験でエーデルガルトを改造したと聞くと、「なんと酷いことを…」と思いますが、竜族(ナバテア)も人体実験でベレトを改造しているのですから、実はどっちもどっちだったりします。

 タレスは炎帝を作るために、フレスベルグ家とコーデリア家の子弟を多く殺しましたが、一方でセイロスも神祖の器を作るために、12人の実験体を間接的に殺しています。

 その中には、ジェラルトの妻にしてベレトの母、シトリーも含まれています。真相はかなり残酷な話でした。

 つづく。

 注
 この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
 内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。

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