アガルタの傑作
船長の心核
万紫千紅では、「心核」という重要な存在が明らかになりました。
この心核は、万紫千紅に深く関わるだけでなく、風化雪月の謎をも解き明かしてくれました。今回はこれについて、触れてみたいと思います。
イシュマールは、コンロンの里の長・ゼノンの心核を引き継いで製造されました。
イシュマールのプロフィールを見ると、ルーツの欄に「船長の心核」とあります。船長とは無論、ゼノンを指しています。
アガルタの恒星間宇宙船、第18番艦ジョカの船長がゼノンです。
心核とは
心核に関する情報は、偉大なる石標(グラン・メガリス)のライブラリにあります。
プレイ上は大した影響がなく、無視してもよいのですが、往年のファンには貴重なものでした。
その要点は、以下の通りです。
・正式名称は心核炉、または高次元縮退炉という。
・心核の内部には、超空間が形成されている。
・心核を持つ者は、ワーレン粒子によって、高性能と長寿命を得る。
・大厄災前の遺産であり、現在の技術では生産できない。
・現在も稼働している心核は、100基以下である。
一応、ライブラリの情報を載せておきますが、やや難解ですので、興味がある方以外は読み飛ばしてください。上記の要点だけ押さえれば大丈夫です。

偉大なる石標
心核 (1)
・正式名称は心核炉、もしくは高次元縮退炉とも呼ばれる。
分類上は半永久機関に属し、過去の時代に実現不可能とされた数々の難題を、画期的な技術革新により達成、実用化された、まさに人類の英知の結晶である。
心核炉内部には超空間が形成されており、封印した特異点に対し、外部から質量を投入することで得られる第一次生成物は、熱として放射される。
これに対し、疑似カラビ・ヤウ多様体変換を用いることで、非常に効率的にワーレン粒子を取り出すことができる。
これを体内に移植した人間は、発生するワーレン粒子から得られる副次的効果により、常識の枠を超えた極めて長い寿命を得ることができる。
だが、それは一つの側面に過ぎない。心核炉の真髄は、ワーレン粒子を無尽蔵に使用することができるようになる事である。
心核炉の製造に関しては、要求する工学的技術と制作制度が極めて高い水準である必要があり、大厄災後の世界においては、新規にこれを製造することは不可能であると考えられ、現在でも稼働している個体は、地上に100基以下程度しか現存していないと推測される。
高性能・長寿命
重要な点が幾つかありますが、まず心核を持つ者は「高性能・長寿命」になることからいきましょう。
作中に登場する、心核を持つ主な人物は次の通りです。
・トロイア(調停者)
・アナトリア(調停者)
・イシュマール(調停者)
・コウカ(亡き夫の心核を移植)
・ファビオ(アガルタ幹部)
・ガンシン(アガルタ元幹部、四方正門)
アナトリアとイシュマールは、製造して間もないですが、それ以外の人物は何百年と、最初の調停者トロイアに至っては何千年と生きています。

イシュマールに心核を提供したゼノンも、短くとも3,150年は生存していました。
アナトリアは生まれて数年ながら、今後は長きにわたり活動することになります。
一方、アナトリアの予備として製造されたナジャは、準調停者であるにも関わらず心核がありません。
したがって、彼は長寿命ではなく、普通の人間と同じ、またはそれ以下の期間しか活動できないことになります。
コウカは900歳を超えていますが、彼女はフェザーンで戦死した夫の心核を移植されています。亡き夫はおそらく、コンロンの重要人物だったのでしょう。
ディートリヒの相棒ファビオが、遥か昔のことを見てきたように語るのは、実際に見てきたからです。彼は何百年と生きています。
ファビオの元同僚、四方正門ガンシンについては後で触れることにします。
ディートリヒ
・…お前は本当に、神話の時代のことすらも見てきたように話すのだな。
ファビオ
・実際にこの目で見てきたから…と言ったら、貴方は信じますか?
ナジャ
・俺は心核をもらえてねえからな。内臓に普通より負荷がかかってるらしい。
船長(※ゼノン)に聞いた話だと…
ある時から一気に老け込んで…他の奴より早死にすんだとよ。
神の心臓
超空間
次に注目したいのは、心核の内部は「超空間」が形成されており、その中に膨大な熱エネルギーが蓄えられているという点です。
興味深いのは、ファビオの次の発言です。紋章石、つまりナバテアの民の心臓について言及しています。
ファビオ
・フォドラの英雄たちに紋章武器(※英雄の遺産)を授けたのは、我々の組織アガルタです。
大厄災によって女神(※神祖ソティス)たちに地上を奪われ、地下に潜った我々は復讐の機会を狙っていました。
そこで、ある男(※ネメシス)を使って、女神の骨と血と紋章石(※ナバテアの心臓)を盗み出すことに成功しました。
そして女神とその眷属たちが持つ、神秘の力の謎を解くべく、研究を開始したのです。
紋章石の構造は、実に驚くべきものでした。
その内部はある種の超空間に通じており、竜の身体を構成する体組織や、それを動かすための莫大な熱量が保存されていたのです。
ある程度解析が進んだ段階で、1人の賢者が導き出した仮説を元に、最初にして究極の紋章武器とでも言うべきもの、天帝の剣が生み出されたのです。

なお、ナバテアとは竜族、ダグザの世界における神々を指しています。
ダグザ神族は皆、ナバテアということになります。ダグザ、ソレル、マーズ、カーラ、クレールなど、全員がナバテアの民です。
神々には竜に顕現する(元の姿に戻る)能力があります。
しかし、人の擬態が長くなり過ぎた者は、顕現する能力を失ってしまうようです。
人間と同じ見た目をしていますが、耳だけはなぜか特徴的で、エルフのような尖った耳をしています。
神の心臓を模した人工物
ファビオの発言は、風化雪月の知識を前提としており、未プレイの方には意味が分からないかもしれません。
解説し始めると脱線が過ぎるので、ここでは一点だけに集約します。
注目して欲しいのは、紋章石(ナバテアの心臓)の内部が、ある種の「超空間」だと指摘している点。これはまさに心核と同様です。
つまり、アガルタの英知たる心核は、ナバテア、すなわち神の心臓を模して造られた人工物の可能性が高いのです。
神の心臓を人に与えたもの、それが心核というわけです。
アガルタは、盗賊の首領だったネメシス(後の解放王)を唆して、フォドラ大陸の神の亡骸を盗みました。

彼らはその遺骸を研究して、神に匹敵する研究成果を上げることになります。それも、なんと二つも。
一つはファンにお馴染みの「英雄の遺産」、そしてもう一つは「心核」でした。
この二つをもって、アガルタはフォドラの神に復讐戦を仕掛けます。その物語を描いたのが風花雪月でした。
神殺しのアンスウェラー
英雄の遺産は、風化雪月ではその中心にありましたが、万紫千紅においてはディートリヒの得物、アンスウェラーしか登場しません。
アンスウェラーに「竜特効」があるのは、英雄の遺産が神殺し(=ナバテア殺し、竜殺し)の武器だからです。

アンスウェラーに限らず、英雄の遺産はすべて、ナバテアの心臓を核に、そしてナバテアの骨を刀身にして造られた、実はおぞましい創作物です。
それ故に、神威法王ソレルはディートリヒを警戒し、彼を呼び出して自ら検分を行いました。
ダグザ神族からすれば、同族の骨と心臓で造られた、自分たちを殺すための武器ですから、警戒するのは当然です。
ソレル
・アンナ、彼(※ディートリヒ)に、私のところに出頭するように伝えてくれ。
これは非常に重要なことだ。
もし拒否するならば、強引な手段を取ることになっても構わない。
しかし、軍神マーズは「戦えば分かる」と言って脳筋ファイトを始め、ディートリヒをすっかり気に入ってしまいます。
神が、神殺しの武器を持つ殺人鬼を一瞬で認めるという、なかなかの名シーンでした。
流されるように「まぁ、いいか」となるソレルも、「本当にそれでいいのか」と突っ込みたくなります。

貴重な遺産
心核は、大厄災によって失われた技術らしく、現在は再現できないとされています。
そのため、100基に満たない既存物を、大事に使い回していくしかありません。ここぞという時しか、心核は使えないことになっています。
そして、その「ここぞ」が、アナトリアであり、イシュマールでした。
アナトリアは、限界を迎えたコンロンの移住先を探すという、民族の存亡に関わる使命がありました。
彼女には七星核という、最高スペックが与えられましたが、一方で予備として製造されたナジャには、与える心核がありませんでした。
アナトリアは使命を果たして、ソロモンという新天地を見つけることになりますが、その物語は残念ながら描かれていません。
どうやら割愛されたアナトリア編に含まれていたようです。ぜひスピンオフ作品などで、世に出て欲しいものです。
また、イシュマールについては、皆様ご存知の通りです。
冥界に覆われて滅びかけた世界を救うため、ゼノンはその命を引き換えにして、自分の心核をイシュマールに託しました。
1449年現在の世界において、心核は貴重な、貴重な遺産という扱いになっています。
この背景が分かると、アガルタがなぜ、逃亡者ガンシンの捕獲にこだわっているのかが理解できます。

つづく。
注
この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。
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