悲しき地下の王
忌み子として廃棄処分にされたモーグは、地下にモーグウィン王朝を築いて、黄金樹王国から独立することを志しました。
神人の誘拐
モーグはミケラを神に戴き、自らは王になろうと画策しました。
ミケラは聖樹に宿って、これを育てようとしましたが、モーグは聖樹を切り裂いて、ミケラを奪ったとされます。
百智卿ギデオン・オーフニール
・やはり聖樹は、抜け殻だったか。ミケラは聖樹に宿ろうとした。
だが、完全な宿りを前に、何者かが聖樹を切開し、幼子を奪った。
…あの言葉、どうやら事実であったらしい。

そして、地下王朝に連行して、新たな繭の中でミケラが目覚めるのを待ちます。
そのために、大量の血を捧げたようです。しかし、ミケラは一向に応答しませんでした。
血の君主の歓喜
・血の君主の喜びを模したタリスマン。
血の君主に、血を捧げよ。
御方の閨を、繭を血で満たせ。幼き伴侶が目覚める時、我ら王朝開闢せん。
血の君主の追憶
・ミケラを神とし、自らはその伴侶として王となる。
そのために、血の閨をどれほど共にしようとも、幼き神人は何も答えなかった。
モーグがミケラを利用しているかと思いきや、逆にミケラがモーグを魅了して、これを操っていたことが判明します。
忠臣のアンスバッハは、この異変に気づいてミケラに挑みますが、呆気なく敗れて逆に魅了されました。
彼は今でこそ老兵ですが、往時は血の騎士筆頭として名を馳せた強者です。そのアンスバッハが、あっさりと術中に落ちました。
老兵アンスバッハ
・私はかつて、 主たるモーグ様の魅了を解かんとして…
ミケラ様に挑み、果たせず、呆気なく心を掴まれたのです。
王の依り代
その後、モーグは主人公に討伐されて、地下王朝を建国する夢を断たれます。さらに、その死体をミケラに利用されることになりました。
老兵アンスバッハ
・あの王朝廟で、モーグ様が何者かに倒された後、その遺体が、持ち去られた形跡がありましてな。
どうやらそれが、ミケラ様の元に運ばれているようなのです。
ミケラはなんと、モーグの死体を依り代に、ラダーンの魂を降下させて、半ば傀儡のような存在にしたのです。

最強のデミゴッド、ラダーンの魂を宿すには、通常の肉体では足りず、同等のデミゴッドを器にする必要だったのでしょう。
そこにラダーンの自由意思や、承諾があったかは分かりません。一方的な「約束の王」ですから、魅了して操っていた可能性は十分あります。
老兵アンスバッハ
・まったく、事実とはいつでも碌でもないものですな。
モーグ様を利用し、影の地に至るだけでは飽き足らず、その遺体すら、王の依り代にしようなどと。
魂など必要なく、ただ空っぽの肉体だけを求めるなどと。
…ああ、けれど、ミケラ様はきっと、それが辱めであるとは、想像もされないでしょう。
…我が主が、哀れすぎるではありませんか。
赤獅子フレイヤ
・戦祭りが終わり、名誉ある最期を得た将軍の魂を、ミケラ様が呼び戻すというのか…。
DLCエリアへ行くためには、以下が条件とされていますが、それは上記の事情によるためです。
・星砕きのラダーンと、血の君主モーグを撃破する。
・モーグと戦闘した場所にある「ミケラの繭」から垂れる枯れた腕に触れる。
ミケラの思惑
そして、アンスバッハの発言によれば、ミケラがモーグを利用したのは、次の2点が目的でした。
・ラダーンの魂の器にすること。
・影の地へ至ること。
ミケラが影の地を目指したのは、自分が神になって、慈愛の律を世界の理にするためです。
影の地には、マリカが神になった「影の塔」がありました。今度は自分がそこで、新しい神になろうとしたようです。
老兵アンスバッハ
・ミケラ様が、この地で何を為されようとしているのか…
まだ、はっきりしたことは分かりませんが、あの方が、影の塔に向かっているのは確かな様です。
そして、ミケラ様は、あの地で神になろうとしている。
あの影の塔には、神の門があるのです。
そして、かつて一人の神が、そこで産まれたのです。
厳重に秘匿されてはいますが…恐らくは、我々がよく知る神が。
利用しようとして、利用される

整理すると、こういうことになります。
モーグウィン王朝の王たらんとしたモーグは、自らが戴く神とするため、神人ミケラを利用しようとしました。
しかし、モーグは早い段階で、ミケラに魅了されてしまいます。
次代の神を目指したミケラは、モーグの死体を依り代に、ラダーンの魂を召喚して、自らの王にしようとしました。
神マリカ・王ゴッドフレイのように、狭間の地を統べるには「神と王」の組み合わせが必要です。
モーグは「神ミケラ・王モーグ」を狙いましたが、ミケラはこれを逆手に取って、「神ミケラ・王ラダーン」にしてしまったわけです。
ミケラの特殊技能である「魅了」がなせる業でした。
誘惑の枝
・神人ミケラは、あらゆる者から愛された。愛するを強いることができた。
モーグは生後すぐ、忌み子として廃棄処分にされました。破砕戦争の時は、ローデイル防衛戦で駆り出されました。
そして、地下王朝を築く夢は、ミケラに利用されて頓挫。挙げ句、死体まで利用されるという、踏んだり蹴ったりの人生になりました。
多くの方は、モーゴットには同情するのに、モーグには似た感情を抱かないようです。
それはおそらく忠義を尽くした者と、利用しようとして利用された者の差なのでしょう。日本人の琴線に触れないので、ただの不幸で終わりました。
しかし、アンスバッハほどの人物が仕えたのですから、君主としての魅力はあったようです。
串刺し公メスメル

DLCの強敵・串刺し公メスメルもまた、親に疎まれた子でした。
彼は不幸なことに、黄金樹王国の禁忌とも言える「炎と蛇」を宿して生まれます。
忌み子のような廃棄処分は免れましたが、母マリカは禁忌が宿った瞳をくり抜き、封印の祝福に入れ替えた上、更にメスメルを影の地に飛ばしました。
串刺し公の追憶
・メスメルの中には、邪な蛇が蠢いていた。
母はその瞳を封印の祝福に入れ替え、それでもなお彼を影に隠した。
はじまりの罪と、忘れ得ぬ憎しみと共に。
影の地は、マリカが神として狭間の地へ進出する前、巫女時代に暮らしていた場所です。
ここで角人による迫害を受けたマリカは、報復戦争を仕掛ける時にメスメルを選びました。彼を王都に置きたくなかったようです。
マリカは相当に情が深く、そして好き嫌いが激しかったようです。
寵愛したゴッドウィンを失った時は狂乱した一方、坩堝や禁忌を持って生まれた子には、驚くほど冷淡に接しています。
母に棄てられた子
メスメルは母の愛に飢えたのか、必死に自分の役割を遂行しようとします。そのために、苛烈な虐殺も厭いませんでした。
メスメルの鎧
・母の願い、粛清の聖戦のために、メスメルは自らを恐怖の対象とした。
嘆きも、呪詛も、ただ私だけを責めればよい。
火に焼かれた廃墟 霊体
・みんな、燃えちまった。
あのメスメルどもが、みんな燃やしちまった。
儂らが何をしたって言うんだ。ただ、生きていただけだろう…。
メスメル
・不躾な侵入者よ。貴公が、褪せ人か。
母は、本当に、王たるを託したのか…光無き者などに。
…だが、我が使命は不変なり。
黄金の祝福無きすべてに、死を。…メスメルの火を。

メスメルは母の関心を引こうとしましたが、しかしマリカは彼を愛さなかったようです。メスメルに永遠の虐殺を課しました。
エンシス城砦 霊体
・マリカ様、貴方の子をお抱きください。
そして、どうかお示しください。この聖戦は、いつ終わるのでしょうか?
影の城 霊体
・そんなことは、あり得ない。
俺たちは、見棄てられてなどいない。
メスメル様は、マリカ様の息子。見棄てられるはずがない…。
マリカに従順であり続けたメスメルは、死の間際に本音を零します。
メスメル
・母よ、マリカよ。私は、呪う。貴方を…。
狭間の地においてはモーゴットが、影の地においてはメスメルが、それぞれ黄金樹王国に人生を捧げました。
この二人が恵まれたデミゴッドではなく、親に疎まれた子だったことが哀しく感じてしまいます。
将器にあふれる
メスメルは残虐な人物である一方、部下に慕われた見事な将だったようです。
火の騎士装備
・彼らは皆、黄金樹の貴族であったが、メスメルに忠誠を誓ったが故に疎まれ、故郷を追われたという。
故郷を追われてまで、メスメルに仕えた騎士がいました。
黄金樹は炎を嫌うので、火の騎士が炎のメスメルを選んだことは、理解できなくもありません。

しかし、驚くのはカーリアの王族、レナラの妹であるレラーナが、その身分を捨ててまでメスメルを選んだことです。
双月の騎士の追憶
・影樹に刻まれた双月の騎士、レラーナの追憶。
かつてカーリアの王女であった彼女は、生家を捨て、メスメルの傍らを選んだ。
月の輝きが、その男を癒せぬと知っていても。
メスメルの剣。いつか彼女はそう呼ばれた。
レラーナの兜
・カーリア王家の長であったレナラは、家を捨て、メスメルを追った妹に、艶やかな長い黒髪を贈ったという。
カーリア王家の女性は、情の深い人物が多いとは言え、メスメルにはよほど人を惹き付けるカリスマ性があったのでしょう。
一方、メスメルが蛇を宿すことを知って、反旗を翻した者もいました。
黒騎士長アンドレアス
・メスメル軍の主力たる黒騎士団。その最初の長であったアンドレアスの霊体。
剛力を誇り、また坩堝の力を振るう。
黄金樹を追われてなお、敬虔な信徒であり続け、メスメルの蛇たるを知った後、反旗を翻した。
そして敗れ、地下墓に幽閉されたという。
黒騎士の副長ヒュー
・メスメル軍の主力たる黒騎士団。その最初の副長であったヒューの霊体。
両刃の流麗な剣技と、坩堝の力を振るう。
神獣狩りで大きな功を成したが、父アンドレアスに従い、メスメルに反旗を翻し、敗れて地下墓に幽閉された。
戦友を失い、メスメルは大いに嘆いたという。
黒騎士の親子は反乱を起こしましたが、メスメルは彼らを処刑せず、幽閉にとどめました。戦友を失ったことを「大いに嘆いた」とあります。
この逸話は黄金樹社会において、蛇がいかに嫌われるかということを示唆しています。
生まれ持った特徴ゆえに、母に疎まれ、黄金樹社会に疎まれ、仲間に離反されと、メスメルは随分と辛酸を舐めたようです。
強くて残忍な一方、気の毒とも思える不思議な人物でした。
黄金樹王国の王子に生まれながら、彼が背負った「炎と蛇」は、ある意味で坩堝以上の苦難だったのかもしれません。
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