エルデンリング考察 黒き刃の陰謀の夜 (1)

黒き刃の陰謀の夜 (1) ブログ

黒き刃の陰謀の夜

・黒き刃の陰謀の夜、黄金のゴッドウィンが最初に死んだ。

 オープニングのこの一文は、物語の核心に関わりながら、最後まで謎のまま終わります。

 まず、分かっていることを整理しましょう。

 これらは作中で明示されており、ほぼ確定と言える事項です。

・何者かが、死のルーンを管理するマリケスから、その一部を盗んだ。
・ラニが儀式によって、死のルーンの力を、黒き刃の短剣に刻印した。
・黒き刃が、ラニの刻印がある短剣で、ゴッドウィンを襲撃した。
・ゴッドウィンの魂だけが死に、肉体は残った。
・ラニの肉体だけが死に、魂は残った。
・首謀者はラニであり、その目的は肉体だけを滅ぼすことだった。ラニは目的を達成した。

死が取り除かれた世界

 前提として、黄金律が適用された世界では、神マリカによって「運命の死」が取り除かれています。

 ここが分かりにくいのですが、狭間の地において神が創る律は、人工ルールの法律だけでなく、天然ルールの自然律まで及ぶため、生と死のあり様まで規定できてしまうのです。

 マリカは、エルデンリングから死のルーンを取り除き、それを影従にして義弟のマリケスに管理させました。

 これによって、デミゴッドたちは「運命の死」がなくなり、不死の存在になりました。

 狭間の地においては、死んだ者の生命力は、黄金樹の根から吸収されることになっています。

 大樹は信仰の対象であると同時に、死者が還る場所でもありました。この地における生命循環の媒体だったようです。

嵐の麓の地下墓 霊体
・正しい死とは、すなわち黄金樹に還ることなり。待ちなさい。根があなたを呼ぶ、その時まで。

 還った後について明言はありませんが、デミゴッドのような特別な存在は、エルデンリングの破砕前であれば、おそらく復活できたのでしょう。

 狭間の地には、「還樹」や「黄金樹葬」という言葉があります。

 高貴な者や功績のあった者は、大樹根の傍に葬られました。それが名誉という価値観だったようです。

不死を殺す刻印

 黒き刃の陰謀の夜に、「黄金のゴッドウィンが最初に死んだ」とありますが、ゴッドウィンは本来不死の存在であり、完全に殺すことはできないはずでした。

 そのため、完全に殺す力を持つ死のルーンを、それを管理するマリケスから奪ったのです。

 ラニは儀式によって、死のルーンの力を黒き刃の短剣に刻印しました。

マリケス装備
・女王マリカの忠実な義弟にして、その剣に運命の死を宿したマリケスは、すべてのデミゴッドの怖れであった。

黒き刃
・かつて黒き刃の陰謀の夜に、黄金のゴッドウィンを殺した刺客たちの短刀。
 その奇妙に捻じれた刃には、儀式により、盗まれた死のルーンの力が宿っている。

黒き刃の刻印
・陰謀の夜、何者かが黒き剣のマリケスから死のルーンの一部を盗み、暗殺者たちの刃にその力を宿した。
 これはその儀式の刻印であり、陰謀の真実が潜んでいるという。

魔術師ロジェール
・これは、まさか黒き刃の刻印ですか!まさか貴方が、手に入れられるとは…。
 以前お話しした、黒き刃の陰謀の夜…。
 その実行犯は、永遠の都の末裔たる、暗殺者だと言われています。
 姿隠しの衣を纏い、銀の鎧に身を包んだ、女性ばかりの一団であったと。
 そして彼女たちの武器、黒き刃には、儀式により死のルーンの力が宿っていたと。

 …お願いです。それを私に、一時預けて頂けませんか。
 時間をかけて、調べてみたいのです。
 欠片とは言え、死のルーンの力を宿すためには、それなりの儀式が必要です。
 そして儀式の刻印は、その主の痕跡を、どこかに必ず残すもの…。
 まして私は、半ば死に侵された身。きっと見えるものがあるはずです。

魔術師ロジェール
・儀式の主、つまりは陰謀の夜の主犯も、見当がつきましたよ。
 月の王女ラニ。王配ラダゴンと最初の妻レナラの、子供たちのひとり。
 将軍ラダーン、法務官ライカードの兄妹たるデミゴッド。
 刻印には、彼女の名が隠されていたのです。

 この刻印のある短剣で刺したからこそ、不死であるはずのゴッドウィンが死んだわけです。

 その死に方が問題です。魂だけが死に、肉体は残ってしまいました。後述しますが、その原因はラニにあります。

 もし襲撃に使われた武器に、死の刻印がなければ、ゴッドウィンの生命力は黄金樹の根に吸収されて、後に復活できるはずでした。

 しかし、刻印のある短剣で、不完全な死に方をしたゴッドウィンの肉体は、正しく根から吸収されません。

 それは「死の根」として残り、狭間の地に拡大していくことになります。

死の根
・死に生きる者たちを、生み出す源。
 東の果てにある獣の神殿では、獣の司祭が、これを集め喰らっている。
 陰謀の夜、盗まれた死のルーンは、デミゴッド最初の死となった後、地下の大樹根を通じて、狭間の各地に現れ、死の根として芽吹いたのだ。

山賊スケルトンの遺灰
・陰謀の夜の後、狭間の各地に死の根が現れ、死に生きる者たちが生まれたのだ。

 黄金のゴッドウィン(Godwyn the Golden)として知られ、黄金律を象徴した次代の王が、その律の理を外れたばかりか、死に生きるアンデッドの発生源になってしまったのです。

 母マリカは、これに狂乱しました。

 この事件の後、マリカはエルデンリングを破砕します。狭間の地の秩序が失われて、破砕戦争が起きることになります。

指読み婆
・ゴッドウィン様。なんと、醜いことでしょうか。坊ちゃまは、死ぬべきでした。
 デミゴッド、その最初の死者として、運命の死に殉じるべきでした。
 それがなぜ、醜態を晒しておられますか。
 黄金の貴公子が、死に生きるなどと、そんな醜いことがあるでしょうか。

魔術師ロジェール
・何者かが、黒き剣のマリケスから死のルーンの欠片を盗み、冷たい夜に、黄金のゴッドウィンを殺したのです。
 それは、歴史上はじめてのデミゴッドの死であり、エルデンリングが砕け、破砕戦争が起こる、その切欠になったと言われています。

肉体を棄てたいラニ

 陰謀の首謀者は、魔女ラニです。

 ラニは、神人の資格を持つデミゴッドでありながら、大いなる意志の傀儡になるのを嫌い、神の座につくことを拒みます。

 そのため、彼女は肉体だけを滅ぼし、魂だけの存在になることを企図しました。

 この目論見は、黒き刃の陰謀の夜によって成功します。魂だけになったラニは、狙い通り肉体を捨てて、その後は人形を器にして活動することになりました。

 死のルーンによる「運命の死」は、本来は肉体と魂を同時に殺します。

 しかし、肉体だけを滅ぼしたいラニは、この死を分割しようと考えて、自分と「対」になる死、つまり魂だけが滅ぶデミゴッドを求めました。

 死のルーンの力を、二人のデミゴッドに及ぼすことで、一方は肉体だけが死に、他方は魂だけが死ぬようにしたのです。

 そして、肉体だけ死んだのがラニ、魂だけ死んだのがゴッドウィンです。

真相に迫ったロジェール

 この陰謀を調査したロジェールは、真相に迫っています。

魔術師ロジェール
・月の王女ラニが、陰謀の夜の主犯ならば、彼女の身体には、運命の死の呪痕が刻まれているはずです。
 それを、手に入れてはもらえないでしょうか?
 …それで、すべて分かると思うのです。私がずっと追い求めた答えが。

 彼は、魂だけが滅んだゴッドウィンを調べた結果、儀式の対となる死、つまり「肉体だけの死があるはずだ」と当たりを付けます。

 そして、ラニの名が刻印に隠されていたことから、ラニの滅んだ肉体を調べて欲しいと、主人公に依頼しました。

 この発言からも分かる通り、肉体の死と魂の死は「対」になっています。同時に起きる必要があり、どちらか一方だけを起こすことはできません。

 本来は、両方が一人に起きるものですが、ラニの儀式はこれを分割して、二人に起こしたことになります。

 ロジェールの推測は当たっていました。

 しかし、ストームヴィル城の地下で、死の力に冒された彼は半身不随となり、円卓で眠るように息を引き取ります。

死の呪痕
・月の王女ラニの、棄てた肉体に刻まれた呪痕。百足傷の欠環とも呼ばれる。
 呪痕は、デミゴッド最初の死に刻まれ、円環を為すはずである。
 だが、デミゴッド最初の死者は二人あり、呪痕は二つの欠環となった。
 ラニは、肉体だけの最初の死者であり、故に死王子は、魂だけの最初の死者なのだ。

ラニ
・…なるほど、よく調べたものだ。確かに、私は魔女ラニ。
 死のルーンの一部を盗み、儀式により、それを神殺しの黒き刃となした。
 すべて私が、やったことだ。

 …だが、お望みの呪痕は、ここにはない。私は、生来の身体を殺し、棄てていてな。
 呪痕もそちらに刻まれていよう。

目的は達したが、想定外だった?

 首謀者たるラニは、その目的を達成しました。

ラニ
・私は二本指を拒んだ。死のルーンを盗み、神人たる自らの体を殺し、棄ててでも、私はあんなものに操られたくなかったのだ。

 しかし、それが「予定通り」の結果だったかは分かりません。

 言い換えれば、魂の死の標的がゴッドウィンだったかは、明瞭ではありません。ここがポイントです。

 つまり、本来は別の人物の魂を滅ぼす気だったが、想定外にゴッドウィンの魂が滅んでしまった可能性があるわけです。

 この点は核心に関わりますので、追って詳述します。

 なお、ラニの兄妹であるライカードは、この陰謀の夜に加担したとされますが、どのような形で協力したのかは明らかではありません。

冒涜の爪
・死のルーンの片鱗が刻まれた岩方。黒き剣の力を逸らすことができる。
 陰謀の夜、法務官ライカードは、ラニからの謝礼として片鱗を貰い受けた。
 いつか来る冒涜の時、黒き剣のマリケスに、運命の死たる黒獣に挑む切り札として。

 つづく。

 注
 この記事は個人の考察であり、フロムソフトウェア社の見解ではありません。
 内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。

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