万紫千紅考察 聞こえる人と聞こえない人 ドレイクの財宝

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ドレイクの財宝

 ドレイクの財宝は、切り刻まれたバロールの遺骸です。

 風花雪月における「英雄の遺産」のような扱いになっています。

 英雄の遺産は、ナバテアの心臓を核に、そしてナバテアの骨を刀身にして造られた、ナバテアの血を引く(=紋章がある)者だけが使用できる武器でした。

 もし正しくない者(紋章がない者)が使うと、ダメージを受けたり、果ては黒き獣に化けて自我を失ったりします。

 ドレイクの財宝もこれと同様であり、バロールの血を引く(=天冠がある)者だけが、正しく使用することができます。

 バロールの系譜に連ならない者(天冠がない者)が使うと、内なる声が響いて強い破壊衝動に苦しみ、やがては自我を失って発狂することになります。

 どちらも武具なのに、生き物の気配があるという、やや気色悪いものです。

ファビオ
・生き物の気配、ですか。なるほど…。
 これ(※漆黒のグウェン)も英雄の遺産と同様に、竜の身に宿る魔力を利用した魔器の一種かもしれませんな。
 だとすると、素材は何らかの生体材料…ダグザの地固有のものなのでしょうか。

心の浸食

ラクシャ導師
・ドレイクの財宝を使っていると、いつしかその精神は遺骸の持つ残留思念に浸食される。
 この地上のすべてを憎み、あらゆるものを殺戮、破壊しようとしたお父様(※バロール)の意思に…

 そして、最終的には自我を失い、その意思に従うだけの、冥界の戦士と成り果てる。
 多少の個体差はあるようだが、普通の人間では、まず耐えられず発狂する。
 故に、ドレイクの財宝の所有者は、途中で自ら命を絶つ者も多い。

 そう…私たちのような、その血を直接お父様から受け継いだ存在でもない限り。

 ラクシャ導師の最後の一文に注目してください。

 「その血を直接お父様から受け継いだ存在でもない限り」とあります。

 ドレイクの財宝は、バロールの系譜に連なる者であれば、バロールの意思に心を侵食されないことになります。

 私たちは、登場人物がドレイクの財宝に苦しむ描写を多く見せられますから、これは意外に盲点かもしれません。実は、普通に使いこなせる者が一部にいるわけです。

マリア
・あの男(※バーン・バーン)、最後まで自分のことをお父様(※バロール)と信じ込んでいたわ。

 ドレイクの財宝に心を侵食された者は、やがて完全にバロールに乗っ取られて、自分のことをバロール本人だと思い込むようです。

 作中では、ハル・ハリ族の長バーン・バーンが、この末期症状まで至りました。

互いに引き付け合う

 ダグシオン大剣闘祭は、各地に散ったドレイクの財宝を集めるために、ラクシャ導師が発案したものでした。

 ドレイクは財宝は、切り刻んだバロールの遺骸ですから、互いに引き付け合う性質があります。

ラクシャ導師
・ドレイクの財宝…遺骸と遺骸は互いに引き付け合う。
 多くの戦士たちがダグシオンに集結する大剣闘祭は大きな契機となる。
 恐らく、ダグザ中に散ってしまった多くの遺骸が、この期間にダグシオンに集まるはずだ。

 誰が勝っても負けても、そこに大きな違いはない。
 ここに集まった遺骸を我々が把握、追跡し、可能なものから順に回収すればよいのだ。

 開催を許可した神威法王ソレルは、もちろんこの事実を知りません。

 彼はただ、愛する妻が流血を見たがるので、それに配慮したに過ぎません。妻に擬態したイリアナと、その姉であるラクシャ導師に利用されたのです。

イリアナ
・誰かの血が流れているのを見た時だけが、自分の生を実感することができる。
 その時だけが、何かを取り戻したような、何かを思い出せそうな、そんな気になれるのです。

 余談になりますが、ドレイクの財宝の、互いに引き合うという性質に鑑みると、次の発言は興味深く思えます。

イリアナ
・あの男(※バーン・バーン)が水晶宮に忍び込んできた時は驚いたわ。
 どうも、オットーちゃんの存在を感じ取って、引かれて来たようだったけど。

 謎の多いオットーちゃんですが、これを見る限りドレイクの財宝の一種なのかもしれません。バーン・バーンとオットーちゃんが引き合ったことになっています。

 不気味な縫いぐるみ、オットーちゃんには、よく見るとゴーティエ柄の模様があります。

 ゴーティエの紋章は、バロールが持つ3種の天冠の一つ「魂魄の天冠」であり、大アルカナは「13. 死神(Death)」に対応します。

 バロールの復活に際して、素材の一つになった可能性があります。

聞こえる人

 話を戻しましょう。ドレイクの財宝を操った者の内、バロールの血を引かない者は、心の浸食に苦しみました。

 その代表は、サラミスの女王セオドラと、黒曜の奏者レダでしょう。

 この二人は、あわや自我を失いかけるまで、その深淵を覗くことになりました。

 彼女らはまさしく、身体と寿命を削りながら、ドレイクの財宝を使っていたのです。

 風花雪月で考えれば、適合する紋章を持たない者が、英雄の遺産を振るっていたことになりますから、その負担たるや推して知るべしと言えます。

 この二人に限らず、作中には例えば吟遊詩人コーエンや赤き斧のハンノなど、ドレイクの財宝が元で発狂したり、自殺したりした人物の話が多く登場します。

 そのため私たちはつい、ドレイクの財宝を使う者は、全員がこうなってしまうと思わされがちです。

 しかし、一方でそんな苦しみなど露知らず、「内なる声? 何ですか、それ?」という感じで、飄々としている人物もいました。

聞こえない人

カイ

 まず、カイから見ていきます。彼は聞こえないというより、聞こえにくい人です。

カイ
・実は、例のバロール神殿の一件以来、少し(※赤い宝石の)力が強くなってきてる気がするんだ。
 時々、不気味な声みたいなものが聞こえることもあるし…
 不安には感じてたんだ。このままだと、魔眼に心を乗っ取られたりしないかって。

 カイはバロール神殿を訪れて以降、内なる声を聞くようになりましたが、それでもセオドラやレダに比べれば、程度は遥かに軽いものでした。

 その差異について、セオドラも戸惑いを隠せません。

セオドラ
・何故だ、カイ。同じ力を使いながら、お前はどうして平気でいられる…?
 抑え込んでいるのか…?
 この異常なまでに強く心を乱す魔人の力を。

 …私が、この孺子(こぞう)よりも劣っているとでも…いうのか…?

 意志力が違うのかと疑っていますが、何のことはありません。その理由は血にあります。

 カイはユ・ファスの孫ですから、バロールの血を継いでいます。

 バロールから数えて4代目になりますが、4代目にしては血が濃く出たようで、使徒の天冠(オーバンの紋章)を持っています。

 これのお陰で、カイは心の浸食を受けにくかったわけです。

 多少は内なる声が聞こえることになっていますが、これはセオドラやレダとのやり取りを盛り上げるための設定かもしれません。

 おそらく作者は、「姉ちゃんにも聞こえるだろ、あの声が…!」と言わせたかったのでしょう。

 アウロラがブレイズ制御を授けたこともあって、カイ自身はほとんど苦しんでいません。

タリムーン

 次はタリムーンを見てみましょう。

 彼はドレイクの財宝・ダバの羅針盤を使用しながら、内なる声に関しては、まったく他人事のようです。

タリムーン
・ドレイクの財宝は強力な力を持っているが、使っている者は次第に心が蝕まれる。
 症状が進むと、ドレイクの財宝から声が聞こえてくるんだそうだ。

 一応言うと、俺はまだ聞いたことがないがね。この世のすべてを憎む歌のようなものだとか。

 理由は同じで、タリムーンもバロールの系譜に連なる者だからです。

 彼は冒険王ヴァンダルと、マリア(バロールの娘)の間に生まれた4分の3神です。

 魂魄の天冠(ゴーティエの紋章)がありますから、ドレイクの財宝の「適合者」ということになります。普通に扱えてしまうのです。

 この血のお陰で、タリムーンにはマリアの呪歌も通じませんでした。

オリンピア
・あなた…この呪歌を聞いて、何ともないように見えますけど…

タリムーン
・あー? そう言えばそうだな。なんでだろうな。

マリア
・…! やはり、この男には私の呪歌の効き目が弱いようね…
 よりによって、こんなふざけた男が、私の…!

 マリアはこの場面で、タリムーンが自分の息子だと確信しますが、その冷淡な態度は笑えるほどです。

 実の母親から見て、タリムーンは「こんなふざけた男」のようです。数百年ぶりに再会したというのに、この言葉は残酷ですね。

ディートリヒ

 ユニークなのが、殺人鬼ディートリヒでしょう。

 彼はドレイクの財宝・漆黒のグウェンから何の影響も受けません。その理由は上記とはまったく違う、オンリーワンなものでした。

ディートリヒ
・私の祖先であるラミーヌは、フォドラの地で竜を狩り続けていた過程で、とある竜を倒した際に、ひとつの呪いと宣告を受けたという。
 子孫代々にわたり、血を求め、己を破滅させる呪いだったと言われている。

 十傑の一人・ラミーヌが、竜狩り(=神殺し、ナバテア殺し)をした時に、呪いを受けました。

 その呪いが代々続いてディートリヒにも継がれており、既に別の呪いがあるがために、ドレイクの財宝が割って入れなかったのです。

 例えて言うなら、「生まれた時からずっと新型コロナが治らないから、インフルエンザに罹患したことがありません」という感じでしょうか。

 呪いの先客がいるというわけです。

 ディートリヒの極めて特殊な生い立ちは、彼に独特の人生観を授けました。

ディートリヒ
・この世界に生を受けて以来、私は元々地獄の中を歩んでいる。
 お前(※ライラー)の言うように世界が冥界に呑まれたとして、自分にとって何が変わるということもない。

 ただ、強いものと戦い、戦いの中でしか己を満たすことができない。
 私を満たす逸楽は、極限の状態での命のやり取りの中にしか存在しない。

 これは、私の祖先が受けたという呪いのせいばかりではないのかもしれぬ。
 創造主というものがいるとすれば、私を創る時に、何か大きな失敗をしたのだ。

ディートリヒ
・…共に過ごすことばかりが、愛の形ではない。
 お互いに命を晒し出して、全力でぶつかり合い、削り合い、凌ぎ合い、殺し合う…

 愛が、互いに与え合うものなのだとすれば、そういう愛の形があってもいい。
 そうは思わないか?

ブレイズタイプ

 万紫千紅には、ブレイズタイプという型の概念があります。

 「天柱・冥府・絡繰」の3種がある上、さらにブレイズ制御というスキルがあるため、すぐに覚えるのは簡単ではありません。

 私は、お気に入りユニットの性能しか把握していませんでしたが、整理してみると簡単な見分け方がありました。

 要するに、次のような区分なのです。

・心核を有する者は、天柱タイプ。
・ドレイクの財宝を有する者は、冥府タイプ。
・オルヘルだけ特別で、絡繰タイプ。

 ドレイクの財宝を扱うユニットは、聞こえる人も聞こえない人も、みんな仲良く「冥府」タイプになります。

 注
 この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
 内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。

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