上位者になる方法
Bloodborneの世界では、様々な人物が上位者を目指して研究しますが、人体実験や儀式の類はことごとく失敗しました。
作中で明示されている「上位者になる方法」は、次の二つだけです。
・上位者が瞳(啓蒙)を与えること。
・3本目のへその緒を3本使うこと。

上位者が瞳を与える
ビルゲンワース最大の研究成果であるロマは、上位者であるゴースが、人間だった学徒ロマに瞳(啓蒙)を与えることで、白痴の蜘蛛ロマに変容させました。
ロマは成体ながら不完全であり、上位者にはなったものの、自我や知能を失ってしまいました。
その特性を生かして、学長ウィレームにより、認知フィルタという役割を与えられたのは既述の通りです。詳しくは「ロマ前・ロマ後の世界」をご参照ください。
上位者ゴースが、どのような方法で瞳を与えたのかは、作中で明らかにされていません。
漁村で入手したゴースの遺物であることは確かですが、それが3本目のへその緒なのか、ゴースの寄生虫なのか、具体的なことは分かりません。
分かっているのは、学徒ロマに器としての適性があり、彼が稀有の成功例になったことだけです。

3本目のへそを3本使う
本作のエンディングは3つに分岐しますが、3本目のへその緒を3本使うことで、自ら上位者になる真エンドを迎えることができます。
どうやら3本分の啓蒙を得ると、上位者レベルの瞳(啓蒙)になるようです。
これによって、主人公は月の魔物の支配を拒むことができました。
前述のロマが「成体ながら不完全」だったのに対して、こちらは「完全ながら幼体」という結果です。
どちらが望ましいかと言えば、おそらく後者でしょう。上手く成長できれば、完全な成体になる道が見えるからです。
したがって、作中で明かされた「上位者になる方法」の真の正解は、真実に耐え得る知性と精神を持つ、器としての適性がある者が、3本目のへその緒を3本以上使うことになります。それでようやく幼体になれます。
なお、ロマは英語表記では、Great One(上位者)ではなく、Kin(眷属)とされています。厳密には「準上位者」なのかもしれません。
3本目のへその緒
3本目のへその緒とは、一体何なのでしょうか?
その名前から、つい1本目と2本目を連想してしまいますが、それは誤りのようです。
英語表記では、One thirdとされています。つまり、正しくは「3本目」ではなく、「3分の1」になります。
その意味するところは、「上位者の赤子に由来する、へその緒の断片3分の1相当」であるようです。
したがって、3分の1相当を3個あわせれば、1本相当のへその緒になり、上位者たり得る瞳(啓蒙)を得るという設定と思われます。
日本人が制作した作品なのに、なぜ英語を和訳する際に誤訳が生じるのかは分かりません。英訳の際にミスが出るなら理解できるのですが。

テキストは微妙に違う
作中では3本目のへその緒を、全部で4本入手できるようになっています。
「ぜんぶ足すと3分の4じゃないか」と思うかもしれませんが、これらは同じへその緒を3分割したものではありません。
それぞれ別個に発生したへその緒の、3分の1相当の断片ですから、ゲームに4本登場することは矛盾ではないと思われます。
・捨てられた古工房に放置されている。
・メルゴーの乳母がドロップする。
・娼婦アリアンナが懐胎する。
・偽ヨセフカが懐胎する。
興味深いのは、同じ名前のアイテムでありながら、そのフレーバーテキストが微妙に異なることです。
共通部分
まず、共通するテキストを見てみましょう。
・別名「瞳のひも」としても知られる偉大なる遺物。上位者でも赤子ばかりがそれを持ち、「へその緒」とはそれに由来している。
・すべての上位者は赤子を失い、そして求めている。
・使用により啓蒙を得るが、同時に内に瞳を得るともいう。だが、実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった。
前者はすべてのへその緒に、後者は偽ヨセフカを除くへその緒に共通するテキストです。
非常に重要なことが二つ明示されています。
使用により瞳を得る
一つ目は、上位者の赤子が持つものであり、使用により瞳(啓蒙)を得ることです。
ウィレームは「瞳を求めよ」と主張し、ミコラーシュは「我に瞳を与えよ」と叫びました。
彼らが渇望したであろう瞳の入手方法が、サラッと記載されています。
へその緒を使用すると「内に瞳を得る」のです。3本分あれば、上位者(の幼体)になることができます。
これは作品の根幹に関わる、極めて重要な情報です。別名「瞳のひも」とありますが、こちらの方が正式名称に相応しいと言うべきでしょう。
これだけ大事なことを「皆忘れてしまった」がために、凄惨な人体実験や儀式が繰り返されたと思うと、犠牲者がいたたまれません。
上位者は子を求めている
そして二つ目は、すべての上位者は、何らかの事情で子を失っており、その喪失感を埋めるために、新しい子を求めているということです。
これもまた、上位者の行動原理に直結する重要な情報ですが、ここでは深入りしません。
詳しくは「上位者は子煩悩」をご参照ください。
結論だけ言うと、上位者は子を求めているがゆえに、へその緒や赤子の泣き声に反応して寄って来るのです。
高次元生命体である上位者に対して、シンプル過ぎる釣り餌にも思えますが、この類のことに知能はあまり関係ありません。
人間の知的エリートも、赤ちゃんや子猫の泣き声には釣られたりします。
捨てられた古工房
次に、それぞれのへその緒に独特なテキストを見ていきます。
捨てられた古工房に放置されているへその緒には、次のように記載されています。
・故に、これは青ざめた月との邂逅をもたらし、それが狩人と、狩人の夢の始まりとなったのだ。
ゲールマンはこのへその緒により、月の魔物(青ざめた月)と接触する機会を得て、契約して「狩人の夢」の管理人になりました。
へその緒は、使用すると瞳(啓蒙)を得ますが、所持しているだけで、子を求める上位者を招く媒体になり得るようです。
ここには興味深い論点がありますが、いったん保留にして、別のへその緒のテキストを先に見ていきます。
メルゴーの乳母

メルゴーの乳母がドロップするへその緒には、次のように記載されています。
・故に、これはメルゴーとの邂逅をもたらし、それがメンシスに、出来損ないの脳みそを与えたのだ。
捨てられた古工房にあるへその緒と、同じ構文で、別の情報が記載されています。
メンシス学派はこのへその緒により、メルゴーと接触する機会を得て、その精神世界(悪夢)に干渉したのです。
メルゴーは赤子なので、乳母の方が反応したのかもしれません。
しかし、メンシス学派の干渉は失敗に終わり、「出来損ないの脳みそ」になったとあります。
英語表記だと、「resulted in the stillbirth of their brains/脳の死産に終わった」です。
their brainsですから、儀式に参加したメンシス学派の脳(精神)が、継ぎ接ぎの失敗作として化けたのが、「メンシスの脳みそ」ということになります。
なお、生贄にしたヤハグル住民(と誘拐したヤーナム市民)の肉体を継ぎ接ぎして、鐘によって呼び戻した失敗作が「再誕者」です。
メンシス学派が、どのようにして、誰のへその緒を入手したのかは分かりません。
作中に登場した上位者であれば、ゴース由来の可能性がありますが、作中にない設定である線も多分にあります。
ともあれ、へその緒でメルゴーに接近したり、「我に瞳を与えよ」と叫んだりと、ミコラーシュは狂人に見えて、実はかなり真相に迫っていたようです。
娼婦アリアンナ
続いて、上位者オドンの子を懐胎した娼婦アリアンナです。
・姿なき上位者オドンもまた、その例外ではなく、穢れた血が、神秘的な交わりをもたらしたのだろう。
これは分かりやすいでしょう。フロムソフトウェアにしては、珍しく親切な部類と言えます。
アリアンナは特別な血(穢れた血)を持っており、姿なきオドンの干渉によって、赤い月の夜に代理母として受胎しました。
彼女の次のような言動は、穢れた血の貴族カインハーストとの関係を強く示唆しています。
・主人公に「血の施し」を行う。
・主人公の匂い(月の匂い)をすぐ判別した。
・ヤーナム下層に似合わない、貴族のような服装をしている。

偽ヨセフカ
一方、よく分からないのが偽ヨセフカです。
・かつて学長ウィレームは「思考の瞳」のため、これを求めた。
脳の内に瞳を抱き、偉大なる上位者の思考を得るために、あるいは人として上位者に伍するために。
アリアンナと同じように、特別な血を持つ女性が、赤い月の夜にオドンの子を受胎したというのに、そのテキストは構文がまるで違うのです。
オドンにも特別の血にも触れず、まるで注意を逸らすかのように、ウィレームの主張が記されています。
偽ヨセフカは、主人公の匂い(正しくは月の魔物の匂い)を瞬時に判別しました。カインに似た特別な血を持っていることは、ほぼ間違いありません。
・あら、月の香り…。あなた、どうやって入り込んだのかしら?
また、赤い月になる前に敵対して殺害すると、「オドンの蠢き」をドロップします。オドンの影響下にあった可能性は、高いと言えるでしょう。
それにも関わらず、テキストはぼかされており、はっきりしたことが分かりません。
へその緒の整理
以上のように、3本目のへその緒は、エンディング分岐に影響するキーアイテムであると同時に、世界観の核心に関わる重要な情報を含んでいます。
へその緒について整理しておきます。

誰のへその緒?
いったん保留にした「捨てられた古工房」に戻りましょう。
ここに放置されていたへその緒は、ゲールマンと月の魔物が契約を結び、「狩人の夢」を形成する契機になりました。
最序盤からお世話になるホームですから、作品にとっても大事な精神世界です。
このへその緒は、一体誰のものでしょうか?
作中では明示されていませんが、次の二つの説が有力なようです。
・弟子のマリアが、オドンの子を懐胎した。
・ゲールマンが、漁村でゴース由来のへその緒を取得した。
マリア説
一つ目は、ゲールマンの弟子マリアが、上位者オドンの子を懐胎したとする説です。
マリアは、カインハーストの縁戚に当たります。特別な血を引いており、漁村事件までは血を利用した剣技を操りました。
したがって、娼婦アリアンナ・偽ヨセフカ・女王ヤーナムと同じく、上位者オドンの子を代理母として受胎した可能性があります。
作中にそうした情報はない一方、興味深い傍証があります。
それは次のような、捨てられた古工房で入手できるアイテム群です。
・人形の装備一式
・小さな髪飾り
・古い狩人の遺骨
・3本目のへその緒
装備・髪飾り・遺骨がすべてマリア由来なので、残るへその緒もマリア由来ではないかと考えるのは、自然と言えば自然でしょう。
魅力的に思えるこの説の弱点は、なぜへその緒という状態で体外に出したかです。
出産まで待つことなく、しかし途中で誰かに襲撃されるでもなく、へその緒だけが残された点に説明がつきません。
彼女が時計台で自死した後、ゲールマンが持ち帰った可能性はありますが、これは推測の域を出ません。

ゴース説
二つ目は、ゲールマン本人が入手したとする説です。
つまり、漁村事件において、上位者ゴースに由来するへその緒を取得した可能性です。
これは十分あり得る一方、ゴースには遺児がいるため、へその緒は遺児が使ったのではないかという反対意見があります。
捨てられた古工房で入手できるアイテム群は、「マリア関連」で括ることができると同時に、「ゲールマンの人生関連」と見ることもできます。
実際、工房を作って運営したのはゲールマンですから、そこがマリア一色である必要はありません。
どちらの説も決定打に欠けるのですが、個人的には願望込みでマリア説を支持したいと思います。
ゲールマンはネタとして面白い人物ですので、別の機会に掘り下げていきますが、少しつまみ食いしておくと、彼が「狩人の夢」に属したのは、狩人を支援することが理由の一つと思われます。
その契機がマリアの残したへその緒だったとしたら、この陰鬱な世界に輝く稀少なロマンではないでしょうか。
つづく。
注
この記事は個人の考察であり、フロムソフトウェア社の見解ではありません。
内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。
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