Bloodborne考察 3本目のへその緒とは何か?

Bloodborne (6) ブログ

上位者になる方法

 Bloodborneの世界では、様々な人物が上位者を目指して研究しますが、人体実験や儀式の類はことごとく失敗しました。

 作中で明示されている「上位者になる方法」は、次の二つだけです。

・上位者が瞳(啓蒙)を与えること。
・3本目のへその緒を3本使うこと。

上位者が瞳を与える

 ビルゲンワース最大の研究成果であるロマは、上位者であるゴースが、人間だった学徒ロマに瞳(啓蒙)を与えることで、白痴の蜘蛛ロマに変容させました。

 ロマは成体ながら不完全であり、上位者にはなったものの、自我や知能を失ってしまいました。

 その特性を生かして、学長ウィレームにより、認知フィルタという役割を与えられたのは既述の通りです。詳しくは「ロマ前・ロマ後の世界」をご参照ください。

 上位者ゴースが、どのような方法で瞳を与えたのかは、作中で明らかにされていません。

 漁村で入手したゴースの遺物であることは確かですが、それが3本目のへその緒なのか、ゴースの寄生虫なのか、具体的なことは分かりません。

 分かっているのは、学徒ロマに器としての適性があり、彼が稀有の成功例になったことだけです。

3本目のへそを3本使う

 本作のエンディングは3つに分岐しますが、3本目のへその緒を3本使うことで、自ら上位者になる真エンドを迎えることができます。

 どうやら3本分の啓蒙を得ると、上位者レベルの瞳(啓蒙)になるようです。

 これによって、主人公は月の魔物の支配を拒むことができました。

 前述のロマが「成体ながら不完全」だったのに対して、こちらは「完全ながら幼体」という結果です。

 どちらが望ましいかと言えば、おそらく後者でしょう。上手く成長できれば、完全な成体になる道が見えるからです。

 したがって、作中で明かされた「上位者になる方法」の真の正解は、真実に耐え得る知性と精神を持つ、器としての適性がある者が、3本目のへその緒を3本以上使うことになります。それでようやく幼体になれます。

 なお、ロマは英語表記では、Great One(上位者)ではなく、Kin(眷属)とされています。厳密には「準上位者」なのかもしれません。

3本目のへその緒

 3本目のへその緒とは、一体何なのでしょうか?

 その名前から、つい1本目と2本目を連想してしまいますが、それは誤りのようです。

 英語表記では、One thirdとされています。つまり、正しくは「3本目」ではなく、「3分の1」になります。

 その意味するところは、「上位者の赤子に由来する、へその緒の断片3分の1相当」であるようです。

 したがって、3分の1相当を3個あわせれば、1本相当のへその緒になり、上位者たり得る瞳(啓蒙)を得るという設定と思われます。

 日本人が制作した作品なのに、なぜ英語を和訳する際に誤訳が生じるのかは分かりません。英訳の際にミスが出るなら理解できるのですが。

テキストは微妙に違う

 作中では3本目のへその緒を、全部で4本入手できるようになっています。

 「ぜんぶ足すと3分の4じゃないか」と思うかもしれませんが、これらは同じへその緒を3分割したものではありません。

 それぞれ別個に発生したへその緒の、3分の1相当の断片ですから、ゲームに4本登場することは矛盾ではないと思われます。

・捨てられた古工房に放置されている。
・メルゴーの乳母がドロップする。
・娼婦アリアンナが懐胎する。
・偽ヨセフカが懐胎する。

 興味深いのは、同じ名前のアイテムでありながら、そのフレーバーテキストが微妙に異なることです。

共通部分

 まず、共通するテキストを見てみましょう。

・別名「瞳のひも」としても知られる偉大なる遺物。上位者でも赤子ばかりがそれを持ち、「へその緒」とはそれに由来している。
・すべての上位者は赤子を失い、そして求めている。

・使用により啓蒙を得るが、同時に内に瞳を得るともいう。だが、実際にそれが何をもたらすものか、皆忘れてしまった。

 前者はすべてのへその緒に、後者は偽ヨセフカを除くへその緒に共通するテキストです。

 非常に重要なことが二つ明示されています。

使用により瞳を得る

 一つ目は、上位者の赤子が持つものであり、使用により瞳(啓蒙)を得ることです。

 ウィレームは「瞳を求めよ」と主張し、ミコラーシュは「我に瞳を与えよ」と叫びました。

 彼らが渇望したであろう瞳の入手方法が、サラッと記載されています。

 へその緒を使用すると「内に瞳を得る」のです。3本分あれば、上位者(の幼体)になることができます。

 これは作品の根幹に関わる、極めて重要な情報です。別名「瞳のひも」とありますが、こちらの方が正式名称に相応しいと言うべきでしょう。

 これだけ大事なことを「皆忘れてしまった」がために、凄惨な人体実験や儀式が繰り返されたと思うと、犠牲者がいたたまれません。

上位者は子を求めている

 そして二つ目は、すべての上位者は、何らかの事情で子を失っており、その喪失感を埋めるために、新しい子を求めているということです。

 これもまた、上位者の行動原理に直結する重要な情報ですが、ここでは深入りしません。

 詳しくは「上位者は子煩悩」をご参照ください。

 結論だけ言うと、上位者は子を求めているがゆえに、へその緒や赤子の泣き声に反応して寄って来るのです。

 高次元生命体である上位者に対して、シンプル過ぎる釣り餌にも思えますが、この類のことに知能はあまり関係ありません。

 人間の知的エリートも、赤ちゃんや子猫の泣き声には釣られたりします。

捨てられた古工房

 次に、それぞれのへその緒に独特なテキストを見ていきます。

 捨てられた古工房に放置されているへその緒には、次のように記載されています。

・故に、これは青ざめた月との邂逅をもたらし、それが狩人と、狩人の夢の始まりとなったのだ。

 ゲールマンはこのへその緒により、月の魔物(青ざめた月)と接触する機会を得て、契約して「狩人の夢」の管理人になりました。

 へその緒は、使用すると瞳(啓蒙)を得ますが、所持しているだけで、子を求める上位者を招く媒体になり得るようです。

 ここには興味深い論点がありますが、いったん保留にして、別のへその緒のテキストを先に見ていきます。

メルゴーの乳母

 メルゴーの乳母がドロップするへその緒には、次のように記載されています。

・故に、これはメルゴーとの邂逅をもたらし、それがメンシスに、出来損ないの脳みそを与えたのだ。

 捨てられた古工房にあるへその緒と、同じ構文で、別の情報が記載されています。

 メンシス学派はこのへその緒により、メルゴーと接触する機会を得て、その精神世界(悪夢)に干渉したのです。

 メルゴーは赤子なので、乳母の方が反応したのかもしれません。

 しかし、メンシス学派の干渉は失敗に終わり、「出来損ないの脳みそ」になったとあります。

 英語表記だと、「resulted in the stillbirth of their brains/脳の死産に終わった」です。

 their brainsですから、儀式に参加したメンシス学派の脳(精神)が、継ぎ接ぎの失敗作として化けたのが、「メンシスの脳みそ」ということになります。

 なお、生贄にしたヤハグル住民(と誘拐したヤーナム市民)の肉体を継ぎ接ぎして、鐘によって呼び戻した失敗作が「再誕者」です。

 メンシス学派が、どのようにして、誰のへその緒を入手したのかは分かりません。

 作中に登場した上位者であれば、ゴース由来の可能性がありますが、作中にない設定である線も多分にあります。

 ともあれ、へその緒でメルゴーに接近したり、「我に瞳を与えよ」と叫んだりと、ミコラーシュは狂人に見えて、実はかなり真相に迫っていたようです。

娼婦アリアンナ

 続いて、上位者オドンの子を懐胎した娼婦アリアンナです。

・姿なき上位者オドンもまた、その例外ではなく、穢れた血が、神秘的な交わりをもたらしたのだろう。

 これは分かりやすいでしょう。フロムソフトウェアにしては、珍しく親切な部類と言えます。

 アリアンナは特別な血(穢れた血)を持っており、姿なきオドンの干渉によって、赤い月の夜に代理母として受胎しました。

 彼女の次のような言動は、穢れた血の貴族カインハーストとの関係を強く示唆しています。

・主人公に「血の施し」を行う。
・主人公の匂い(月の匂い)をすぐ判別した。
・ヤーナム下層に似合わない、貴族のような服装をしている。

偽ヨセフカ

 一方、よく分からないのが偽ヨセフカです。

・かつて学長ウィレームは「思考の瞳」のため、これを求めた。
 脳の内に瞳を抱き、偉大なる上位者の思考を得るために、あるいは人として上位者に伍するために。

 アリアンナと同じように、特別な血を持つ女性が、赤い月の夜にオドンの子を受胎したというのに、そのテキストは構文がまるで違うのです。

 オドンにも特別の血にも触れず、まるで注意を逸らすかのように、ウィレームの主張が記されています。

 偽ヨセフカは、主人公の匂い(正しくは月の魔物の匂い)を瞬時に判別しました。カインに似た特別な血を持っていることは、ほぼ間違いありません。

・あら、月の香り…。あなた、どうやって入り込んだのかしら?

 また、赤い月になる前に敵対して殺害すると、「オドンの蠢き」をドロップします。オドンの影響下にあった可能性は、高いと言えるでしょう。

 それにも関わらず、テキストはぼかされており、はっきりしたことが分かりません。

へその緒の整理

 以上のように、3本目のへその緒は、エンディング分岐に影響するキーアイテムであると同時に、世界観の核心に関わる重要な情報を含んでいます。

 へその緒について整理しておきます。

誰のへその緒?

 いったん保留にした「捨てられた古工房」に戻りましょう。

 ここに放置されていたへその緒は、ゲールマンと月の魔物が契約を結び、「狩人の夢」を形成する契機になりました。

 最序盤からお世話になるホームですから、作品にとっても大事な精神世界です。

 このへその緒は、一体誰のものでしょうか?

 作中では明示されていませんが、次の二つの説が有力なようです。

・弟子のマリアが、オドンの子を懐胎した。
・ゲールマンが、漁村でゴース由来のへその緒を取得した。

マリア説

 一つ目は、ゲールマンの弟子マリアが、上位者オドンの子を懐胎したとする説です。

 マリアは、カインハーストの縁戚に当たります。特別な血を引いており、漁村事件までは血を利用した剣技を操りました。

 したがって、娼婦アリアンナ・偽ヨセフカ・女王ヤーナムと同じく、上位者オドンの子を代理母として受胎した可能性があります。

 作中にそうした情報はない一方、興味深い傍証があります。

 それは次のような、捨てられた古工房で入手できるアイテム群です。

・人形の装備一式
・小さな髪飾り
・古い狩人の遺骨
・3本目のへその緒

 装備・髪飾り・遺骨がすべてマリア由来なので、残るへその緒もマリア由来ではないかと考えるのは、自然と言えば自然でしょう。

 魅力的に思えるこの説の弱点は、なぜへその緒という状態で体外に出したかです。

 出産まで待つことなく、しかし途中で誰かに襲撃されるでもなく、へその緒だけが残された点に説明がつきません。

 彼女が時計台で自死した後、ゲールマンが持ち帰った可能性はありますが、これは推測の域を出ません。

ゴース説

 二つ目は、ゲールマン本人が入手したとする説です。

 つまり、漁村事件において、上位者ゴースに由来するへその緒を取得した可能性です。

 これは十分あり得る一方、ゴースには遺児がいるため、へその緒は遺児が使ったのではないかという反対意見があります。

 捨てられた古工房で入手できるアイテム群は、「マリア関連」で括ることができると同時に、「ゲールマンの人生関連」と見ることもできます。

 実際、工房を作って運営したのはゲールマンですから、そこがマリア一色である必要はありません。

 どちらの説も決定打に欠けるのですが、個人的には願望込みでマリア説を支持したいと思います。

 ゲールマンはネタとして面白い人物ですので、別の機会に掘り下げていきますが、少しつまみ食いしておくと、彼が「狩人の夢」に属したのは、狩人を支援することが理由の一つと思われます。

 その契機がマリアの残したへその緒だったとしたら、この陰鬱な世界に輝く稀少なロマンではないでしょうか。

 つづく。

 注
 この記事は個人の考察であり、フロムソフトウェア社の見解ではありません。
 内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。

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