万紫千紅考察 オルヘルの謎 (2)

オルヘルの謎 (2) ブログ

記憶が曖昧

 オルヘルには、魂がないことに加えて、もう一つ大事な特徴があります。

 それは記憶が曖昧なことです。

 オルヘルは、ユ・ファスの記憶の一部を継いでいますが、忘れていることも多くあります。

オルヘル
・この像(※ユ・ファス像)を見ていると、私は不安な気持ちになるのです。

 ユ・ファスたち4人の姉妹は、誰にも素顔を晒してはならないと定められました。
 姉妹の使命は、父バロールの墓を守ること。
 その眠りが妨げられることがないように。

 けれど、ユ・ファスはソレル様にその素顔を晒してしまった…
 そのことが、いろいろな、大きな悲劇のきっかけになったのだとしたら…

 同じように、素顔を晒すことを禁じられながら、それを貫きとおすことができなかった私もまた、その咎でいつか大きな罰を受けることになるのかもしれません。

オルヘル
・私は本当は、自分が思っているよりずっと昔からこの世界にいて、大きな罪を犯してしまったのかもしれません。
 そんな気がしてきて、怖いのです。
 クレール様が私に仮面をつけさせたのが、その罪から私を守るためだったとしたら…

 一方、そっくりな姿をしたイリアナにも、記憶喪失を思わせる描写があります。

 ここは非常に興味深いところです。

 オルヘルは善良そのものな一方、イリアナが酷い性悪女であることを考えると、まるで人格と記憶が分割されて、別々の容れ物に入れられたかのようです。

イリアナ
・私…駄目なのです。あらゆる拠り所が失われてしまって…
 記憶も一向に戻りませんし、自分の正体すらも、雲の中に居るように掴めません。

 誰かの血が流れているのを見た時だけが、自分の生を実感することができる。
 その時だけが、何かを取り戻したような、何かを思い出せそうな、そんな気になれるのです。
 ですが、同時に私は、そんな自分がたまらなく恐ろしいのです。

 私は最初、イリアナのこの発言は、ソレルを欺くための演技かと思いました。

 アウロラに会うと擬態がバレてしまうから、記憶喪失という体でソレルを騙しているのだろうと。気づかないソレルも、信じ難いほど鈍感ですが。

 一方、流血を見るのが好きというのは本当です。

 イリアナはベルトランやガンシンを気に入っており、自分のためだけにクローズドの特別試合をさせたりしています。

 大剣闘祭で多くの血が流れるのも、本心から楽しかったのでしょう。

 カイはバロール神殿を訪れた後、目の色が赤くなりました。それを見た時のイリアナの発言は不可解です。

イリアナ
・それにしても変ね、あの子(※カイ)の瞳の色。以前はこうではなかった気がするけれど。
 あの女(※ユ・ファス)を思い出す、むかつく色をしているわ。
 …思わずえぐり出したくなるほどに。

 異常なほどにユ・ファスを嫌っています。

 イリアナが自分で言う「記憶喪失」が、演技なのか事実なのかははっきりしません。

 仮に事実であり、オルヘルと同じように記憶が曖昧だとしたら、それは何かしらの重要なメッセージになります。

 外見が瓜二つ、性格が正反対、共に記憶が曖昧となれば、やはり「一つの人格、二つの容れ物」ではないかと、私は妄想してしまいます。

なぜか覚えている鎮魂

 オルヘルは当たり前のように、鎮魂の技能を使いこなし、バロールの声を鎮めることができます。

 しかし彼女は、自分がなぜそのようかことができるかは、今ひとつ理解していません。ただ「体が覚えている」といった描写です。

ゴライアス
・あ、兄貴!(※ベルトラン)
 そんなに真っ赤になっちまって、一体どうしちまったってんだよ!
 お…俺っちのことすら、分からねえってのか?

オルヘル
・どんな時にも、激しい憎しみに身を委ねてしまってはいけないわ。
 ましてや、自分ではない何者かの憎しみの声に染まってしまうなんて…

 …この人を救う方法、私は知っているような気がします。
 大丈夫ですわ。だからどうか、その武器を降ろしてください。
 (祈祷)

ベルトラン
・まだ、信じられん。お前が、俺を引き戻してくれたのだな。
 お前から受けたこの恩、俺は、どのように返せばいいのだろう。

なぜか覚えている紋章

 第3部において、救世主軍が旗印を定めようという場面で、ディートリヒが炎の紋章を提案した時、オルヘルは不思議な反応を見せました。

オルヘル
・確かに…あれ(※炎の紋章)をいたずらに掲げては、神祖様のお気持ちに障ってしまうかも…

 これもユ・ファスの記憶でしょう。女神の眷属しか知らないはずの情報を、当たり前のように発言しています。

 話し相手のフォトナは、事情を知っているからでしょうが、突っ込まずに流していますが、私たちが見ると奇妙な描写です。

 このあたり、もう少し情報が欲しいところです。

 ともあれ、実体がユ・ファスでありながら、その魂がなく、生身の肉体もなく、記憶が斑(まだら)であるというのが、オルヘルの重要な特徴になっています。

ユ・ファスの心臓

 オルヘルの身体は、エリザベートなる何かを基に、鍛冶の神クレールが造った機械です。

 ルーツの欄には「???の身体」という、謎そのものの記載があります。

 クレールがなぜオルヘルを造ったのか、そしてなぜソレルやアウロラに伏せていたのかは、別記事で考察しましたので、そちらをご参照ください。

 この機械になぜ、ユ・ファスの実体と記憶の一部が宿ったのでしょうか?

 答えは「ユ・ファスの心臓」だと私は考えています。これは推測ではありますが、個人的には確信に近いです。

 風花雪月において、主人公ベレトは、神祖ソティスの心臓を体内に持っており、それ故に炎の紋章を宿していました。

 万紫千紅において、救世主イシュマールは、太陽の神ソレルの心臓を体内に持っており、それ故に預言者の天冠(ノアの紋章)を宿していました。

 魔人バロールもまた、心臓だけの姿になった後、おそらくはイリアナを器にして復活を遂げました。

 作中において、ナバテアの心臓は、繰り返し再利用されています。

 風花雪月では「紋章石」とも呼ばれたそれは、丸い石のような形状をしており、たとえダグザの大釜に落ちても消滅しません。

 肉体は焼け溶けても、ナバテアの心臓は残ります。

 オルヘルはおそらく、機械の身体の中に、ユ・ファスの心臓が埋め込まれているのでしょう。

 そうであれば、彼女が使徒の天冠(オーバンの紋章)と魂魄の天冠(ゴーティエの紋章)を持つのも当然と言えます。

 一方、エリザベートが何であるかは、推測の手掛かりさえありません。ここは追加DLCを待つほかないでしょう。

謎に満ちたフィアナ

 最後に、オルヘル繋がりの小ネタに触れておきます。小ネタとは言え、真相次第では大事になるかもしれません。

 それは記憶喪失の少女・フィアナです。

フィアナ
・私には過去の記憶がありませんが…
 この胸には強い思いが渦巻いているのです。
 どなたかは存じませんが、私には想い人がいて、その方を女に奪われたという屈辱の気持ち…

フィアナ
・その、オルヘルさんは何か特別で…
 優しい方だとは知っているのですが…
 なんだか怖いのです。上手く言えないのですが、大切な人を奪われてしまいそうな…

 このやり取りは、実に興味深い内容を含んでいますが、本編の中では浮いており、関連する情報が一切ありません。

 ユ・ファスの色香が、ダグザ神族を搔き乱したことは、別記事で触れた通りですが、私たちに見えていないところで、他の被害者(または加害者)も生んでいたのかもしれません。

 なぜ、真相次第では大事になり得るかと言えば、フィアナが再生の天冠(フラルダリウスの紋章)を持っているからです。

 これはジュラの系譜。この系譜には、冥将リンドも含まれています。

 仮にフィアナが半神以上だとすれば、神々の愛憎に関わっている可能性が濃厚になります。

 リンドが不義の子であったように、フィアナにも衝撃的な何かがあるのでしょうか。

 フィアナの額には、大きな傷跡が残っています。

 神々の愛憎、額に残る傷跡、そして記憶喪失。事件の匂いしかしません。

 ここに関する追加情報も、ぜひ欲しいところです。

 注
 この記事は個人の考察であり、任天堂及びインテリジェントシステムズ社の見解ではありません。
 内容の正確性を保証するものではなく、作品をより楽しむための娯楽的推測であることをご了承ください。

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